
ExcelのUNIQUE関数は、データから重複を自動で排除し一意の値だけを抽出できる機能。基本構文や縦横の使い方、複数列対応、SORTやFILTERとの組み合わせ、さらにエラー原因と対処法まで解説。
目次
Excelでデータを扱うと、同じ値が何度も並び見づらくなることはないだろうか。UNIQUE関数は、重複を自動で取り除き、一意の値だけを抽出できる便利な関数だ。
この記事では、UNIQUE関数の概要から使い方、よくあるエラーと対処法、実務での活用例などを解説する。
UNIQUE関数とは
UNIQUE関数とは、データの重複を取り除き、一意な値だけを一覧として表示する関数である。ここではUNIQUE関数の概要やできること、活用シーン、対応バージョンについて解説する。
■UNIQUE関数でできること
UNIQUE関数は、指定した範囲から同じ値を1つだけ残し、重複している値を除外できる。縦方向・横方向のどちらにも対応し、複数列や複数行をまとめて判定することも可能である。
例えば、顧客名簿から一意の氏名だけを抽出したり、受注履歴から重複しない商品名を一覧化する場合に使える。抽出結果はスピル機能により自動で隣接セルに表示されるため、手作業でのコピーや並べ替えが不要である。
■UNIQUE関数の具体的な活用シーン
UNIQUE関数は、顧客管理や商品管理、アンケート集計など幅広い業務で活用できる。
例えば、参加者リストから重複登録を確認する、売上データから販売した商品の種類を抽出する、アンケート回答から選択肢の一覧を作成するといった用途がある。
こうした処理を関数1つで実行できるため、集計作業の効率化に大きく貢献する。
■対応しているExcelのバージョン
UNIQUE関数は、Microsoft 365やExcel 2021以降で使用できる。Excel 2019やそれ以前のバージョンには搭載されていないため、その場合はフィルター機能や「重複の削除」機能など、他の方法で対応する必要がある。
UNIQUE関数の使い方
ここでは、UNIQUE関数の基本的な書き方と使い方を紹介する。縦や横のデータから重複をなくす方法、複数列をまとめて判定する方法を順に紹介していく。
■UNIQUE関数の構文と引数の意味
UNIQUE関数の基本構文は以下の通りである。
=UNIQUE(範囲, [列方向], [一意のみ])
- 範囲:重複を取り除きたいセルの範囲
- 列方向:省略かFALSEで縦方向、TRUEで横方向を判定
- 一意のみ:省略かFALSEで重複を除いたすべての値、TRUEで一意の値だけ
■縦のデータから重複を取り除く方法
縦方向のデータから重複を自動で削除する方法を紹介する。
- 重複を取り除きたいデータを用意する
- B2のセルに=UNIQUE(A2:A7)を入力する
これで、A2からA7までのデータの中から重複を取り除いたリストが作られる。
■横のデータから重複を取り除く方法
横方向に並んだデータの重複を削除する方法を紹介する。
- 重複を取り除きたい横方向のデータを用意する
- B2のセルに=UNIQUE(B1:G1, TRUE)を入力する
TRUEを指定することで、横並びのデータから重複を除いた一覧が作られる。
■複数の列や行をまとめて判定する方法
複数列や行をまとめて重複判定する方法を解説する。
- 重複判定したいデータを用意する
- 空いているセルに=UNIQUE(A2:B6)を入力する
これで、A2からB6までのデータの中から重複を取り除いたリストが作られる。
UNIQUE関数でエラーが出るときの原因と対処法
ここではUNIQUE関数のよくあるエラーとその対処法を解説する。
■「#SPILL!」と表示される
「#SPILL!」エラーは、UNIQUE関数が複数のセルに結果を表示しようとした際に、その場所が何らかの理由でふさがっているときに発生する。
このエラーが出たら、まず関数の隣接セルにデータや数式が入っていないか確認しよう。不要な値があれば削除して空けることが必要だ。さらに、セル結合がある場合はスピル表示ができないため、結合を解除することも重要である。
また、テーブル内に関数を入れているとスピル配列が正しく出ないことがあるため、テーブルの外側に式を移動すると解決する。
■重複が見つからないときの表示内容と注意点
UNIQUE関数は、重複がない場合は元のデータと同じ一覧をそのまま返す。特に第三引数を使って「一度だけ現れる値」だけを抽出している場合、該当する値がないと結果が空になり、空配列によるエラーになることがある。
このときはIFERROR関数を使い、「該当なし」といったメッセージを表示させる方法がおすすめだ。こうすることで、ユーザーに結果がないことを分かりやすく伝えられる。
■空白セルや結合セルがあると正しく動かない理由と対処法
UNIQUE関数は空白セルも一つの値として扱うため、元データに空白が混ざっていると結果にも空白が含まれてしまう。空白を除外したい場合は、FILTER関数で空白セルを除いた範囲をUNIQUE関数に渡すとよい。
また、結合セルはスピルの妨げになるため、出力先や元データの結合セルは解除する必要がある。
加えて、見た目は同じでも余分なスペースや大文字小文字の違いがあると別の値として認識されるため、TRIM関数やLOWER関数を使って整えてからUNIQUE関数を使うとトラブルを防げる。
まとめ
UNIQUE関数は、Excelで重複データを自動的に取り除き、一意な値だけを表示できる関数。顧客名簿や商品リストなど、データ整理の多くの場面で活躍する。
UNIQUE関数の主なポイント
- 縦方向・横方向の両方に対応
- 複数列まとめて判定や条件付き抽出も可能
- 並べ替えなど他の関数との組み合わせで応用が広がる
- Microsoft 365 / Excel 2021以降で利用可能(旧バージョンは非対応)
基本の使い方
- 縦方向:=UNIQUE(A2:A10)
- 横方向:=UNIQUE(B1:H1, TRUE)
- 複数列まとめて判定:=UNIQUE(A2:B10)
- 並べ替えとの組み合わせ:=SORT(UNIQUE(A2:A10))
- 条件付き抽出:=UNIQUE(FILTER(A2:A10, B2:B10=”東京”))
基本の構文と使い方を押さえておけば、データ整理や集計作業を大幅に効率化できる。
構成/編集部