
【挑戦者たち〜ヒット商品が生まれた瞬間】理研ビタミン『パッとジュッと』──「凍ったままおいしく焼ける」楽ウマ革命!独自開発ソースで挑む、時短レシピの理想形
鶏むね肉に下味をつけて冷凍保存&凍ったままフライパンで焼くだけ。仕事や子育てに忙しい世代に支持され、大ヒットを記録した理研ビタミン『パッとジュッと』。DIME9・10月合併号に掲載された人気連載「挑戦者たち〜ヒット商品が生まれた瞬間」を@DIME読者にもお届け!

瀧田薫平(たきた・くんぺい/右)
家庭用食品東京営業部 営業第2チーム。『パッとジュッと』の特徴や利点を小売店や顧客に説明するため奮闘。
菊子拓真(きくこ・たくま/中央右)
食品企画開発部 新規企画グループ。『パッとジュッと』を着想、多忙な共働き世代をターゲットに商品を開発。
井上愛樹(いのうえ・あき/中央左)
食品企画開発部 メニュー開発グループリーダー。菊子の上司として、着想を具現化するためのチームを構築。
尾形卓哉(おがた・たくや/左)
食品技術開発部 技術第4グループ。様々な味付け、配合、焼き方を試し、人気の源となる『肉ピタソース』を開発。
頑張る世代に〝焼くだけのごちそう〟を届けよう!
理研ビタミン(以下リケン)の菊子拓真は幼少期、なぜか作り置きのごはんが嫌いだった。仕事で忙しい母は「じゃあ自分で作りなさい」と苦笑しつつ、彼のために手際よくごはんを作ってくれた。そんな姿を見るうち、彼はいつしか自身も料理が好きになっていった。大学では化学を修め、卒業後「研究体制がしっかりしているから」とリケンの研究職に就いた。
ちなみに同社の商品は「リケンのノンオイル 青じそ」などの一般消費者向けだけではない。
「売り上げの約8割は、飲食店のセントラルキッチンに向けた業務用の調味料や、加工食品メーカー向けの改良剤が占めています。例えばハンバーグや餃子の具の保水性を向上させたり、麺をほぐれやすくする製品ですね」
その後、彼は家庭を持ち、今度は菊子自身が仕事に子育てにと忙しくなっていった。そんな中、彼はあるライフハックを試した。
「2018年頃に『下味冷凍』が流行ったんです。週末に肉をまとめ買いしてタレに漬け込んで、ジッパー付きの袋で冷凍し、平日に解凍して焼くものでした」
便利と言うには惜しかった。漬け込む時に調味料の量を計るのも、食べる日の朝、冷蔵庫に移し変えて解凍するのも手間だったのだ。
2021年、彼は一般消費者向け商品を開発する部署に異動になった。その後、「さて何を作ろう?」と共働き世帯のインタビューを繰り返すうち、ふと思い出した。
「あのライフハック、うちの技術を使えば凍ったまま焼けるはずだし、もっとおいしくできるんじゃないかな?」
家庭では作りにくい味を選定

理研ビタミン『パッとジュッと』各249円 (編集部調べ)
左)ネギと塩麹の旨味が利いた「ねぎ塩麹」
右)コチュジャン風味の「甘旨ヤンニョム」
ほんの少しの水が味を大きく変えてしまう
肉を放っておくと下にたまる赤色の液体をドリップという。これが抜けると肉のおいしさも抜けてしまう。しかしリケンには、肉に揉み込んでおくとドリップを保持できる改良剤があった。
「あらかじめ調味料と改良剤を混ぜ、そこに切った肉を入れ揉み込みます。その上で冷凍すれば、単純な下味冷凍より肉がジューシーに焼けるはずです。また当社には〝加熱しても焦げにくい調味料〟という特許技術もあります。これを使えば、凍った肉をフライパンに載せて焼くだけでおいしくなるかも、と思ったんです」
一度作ってみようと、東京・四谷の本社から埼玉・草加の研究所に向かった。当時はコロナ禍の最中で、他部署の人間は感染防止のため隔離されてしまう。菊子は広い倉庫の端に仕切られた小さなスペースで作業を始めた。
すると、つい先日まで一緒に働いていた研究所の仲間が数人、「何してんの?」と見に来た。その中に尾形卓哉がいた。
「菊子の話を聞いて『それ、めちゃめちゃ面白そう!』と感じました。当社独自の技術あっての商品だから、世に出して反応を見てみたいと思ったんです。あと、実は私も、家族のために料理をするのが好きなので、自分自身、使ってみたいと思いました」
その後、菊子は試作品を尾形や上司の井上愛樹にも食べてもらった。井上もやはり面白いと感じたが、同時に「これは作り込みが大変かも」とも感じた。
「例えば凍った肉をフライパンで焼く時に少し水を入れると熱が伝わりやすくなります。でもその『少し』が難しいんです。大さじ何杯も入れると熱が伝わりすぎてパサつく原因になりますし」
文字通り〝さじ加減〟が難しいのだ。しかも新規性が高い商品だから、小売店のバイヤーに理解してもらえるかが肝になる。バイヤーに理解されなければ、売り場で消費者にも伝わらない。
井上は「こういう難度が高い仕事はやりたい人に任せるべき」と考えたため、チーム編成は理想的だった。菊子に加え、尾形ら構想に共感した技術陣。30代、共働きで、家族のために料理もする、そんな人間たちのチームだった。
『パッとジュッと』、これが調理法

(1)鶏肉を切って袋に入れる
一口大にカットして『肉ピタソース』が入った袋にイン。ジッパーを閉じてソースを揉み込む。

(2)冷凍庫に入れる
袋の空気を抜いて保存。8時間以上冷凍したほうがおいしく、約1か月間は風味が変わらない。

(3)フライパンにダイブ
解凍不要ですぐ調理可能。取り出しにくい場合は袋のまま流水に10秒ほどさらしフライパンへGO。

(4)あとは焼くだけ
大さじ1の水を加え、蓋をして弱火で約8分、半解凍の状態でひっくり返して全体に火を通す。