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今さら聞けない世界3大航空アライアンスの違いと特徴

2025.08.24

ビジネス出張や海外旅行で飛行機を利用する際、「スターアライアンス」「ワンワールド」「スカイチーム」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。これらは世界の主要な航空アライアンス(航空連合)であり、複数の航空会社が提携してネットワークやサービスを共有する仕組みです。航空アライアンスに加盟することで、航空会社同士が連携し、乗客にとっても乗り継ぎやマイレージサービスがスムーズになるなど多くのメリットがあります。

そこで今回は、世界三大アライアンスであるスターアライアンス(Star Alliance)、ワンワールド(oneworld)、スカイチーム(SkyTeam)の主な加盟航空会社、利用者・航空会社双方のメリット、マイレージや上級会員サービス、予約・乗り継ぎ体制、それぞれの違いと注目ポイントについて、ビジネスパーソンや旅行者にもわかりやすく紹介します。

航空アライアンスとは?

まず航空アライアンス全体について簡単に説明しましょう。航空アライアンスとは、複数の航空会社が連合を組んで協力関係を築く組織です。単独の航空会社ではカバーしきれない世界各地への路線網を、提携する他社と結ぶことでグローバルなネットワークを実現しています。

例えば、あるアライアンスに加盟する航空会社同士では、コードシェア便(共同運航便)を設定したり、スケジュールを調整して乗り継ぎ時間を短縮したりと、各社が連携してサービスを提供しています。現在、世界規模で展開する航空アライアンスは主に3つで、1990年代末から2000年代初頭にかけて相次いで設立されました。以下に、それぞれのアライアンスの概要を見ていきましょう。

世界三大アライアンスの概要と加盟航空会社

三大アライアンスの基本情報をまとめると次のとおりです。

【スターアライアンス (Star Alliance)】

スターアライアンスは、1997年5月に世界初の航空連合として設立されました。ユナイテッド航空(米)、ルフトハンザドイツ航空(独)、エア・カナダ(加)、スカンジナビア航空(北欧)、タイ国際航空(泰)という5社が創設メンバーで、全日本空輸(ANA)は1999年に加盟しています。現在では世界各国のフラッグキャリア級航空会社を中心に約25社が参加しており、加盟社数・ネットワーク規模で世界最大のアライアンスで。スターアライアンス加盟航空会社による就航先は190か国以上・1300以上の空港にのぼり、1日あたり21,000便以上のフライトを提供しています。

日本においては、ANAが加盟していることでよく知られています。加盟各社には米国のユナイテッド航空や欧州のルフトハンザ航空、アジアのシンガポール航空やタイ国際航空など、世界中の主要航空会社が名を連ねています。

例えば成田・羽田など日本の空港にも、ユナイテッドやルフトハンザ、シンガポール航空、タイ航空、エアカナダといったスターアライアンス各社の便が就航しており、ANA利用者には身近な外国航空会社の多くがスターアライアンスに属していると言えるでしょう

スターアライアンスの特徴として、加盟航空会社同士の結び付きが非常に強固である点が挙げられます。「The Way The Earth Connects(地球の繋ぎ方)」というスローガンが示す通り、地球規模でシームレスな移動を提供することを理念としていま。

またスターアライアンスは近年、航空会社以外との提携にも乗り出しており、ドイツ国鉄(DB)やオーストリア国鉄といった鉄道会社を「インターモーダルパートナー」として迎え入れるなど、新たな移動連携サービスにも注目が集まっています。

【ワンワールド (oneworld)】

ワンワールドは、1999年2月に設立された航空アライアンスです。発足メンバーはアメリカン航空(米)、ブリティッシュ・エアウェイズ(英)、カナディアン航空(加。後に脱退)、キャセイパシフィック航空(香港)、カンタス航空(豪)の5社でした。その後、日本航空(JAL)が2007年に加盟し、現在では正規メンバー15社ほどでネットワークを構成しています。

三大アライアンスの中では加盟社数・規模が最も小さいものの、アメリカン航空やブリティッシュエアウェイズ、日本航空など各地域を代表するナショナルキャリア級の有力航空会社が厳選されて加盟しているのが特徴です。就航エリアは世界170か国・1000都市以上に及びます。

ワンワールドには、日本航空のほかにもアジアのキャセイパシフィック航空、欧州のフィンエアー(芬)、イベリア航空(西)、中東のカタール航空、オセアニア最大手のカンタス航空、東南アジアのマレーシア航空などが加盟しています。

特に中東の大手航空会社であるカタール航空が加盟している点は他アライアンスにない強みで、ドーハ経由で中東・アフリカ各地へ広がるネットワークを提供しています(中東の有力航空会社はいずれのアライアンスにも属さないケースが多いため、カタール航空の存在は貴重です)。

また2020年代には、新たにアラスカ航空(米)やロイヤルエアモロッコ(モロッコ)が加入し、2025年にはフィジーエアウェイズ(フィジー)やオマーン航空も加盟予定と発表されるなど、比較的小規模なワンワールドもネットワーク拡大を進めています。

サービス面での特徴として、ワンワールドは加盟各社のサービス品質や連携が評価されており、航空業界のアワードで「ベスト航空連合」に17年連続で選出された実績もあります。利用者視点では、上級会員ステータスが3段階(エメラルド・サファイア・ルビー)に細分化されている点がユニークです。最上位のエメラルド会員になると、搭乗クラスに関わらずファーストクラスラウンジの利用や優先的な搭乗・手荷物サービスが受けられるなど、他アライアンスより手厚いトップクラス待遇が用意されていま。このようにビジネス・ファーストクラス利用者や上級会員向けサービスに注力している点も、ワンワールドの注目ポイントです。また、ワンワールドは世界で初めて中央管理機構を設けた航空連合でもあり、加盟各社CEOからなるアライアンス委員会の下で各分野の担当ディレクターが連携し、共通のサービス・IT基盤や整備基準を開発するなど、裏側の協力体制も非常に組織的です。その成果もあってか、加盟各社は比較的サービス品質が安定しており「上質な空の旅」を提供しているとの評価があります。

【スカイチーム (SkyTeam)】

スカイチームは、2000年6月に設立された航空アライアンスです。デルタ航空(米)、エールフランス(仏)、大韓航空(韓)、アエロメヒコ航空(墨)の4社が創立メンバーとなり発足しました。その後、オランダのKLMオランダ航空(2004年加盟、AFと合併)、ベトナム航空や中国東方航空、チャイナエアライン(台湾)、ガルーダ・インドネシア航空、サウジアラビア航空、ケニア航空、イタリアのアリタリア航空(→ITA航空)など世界各地の航空会社が順次参加し、現在の加盟航空会社数は約18社となっています(※ロシアのアエロフロート航空はウクライナ侵攻に伴い現在資格停止中)。三大アライアンスではスターアライアンスに次ぐ規模で、就航国数は170か国以上、就航都市数は約1000にのぼります。もっとも、日本にはスカイチームに加盟する国内航空会社が存在しないため、一般旅行者には他2アライアンスほど馴染みがないかもしれません。

しかし、大韓航空やチャイナエアライン(中華航空)、中国東方航空、ベトナム航空などアジア各国の主要キャリアが加盟しているため、東アジア・東南アジア方面への旅行ではスカイチーム各社の利用機会も多いでしょう。欧州方面でも、エールフランス航空とそのパートナーであるKLMオランダ航空が揃って加盟しており、パリやアムステルダム経由で欧州各都市へアクセスする際にはスカイチームのネットワークが威力を発揮します。また北米ではデルタ航空の路線網が広く、南米でも唯一のラテンアメリカ加盟社であるアエロメヒコ航空が中南米に展開しています。2020年代には、新規加盟として英国のヴァージン・アトランティック航空(2023年加盟)や北欧のスカンジナビア航空(SAS)(2024年加盟予定)を迎え入れるなど、スカイチームはさらにネットワークの強化を図っています。SASはスターアライアンス創立時からのメンバーでしたがスカイチームへ2024年9月に移籍しました。このようにアライアンス間で加盟社が移籍・再編される動きもあります。スカイチームも近年、鉄道との連携に注力し始めており、2024年には欧州の高速鉄道ユーロスターやイタリア国鉄(トレニタリア)との提携を発表するなど、航空機以外のモビリティを含むサービス拡大も進めています。

スカイチームのスローガンは「Caring more about you(あなたをより大切に)」で、オランダ・アムステルダム近郊に本部を置き、加盟各社の調整が行われています。

他のアライアンス同様に、各社間のコードシェアやマイレージ連携、空港施設の共用によって円滑な乗り継ぎとサービス提供を目指しています。

アライアンスに加盟するメリット(利用者視点)

航空アライアンスに加盟することは、私たち利用者(乗客)に多くのメリットをもたらします。主な利点をいくつか挙げてみましょう。

・世界中を1つのネットワークで移動できる:アライアンス加盟各社の路線がつながることで、まるでひとつの巨大な航空会社のように世界各地へ旅することができます。例えば、全日空(ANA)のマイレージ会員なら、ANAを含むスターアライアンス加盟航空会社の利用でマイルを貯めて特典航空券に交換したり、1枚の航空券で複数社のフライトを組み合わせた世界一周旅行も可能で。アライアンス未加盟のバラバラな航空会社同士ではこうはいきません。

・乗り継ぎがスムーズ:アライアンスに加盟する航空会社同士であれば、スルーチェックイン(乗り継ぎ便まで手荷物を自動で送り、搭乗券も一括発券)に対応しているため、途中の乗り継ぎ空港で荷物を受け取って再預けする手間が省けます。また、乗り継ぎ時間が短い場合でも、主要空港ではアライアンス専用の乗継サポートチームが配置されており、接続便への案内や手配をサポートしてくれます。例えばスターアライアンスは9つの空港に「Connection Centre(乗継サービスチーム)」を置き、遅延などで接続が危うい場合に旅客や手荷物が次便に間に合うよう調整しています。

・フライト irregular時の柔軟な対応:天候不良や機材故障などでフライトが遅延・欠航した場合でも、アライアンス内の他社便への振替が比較的スムーズに行われる傾向があります。例えば、あるスターアライアンス加盟航空会社の便が欠航した際に、同じスターアライアンス内の別の航空会社便に空席があれば優先的に振り替えてもらえるケースがあります。また、旅程全体をひとつの予約記録で管理できるため、途中区間でのトラブル時にも残りの接続便に情報が共有され、代替案内が受けやすいというメリットもあります。

・サービスの共通化・向上:アライアンス加盟各社はサービス品質のベストプラクティスを共有し合っています。そのため、機内サービスや安全基準、カスタマーサービス研修などで相互にノウハウを提供し合い、結果として加盟各社のサービス水準が底上げされる効果があります。実際、先述のようにワンワールド各社は高品質なサービスで知られ、スターアライアンスも共通のサービス指針を設けています。また各社のWebサイトやアプリから、提携他社便の検索・予約ができるよう連携が進んでおり、ユーザーインターフェースの面でも利便性が増しています。近年はアライアンス全体でデジタルプラットフォームを整備し、手荷物の追跡や事前座席指定を一括管理するなど、利用者体験の向上が図られています。

以上のように、航空会社側にとってアライアンス加盟は収益拡大とサービス向上の戦略であり、競争が激しい航空業界において単独では太刀打ちしにくい課題を連合の力で補完し合う意義があるのです。

三大アライアンスの違いと注目ポイント

最後に、スターアライアンス・ワンワールド・スカイチームそれぞれの違いや注目すべきポイントをまとめてみます。

• 規模とネットワークの違い:スターアライアンスは加盟社数・路線網ともに最大で、世界ほぼ隅々までカバーする圧倒的なスケールが魅力です。ワンワールドはメンバー数こそ少ないものの各地域の一流エアラインが揃っており、必要十分なネットワークを質高く提供している印象です。スカイチームは規模的には中間ですが、中国・東南アジアやアフリカなど新興市場も含めた多彩な路線網を持ち、近年は欧州のSAS加盟や英ヴァージン加入で弱点だった北欧・英米路線も補強されています。

• 日本市場での存在感:日本人旅行者にとって身近なのは、やはりANAが属するスターアライアンスとJALが属するワンワールドです。ANA/JALの国内線から、そのまま国際線に乗り継いで海外へ向かう場合、自然とそれぞれのアライアンス利用になります。スカイチームは国内キャリア不在とはいえ、成田・羽田からソウルや上海経由でアジア各地へ、あるいは欧米へデルタ便で直接…という具合に間接的に利用機会は多いです。特にデルタ航空は日本路線が多く、マイレージ会員も多いため、日本でもスカイチームのサービスを体験しているビジネスパーソンは少なくありません。

• サービス・ステータス制度の違い:ワンワールドだけ上級会員ステータスが3段階に細分化され、最上位のサービス範囲が広いのは先に触れた通りです。スターアライアンスとスカイチームは2段階でシンプルですが、スターアライアンスは世界最多の加盟社ネットワークでゴールド資格が通用する範囲が非常に広く、出張先が多岐にわたる人には頼もしいでしょう。スカイチームのエリートプラス資格も基本的な特典は同様ですが、加盟社の一部(例えば中国系航空会社など)ではラウンジやサービス水準が異なる場合もあり、地域ごとのサービスばらつきは若干指摘されることがあります。しかし各アライアンスとも近年はサービス標準化に努めており、大きな差は縮まりつつあります。

• 加盟航空会社のカラー:スターアライアンスは「全方位型」で、レガシーキャリアから新興国の航空会社まで幅広く含む懐の深さがあります。そのため一枚岩というより多様性の集合体というイメージで、利用者から見ると選択肢が豊富です。ワンワールドは伝統と高級感を備えた航空会社が多く、「空のファーストクラス連合」のような雰囲気があります(実際、ファーストクラス提供会社数は他アライアンスより多いです)。スカイチームは実用重視で堅実な航空会社が揃う印象で、ビジネスライクに目的地へ着くための合理的なネットワークといった特徴です。もっとも各アライアンス内でも会社ごとに強みやサービスは異なりますので、一概には言えませんが、加盟社の顔ぶれからアライアンス全体のカラーが感じ取れるでしょう。

おわりに

航空アライアンスは、ビジネスの効率化と旅の快適さを両立させる現代航空業界のキーコンセプトです。それぞれのアライアンスが切磋琢磨しつつ協調することで、私たち旅行者は世界中どこへ行くにも以前より便利で豊かなサービスを受けられるようになりました。ぜひ次回の出張や旅行計画の際には、アライアンスの特徴を意識して航空会社やルート選びをしてみてください。きっと旅がスムーズになり、マイレージやラウンジなどビジネス+ライフスタイルを充実させる特典も享受できるはずです。航空アライアンスを上手に活用して、快適でお得な空の旅を楽しみましょう。

文/鈴木林太郎

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