味ぽんフォント
1964年発売のおなじみの調味料、ミツカン『味ぽん』。昨年、その60周年の節目に作られたのが、オリジナル文字が並ぶ「味ぽんフォント」だ。発端は、味ぽんをテーマに夏休みの自由研究を行なった男の子の存在だった。
「お礼に名前をラベルにした味ぽんをプレゼントしたら、とても喜んでもらえたんです。ただ過去に企画した同様のラベルも含め、フォントはばらばら。そこで、これを機にオリジナルフォントを制作することで、ファンの方々に喜んでもらうとともに、ブランド力強化につなげられるのでは、と考えました」(ミツカン・山田英子さん)。
味ぽんの人懐っこさを文字で表現すべく、フォントメーカーのモリサワに協力を依頼し、試行錯誤を経て、約8か月後に完成した。
「味ぽんフォントはロゴをべースにしたひらがななど97文字からなります。漢字とのバランスや、味ぽん〝らしさ〟の調整に苦心しました」(モリサワ・担当デザイナー・市川秀樹さん)。そのかいあって名刺やLINEスタンプに活用され、社内外で大反響だったという。
「フォントによって伝わり方は変わるもの。今後も様々な形で用い、味ぽんファンのさらなる拡大に努めたいと思っています」(山田さん)
【DIMEの読み】
フォントは紙上だけのものではない。Webサイトや動画などデジタル上にも活躍の場を広げている。こうした文字の見せ方に知恵を絞ることも、定番ブランドの活性化に有効な策の一つといえそうだ。
「UD新ゴ」をベースに愛嬌や人懐っこさをプラス

味ぽんフォントはモリサワのユニバーサルデザイン書体「UD新ゴ」を基に制作。味ぽんの持つ愛嬌を表わすため、文字のハネなど、1文字ずつチューニングを施した。
名刺やLINEスタンプにも活用

味ぽんフォントを使ったLINEスタンプと名刺の例。名刺は名前を「〇〇ぽん」と入れ、アピール情報も記載。「相手との距離がぐっと近づく」効果もあったそう。
※味ぽんは株式会社Mizkan Holdingsの登録商標です。
取材・文/百瀬康司 編集/原口りう子