
8月9日オープンの『まにまに/manimani』はユーザーとブランドが出会える場所
自分らしく生きることは、ウェルビーイングな日々を送ることに直結する。近年は働き方や住むエリアなど、ひとつの肩書や場所にとらわれることなく自由な選択をする人も増えている。自分らしい生き方を追求することで、ウェルビーイングな暮らしや生き方が実現できるかもしれない。
PR支援会社の株式会社Biime(ビーミー)が8月9日、カフェ併設の体験型セレクトショップ『まにまに/manimani』を東京・渋谷区の笹塚にオープンした。Biimeはファン共創型のPR・広報支援パートナーとして、企業のブランディングやプロモーションをサポートしている企業。元パン職人で同社代表の上米良優季さんによると、社名は「おいしい」=「美味」を意味している。
今回オープンした『まにまに/manimani』は上米良さんがオーナーを務めており、Biimeを通してこれまでサポートしてきた企業の創り手(ブランド)の商品を、実際に手に取って試すことができる場として誕生した。“PR支援会社の代表”というひとつの肩書に留まらず、応援したい企業の商品をリアルに届けるために新たな形としてスタートしたのが『まにまに/manimani』なのだ。
『まにまに/manimani』で現在取り扱っているブランドは、カラダにやさしい宇治抹茶スイーツやドリンクを扱う『千休(せんきゅう)』や、“嗜む紅茶”を通じてウェルネスを実現する紅茶ブランド『VITABOX TEA』、“畑から始まる商品づくり”をコンセプトに展開する『自然派きくち村』、創業72年のファクトリーブランド『アシゴト』など。企業PRはメディア露出やSNSでの発信に重きが置かれがちだが、上米良さんは同店について、「デジタル上だけでなく、“リアルな場所”の持つ強さも感じていて、実際にユーザーがブランドと出会える場所として、そしてブランドもテストマーケティングできる場所をやりたいなと思ったのが、最初のきっかけです」と語った。
また同店のコンセプトにしているのが「『好き』と『隙(すき)』を包む場所」。上米良さんは、「『好き』というのはlikeやloveの好き。『隙』というのは余白や空白のこと。同じ言葉でも持っているものが違います」と語った。
「私は今29歳で、自分の会社をやりながら日々忙殺されてしまっていました。その中で、私たちがサポートさせていただいている企業さまや、御一緒させていただいているブランドさまのアイテムは、『日常の中でちょっと取り入れるだけでほっと一息する』『何となく時間の流れが緩やかになる』『自分が今感じていることに目を向けられる』ところがあると私自身がすごく感じました。そういう場所をこのカフェという空間で作ることができればいいなと思い、『まにまに/manimani』をオープンすることになりました」
この場所を訪れる人にとっても、日常の中の一息や自身の暮らしに目を向けることができる。ウェルビーイングな時間を感じることができるのだ。
あんこや抹茶、グラスフェッドビーフ…併設カフェではこだわりのフードとドリンクを提供
『まにまに/manimani』ではカフェも併設。和食料理人で365日あんこを食す「あんこマイスター」でもある美濃あんこさんがシェフを務め、豆の旨味を引き出した白砂糖を使わないオリジナルのあんこを使用したスイーツやドリンク、取扱ブランドの食材を使用したフードメニューなどが揃う。
例えば、オリジナルあんこを使用しバニラとラムが香る『あんこカヌレ』や、京都産の本わらび粉を使ったわらび餅に黒糖とあんこが寄り添う『まあるく、やわらかく、包まれた私。』、
『千休』で取り扱う宇治抹茶とあんこゼリーを使用した『まにまに抹茶ラテ』などが提供される。
抹茶ラテは美濃さんが目の前で抹茶をたて、いれたてをそのままミルクの中に流し込むデモンストレーションも見ることができる。
ミルクだけでなく、アーモンドミルクやオーツミルクに変更も可能だ。
フードメニューも、『自然派きくち村』の味噌に漬けこんだチキンソテーと彩り野菜に、笹塚で愛されるパン屋・ドウイストの湯種パンを使ったサンドイッチ『チキンが語る、やさしいひるまえ。』や、牧草を食べて育ったグラスフェッドビーフを使用したすき焼き『グラスフェッドビーフの、本格すき焼き』など、お腹をしっかり満たすことができる。
すき焼きを提供する際に使用する鍋も、群馬県高崎市発の直火可能なテーブルウェアブランド『HEGE』の直火鍋を使用。商品が実際に使われている様子を目の前で見ることができる。
店内には料理に使用された抹茶や直火鍋などのブランドの商品が実際に並んでいるため、カフェを利用して気に入ったらそのまま購入できるのが魅力だ。またその逆で、ふらっとブランドの商品を見に立ち寄ったついでに、ドリンクやフードをオーダーしてみることもできる。
上米良さんは、「直接知ってもらったり想いを伝えたりする場所が、デジタルの領域だけだとなかなかやり切れないと痛感してきました。その中でBiimeとしても、こういう場所をうまく活用していきたいなと思いました」と語る。
「私たちが作っているこの場所は、ただのカフェではありません。大きな特徴としては、『感性で選ぶ』というところを大事にしています。物語をちゃんと知って、ブランドのことをちゃんと理解した上で物を買う。そして、そのブランドを選んだ後に家に持って帰ってもらって、日常でそれらの商品を使う中で余白が生まれる。“好きなものに囲まれていく”というところで、自分のこだわりや、時間軸が緩やかに流れていく体験をしていただきたいという想いがあります」
ただのセレクトショップ、カフェではなく、ブランドの「物語」や実際に日常で使用する風景も感じることができるのが、『まにまに/manimani』の特徴だ。
“好き”がそのまま生き方になった3人 『まにまに/manimani』を通して「癒される」感覚を届けたい
オープン前に開催されたメディア向け発表会では、美濃シェフと、『千休』の代表で365日抹茶を嗜む“なまっちゃ”さんこと久保田夏美さんによるトークセッションも行われた。
美濃さんは宮城県出身。あんこの魅力にとりつかれたのは上京してからだという。それまでは一切和菓子を食べていなかったと言い、「東京に和菓子屋さんがたくさんあって、食べた時に『うまいじゃん!』と。そこがキッカケで和菓子にハマっていきました。気づいたらずっとあんこを食べているという状態です」と振り返った。
一方の久保田さんは、中学生時代に紅茶やコーヒーが苦手で、友人たちと行くカフェではいつも選択肢が「オレンジジュースか抹茶ラテ」だったという。「友達がカフェラテを飲んでいても、抹茶ラテだったら『自分だけジュース』という感覚がなくなると思って頼んでいました」という理由からだ。本格的に抹茶にハマるキッカケとなったのは、アイドルグループ『℃-ute』の元メンバー・鈴木愛理の存在だった。「私は元ハロプロの鈴木愛理さんが大好きで、たまたま鈴木さんが、京都・宇治市の観光大使をやっていました。その中で、『石臼で抹茶を挽いてみよう』『茶摘みをしよう』という企画があり、それを追いかけている内にどんどん抹茶にハマっていきました。気づいたらもう、“抹茶の虜”という感じです」と、推し活から抹茶にのめりこんでいった。
そこから『千休』を立ち上げた久保田さん。「『千休』のコンセプトは“心に晴れの一服”です。日常生活って大変なこともありますし、疲れることもいっぱいあります。抹茶を飲む瞬間だけでも、ほっこり心が晴れるような、“天気は晴れ”な思いです。明るい気持ちで一服して欲しいところから、このコンセプトにしました」と語った。
『まにまに/manimani』で提供されるカフェメニューも、抹茶を使用したメニューは久保田さんが監修に入っている。共にメニュー開発した美濃さんは、「僕は料亭の懐石料理出身なので、ドリンク開発をそこまでやったことがありません。抹茶に関しては茶道を少し習っていました。ただそれだけだったので、『抹茶ラテ』の作り方や割合を調べて作りました」と明かした。「久保田さんには、飲んでいただいた後のフィードバックをたくさんいただきました。特に細かいフィードバックがとても的確で! 自分1人で作っていると、『これでいいのか?』と不安になりますが、『もうちょっとこうしてください』という細かいフィードバックがあったので、今の味に到達できました」と感謝した。
監修に入った久保田さんは、「今、抹茶は流行っているので、どこのカフェも抹茶ラテや抹茶のスイーツを出しています。今回はコラボもするし、私自身が抹茶が好きなので、『抹茶好きがやっているからこそのもの作りたい』と思い、あんこを葛餅にしてアクセントにしてみたり、抹茶ラテが主流な中で、そこに炭酸水を入れて抹茶スカッシュにしたり、工夫をしました」と語った。抹茶マニアだからこその独創的なメニューだが、「美濃さんはいろんな思いを汲み取っていろいろ試作してくださったので、すごく良かったです。結果的に、“王道だけどちょっとひと手間”が加えられた、細かいところに行き届いた作品になりました」と喜んだ。
美濃さんは『千休』の抹茶の魅力について、「いろいろな抹茶飲んできた中で、『千休』さんの抹茶は一切胸やけしなかったんです」と語り、「何度も試作重ねて量を飲むので、抹茶によっては『今日はもう飲めない』ということがありました。でも『千休』さんの抹茶はカフェインを抑えてテアニンを多く含むのでだるくならないし、苦くない飲みやすさがあります。他の抹茶ドリンクと比べてもおいしさが全然違います」と称賛した。
久保田さんは、「宇治の本場に行った時に、その抹茶の色のキレイさと香りの高さ、味の深みに出会って抹茶が大好きになりました。この『まにまに/manimani』がキッカケになって、抹茶を好きになってくれて、『癒される』という感覚がこのお店で生まれてたらいいなと思います」と思いをはせた。
PR支援会社で各企業のPRをサポートしながら『まにまに/manimani』を運営する上米良さん、あんこが大好きであんこを使った料理やドリンクを提供する美濃さん、そして抹茶が大好きで会社を立ち上げ、今回はカフェメニュー監修も行った久保田さん。『まにまに/manimani』に関わる人々は、それぞれの“好き”や“やりたい”という思いから、1つのキャリアに留まらず自分らしく生きる道を開拓している。そこで生まれた熱意やワクワクが、人々の困りごとの解決や“良いもの”を伝えていく原動力になっている。まさにウェルビーイングな、自分らしい生き方だ。
そして、この『まにまに/manimani』を訪れる人もまた、息抜きやリラックス、新しい発見など、ウェルビーイングな一歩を踏み出す時間やアイテムに出会えるかもしれない。
取材・文/コティマム 撮影/杉原賢紀(小学館)