
リモートワークや働き方の変化によって、勤務地が変わる転勤に関しても考え方に変化がみえそうだ。エン・ジャパンは、運営する日本最大級の総合求人サイト『エン転職』上でユーザーを対象とした「転勤」に関するアンケート調査を実施して、その結果を発表した。
それによると転勤経験者の44%が転勤をきっかけに退職を考えたことがあると回答しており、とくに20代は4人にひとりが実際に退職をしたことがあった。若い年代ほど転勤への抵抗感が大きい傾向が見えたという。
転勤経験者の44%が転勤をきっかけに退職を考えていた!
・これまでに「転勤」をしたことはありますか?(年代別)
・これまでに「転勤」をしたことはありますか?(男女別)
過去に転勤したことがあるか質問すると、20%が「ある」と回答。年代別では、若い年代ほど転勤経験が少なく、20代と40代以上では20ポイントの差があった。転勤経験を男女比でみると、男性の32%に対して女性は7%で性別でも差があった。
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤は、単身赴任ですか? 家族揃っての転居ですか?
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤をきっかけに退職を考えたことはありますか?(年代別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤をきっかけに、退職を考えたことはありますか?(男女別)
転勤をしたことがある人に限定して、「転勤の際は単身赴任をしましたか?ご家族揃って転居しましたか?」と質問すると、約7割が「単身赴任をした」(69%)と回答。転勤をしたことがある人に「転職をきっかけに退職を考えたことはありますか?」と質問すると44%が「ある」(実際に退職した:12%、ある:32%)と回答し、年代別では20代:69%、30代:61%、40代以上:40%が「実際に退職した」「ある」と答えており、年代が低いほど転勤への抵抗感が大きいことが浮き彫りになった。
ちなみに転勤をきっかけに転職を考えた具体的なエピソードについては、「転勤先での待遇が事前の説明と違い、不利益を被った」(30代男性)や「転勤先の街を気に入り、定住するために退職した」(30代女性)といったコメントがあった。
転勤の辞令が出たら、全年代で半数以上が退職を検討
・今後、転勤の辞令が出た場合、退職を検討するきっかけになりますか?(年代別)
・今後、転勤の辞令が出た場合、退職を検討するきっかけになりますか?(男女別)
「今後、転勤の辞令が出た場合、退職を検討するきっかけになりますか?」という質問では、全年代で半数以上が「なる」と「ややなる」(20代:66%、30代:67%、40代以上:54%)と答えている。男女別では、男性:52%、女性:65%が「なる」「ややなる」と回答しており、女性のほうが抵抗感が大きいことがわかった。転勤の辞令が出た場合の対応については、「なる」もしくは「ややなる」と回答した人のなかには「地元もしくは住みたい地域でなければ、転勤してまで仕事を続けたいとは思わないから」(20代女性)や「生活拠点が変わることは職場が変わることと同様に大きな変化であり、転職も考える余地があるから」(30代男性)といった転勤による生活拠点の変化を嫌がるコメントがあった。一方で「あまりならない」や「ならない」と回答した人では、「環境の変化がキャリアに良い影響を与えるきっかけにもなると思うため」(30代男性)や「ほかの地域に行くことは、自分の知見を広げるチャンスだと思っているため」(40代男性)といった変化を肯定的に捉えている理由が挙がった。
転勤先のエリアは、海外は中国、国内は東京都が最多
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤していた(している)期間と転勤回数が2回以上ある場合は、合算の期間を教えてください。(複数回答可/年代別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤していた(している)期間と転勤回数が2回以上ある場合は、合算の期間を教えてください。(複数回答可/男女別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)これまでの転勤回数を教えてください。(年代別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)これまでの転勤回数を教えてください。(男女別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤していた(している)場所を教えてください。(複数回答可)
転勤経験者の転勤していた(している)期間は、いずれの年代も「1年~3年程度」が最多だった。転勤回数については、3回以下は20代がもっとも多く、4回以上は年代が上がるごとに割合が高まる結果になった。転勤をしていた(している)場所では、海外は中国(34%)、国内は東京都(24%)がトップだった。転勤してよかった場所については、海外では「タイは歴史が深く、人も優しく、食べ物も美味しい。そして気候も良い。時間がゆっくり流れている感じがした」(50代男性)や「ブラジルでは文化や商習慣を学ぶ事ができた。現地で他社の駐在日本人の方と交流を持つ事ができ、その交友関係が今なお続いている」(50代男性)や「中国で一緒に働いた方は勤勉な方が多かった。また、治安も良かった」(50代男性)というコメントがあった。国内では、「大阪は電車、車ともに交通の便が良かった。飲食店や商業施設が多くプライベートでも楽しめた」(30代女性)や「滋賀県は車がないと不便ではあるが、自然が多くアウトドアが趣味な人にはもってこい」(40代男性)いったコメントがあった。
転勤で良かったことは「知らない土地・環境を知る機会になった」
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤を経験して良かったことを教えてください。(複数回答可/年代別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤を経験して良かったことを教えてください。(複数回答可/男女別)
転勤経験者に、転勤して良かったことを質問すると、トップは「知らない土地・環境を知る機会になった」(56%)という回答だった。ちなみに転勤を経験して良かったことでは、「ここでしか出会えない人や環境で暮らせるのが面白いと感じ、自分の世界が広がったと思う」(30代女性)や「地元の人とその地域住民しか入れない温泉に入ったり、ご飯を一緒に食べたりして思い出ができた」(40代男性)といった理由が挙がった。
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤を経験して良くなかったことを教えてください。(複数回答可/年代別)
・(転勤をしたことが「ある」と回答した人)転勤を経験して良くなかったことを教えてください。(複数回答可/男女別)
転勤して良くなかったことについては「特にない」(28%)が最多だったが、年代別では「退職のきっかけになった(退職した)」が世代間での乖離がもっとも大きく、若い年代ほど転勤への抵抗が大きいようだ。男性の最多回答が「特にない」(28%)に対して、女性の最多回答は「新たな人間関係作りに手間取った」(38%)と性別による違いもあるようだ。転勤を経験して良くなかったこととしては、「子供の急病に対応できなかった」(40代男性)や「親族の葬儀に参加できず、家族に気まずい思いをさせてしまった」(40代女性)といった家族に関するエピソードが挙がった。退職のきっかけになった人では、「支社のお膝元の事務所に配属になり、優秀な先輩ばかりの中での業務は気が張った」(30代男性)や「一度転勤を引き受けると、また引き受けてくれると思われるようになる。転勤してくれる社員として、いつ離れても業務に差し支えのない仕事が優先的に回されるようになった」(40代女性)など仕事に直接関係することが理由だったようだ。企業によって働き方の変化で転勤の在り方は変化していくはず。転勤の打診は、今後のキャリアを再考する機会として向き合うことが大切かもしれない。
■「転勤に関する実態調査」概要
調査方法:インターネットによるアンケート
調査対象:『エン転職』を利用するユーザー
調査期間:2025年6月2日~2025年6月30日
有効回答数:2303名
https://employment.en-japan.com/enquete/report-122
https://employment.en-japan.com
構成/KUMU