
「懐が深い」とは、他人を受け入れる包容力のある人を指します。この記事では、その意味や類語との違い、懐が深い人の特徴、そして日常で実践できる3つのポイントを解説します。あなたも懐の深い人に近づくヒントが見つかるはずです。
CONTENTS
「懐が深い」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか。おそらく多くの人が、人から言われたら嬉しい、ポジティブな意味合いだとは分かるはず。しかし、どういう人のことを指すのか、具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、「懐が深い」という言葉の意味や類語との使い方の違い、共通する特徴、そして近づくためのポイントを解説します。
「懐が深い」とは?
まず、「懐が深い」とはどんな意味の言葉なのかを見ていきます。
「懐が深い(ふところがふかい)」の意味
小学館のデジタル大辞泉によると
1 相撲で、腕と胸のつくる空間が大きく、相手になかなか回しを取らせない。
2 心が広く、包容力がある。
とあります。1は相撲の世界で使われている表現となり、一般的に使われているのは、2のほうです。
「懐が広い(ふところがひろい)」との違いは?
似たような言葉で、「懐が広い」があります。
「懐が広い」は、「懐が深い」と同じような意味で使われている言葉ですが、辞書には記載がありませんでした。日常会話で使われる口語的な表現では使用しても問題ないものの、「懐が深い」のほうが正しい表現と言えます。
「器が大きい(うつわがおおきい)」との違いは?
次も似たような意味で使われる言葉として「器が大きい」があります。
この言葉の意味は、小学館のデジタル大辞泉によると
小さなことをいちいち気にしない人のこと。多少のことで怒ったり悲しんだりしない人のこと。
とあります。小さいことを気にしないという部分から、寛容であることが読み取れます。「懐が深い」の包容力があるという意味とは少し異なるようです。
「寛容」は、小さなことという限定された範囲を指すのに対し、「包容力」は広範囲を包括的に受け入れることを指します。
「懐が深い」人の特徴とは
「懐が深い」という言葉の意味が分かったところで、次に懐が深い人にはどのような特徴があるかを確認していきます。
1.他人のミスを責めない
もし誰かがミスをしても、懐が深い人は決して一方的に責め立てません。誰にでも間違いはあると理解しているため、その人が一番気まずい思いをしていることを察して、さりげなくフォローに回ります。
さらに、単に間違いを許すだけでなく、「なぜこのミスが起きてしまったのか」を共に考え、今後のための改善策を探してくれます。
このような寛容な姿勢が、周りから厚い信頼を集めるのです。
2.感謝や謝罪を素直に伝えることができる
感謝と謝罪の言葉を素直に伝えられることも、懐が深い人の大きな特徴です。懐が深い人は、立場や年齢、つまらないプライドに捉われません。自分に非があれば、たとえ相手が部下や子供であっても立場に関係なく誠実に謝り、助けてもらえば感謝します。
また、他人の才能を妬むのではなく、自分のことのように喜んで賞賛できる心の広さも持ち合わせています。
3.周囲への配慮ができる
懐が深い人は、物事を自分中心に考えません。常に自分よりも周囲を優先して行動します。周囲の状況に気を配り、みんなが気持ちよく過ごせるよう配慮できるのです。
懐が深い人は常に全体を俯瞰して、「今、何をすべきか」を冷静に判断できるので、リーダーにも適しています。
4.誰にでも公平
懐が深い人は、誰に対しても公平な態度で接します。周囲の噂話や個人の偏見で人を判断することはなく、自分の目で見た相手を尊重することができるのです。
また、過去の出来事に捉われないのも大きな特徴です。たとえ以前にトラブルがあった相手でも、そのことは水に流し、分け隔てなく接することができます。常に目の前の相手と真摯に向き合うその姿勢は、懐の深さの表れと言えるでしょう。
懐が深い人に近づくためのポイント
懐が深い人は、周囲に対して誠実であり、それが魅力になって周囲の人を惹きつけます。そんな懐が深い人に近づくためのポイントをご紹介します。
1.感情をうまくコントロールする
人間ですから多少気持ちがざわつくのは当然です。そこから感情的になってしまうかどうかが、懐の深い人かそうじゃないかの違いです。感情的になると周りが見えなくなり、人を一方的に責めてしまいがちです。懐が深い人は、常に冷静で、自分の感情をうまくコントロールします。この部分を手に入れられれば、懐の深い人にグッと近づきます。
感情の扱い方は、感情を乱されたときには深呼吸などで時間を置いたり、物事のポジティブな側面に目を向けたりしてみてください。すぐには無理でも、何度か繰り返すことで冷静さを取り戻すことができるようになっていきます。
2.自分の価値観や偏見を理解し、左右されない
懐が深い人は、自分の価値観や偏見を通して人を見ません。「こうあるべきだ」という固定観念に縛られたり、無責任な情報に惑わされたりすることなく、常に広い視野で物事を捉えようとします。だからこそ、人それぞれの違いや長所を素直に認めることができるのです。
学歴や肩書といった表面的な情報ではなく、目の前の相手その人と公平に向き合うこと。この先入観のないフラットな姿勢を持つことが大切です。
3.客観性を身につける
懐が深い人が誰にでも優しくできるのは、感情的になる前に「相手の立場だったらどうだろう?」と客観的に考える習慣があるからです。
その客観性を身につけられる方法として、あえて自分と異なる意見を聞き、多様な視点を取り入れてみてください。そして、日記などで自分の言動を書き出し、客観的に振り返ることで、独りよがりな判断を防ぎます。こうした地道な積み重ねが、物事を多角的に見る力を養い、相手を思いやる懐の深さへとつながっていきます。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
職場で、「ちゃんと説明したのに伝わっていない」「無愛想って思われたかも……」「なぜか人間関係がギクシャクする」。そんなふうに感じたことはありませんか? 真面目に…
「コミュ力おばけ」がまぶしいあなたへ、職場で疲れない距離感のつくり方
職場にひとりはいますよね。どこに行ってもすぐに誰かと仲良くなって、会議や雑談でも自然と場の中心になる人。SNSでは、そんな人たちを「コミュ力おばけ」と呼ぶようで…