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民事再生の会社を業務用国内No.1企業へ!マッサージチェアの売上を14倍まで急伸させた秘策

2025.08.12

雑誌「DIME」2025年9・10月合併号では「2025年上半期ヒットランキング」と題し、DIME編集メンバーが〝高い納得度〟を感じた商品、コンテンツ、サービスなど様々な最新ヒット事例について紹介している。そんなヒットランキングの特集を最新号で組んでいることにちなんで、本記事では、ある用途に特化した商品の開発・販売により、売上高が最大約14倍(2011年と2023年の比較)に拡大した、株式会社日本メディック(以下、日本メディック)のマッサージチェアを紹介しよう。

存続の危機に陥った企業を再生すべく
業務用マッサージチェアの開発に挑戦

日本メディックはかつて、マッサージチェアなどのコイン式健康器具を温浴施設などに設置し、運営も行なっていた企業だ。しかし2011年、当時仕入れていた健康器具メーカーの販売方法の変更などによって状況は一変。事業が立ち行かず、民事再生の適用を申請することになった。

会社の存続をかけ、同社社長を務めていた城田裕之氏(現会長)が決断したのは「これまでにない業務用に特化したマッサージチェア」を自社で開発すること。2011年当時まで主流だった〝家庭用をベースにする〟のではなく、城田氏が熟知していた業務用特有の課題を解決する全く新しいマッサージチェアを目指したという。

業務用の開発で苦労したのは耐久性の確保!
利用したいと思わせるフォルムづくりにも注力

業務用特有の主な課題として挙げられるのは以下のとおり。

・不特定多数の使用に屈しない耐久性
・修理がしやすいメンテナンス性
・不具合があった際に求められる迅速なサポート体制

開発に当たって特に苦労したというのが「耐久性」の確保。家庭用の場合には一般的に長くても1000時間といわれる耐久テストを、日本メディックでは開発当初から2500時間も実施したという。同テストなどを通じて消耗・摩耗しやすいと判明したパーツについては簡単に交換できる設計とし、メンテナンス性も高めるとともに、維持費用の低減を可能にしたそうだ。

そのほか、同業者のネットワークから得られた業務用に対するニーズをふまえて「家庭用機器にはない豪華さ」「乗ってみたいと思わせるフォルム」の実現にも注力。家庭用では実現の難しい大型サイズ&近未来的なフォルムにこだわった。

温泉ホテルに置かれるマッサージチェアは
大浴場よりもロビーの近くのほうが利用率は高い

このような取り組みから完成した同社の『あんま王』をより多くの人に利用してもらうために、設置場所も大きく見直したという。マッサージチェアといえば、以前まで、温泉ホテルの大浴場の近くにある休憩スペースに置かれることがほとんどだった。しかし「大浴場に財布を持っていく人は少ない」「わざわざ部屋に財布を取りに戻らない」という声をもとに、ロビーの近くに設置することにしたのである。

「業務用に特化した商品づくり」と「利用しやすい場所への設置」が見事に奏功。あるホテルでは、ロビーの近くにマッサージチェアを置いたことをきっかけに、ホテルの売上が数倍増に。「収益が見込める施設の付加価値」として評価を高めた『あんま王』は、全国の様々な温泉ホテルへ次々に導入されていったという。

上記は初代『あんま王』を発売した2012年から2024年までの売上高。コロナ禍の影響で一時期は下がったものの、2023年および2024年はコロナ禍以前を超える売上高を記録している。

初代から最新機種まで着実にバージョンアップ!
様々な場所に設置されて利用シーンは拡大している

右肩上がりで着実に推移してきたのは、初代『あんま王』を発売して以降、着実に改良を重ねてきたことも大きいという。「マッサージチェアを利用している時に顔を見られるのが恥ずかしい」といった要望に応えるため、最新の上位機種『あんま王IV』はマッサージチェアとしては初めての試みとして、人の視線を遮ってプライベート空間を演出する「フルフェイスフード」を搭載した。「汚れが目立つ」という理由で業務用としては敬遠されてきた「白い本体色」も採用。近未来的な印象が一層強まり、これまで以上に「乗ってみたい」「試してみたい」と思わせる進化を遂げている。

温浴施設やホテルだけにとどまらず、新しい設置場所への導入も積極的に提案。新幹線の待合室、空港、ネットカフェ、フィットネスクラブ、コワーキングスペースなどにも置かれるようになってきた。最近では、企業の福利厚生としてオフィスに採用されるケースも。2024年には新橋SL広場近くにある商業施設に置かれて、ビジネスパーソンから観光客まで、様々な人に利用されているという。

2025年時点においてシリーズの累計販売数は約2万台で、業務用マッサージチェアとして国内トップシェアを誇る日本メディックの『あんま王』シリーズ。それまでの知見を生かした新事業への挑戦、特定の用途にフォーカスした商品開発、そして積極的な設置場所の開拓など、日本メディックの取り組みは、DIME読者の皆さんが日頃から仕事で取り扱っている商品やサービスを大ヒットさせるうえで、大いに参考になるに違いない。

日本メディック
最新上位機種『あんま王 IV』

●サイズ:W85×D170×H109cm(リクライニング時)
●重量:95kg
●消費電力:110W

詳細説明サイト
https://www.nihon-medic.co.jp/machine_anmaou_four.html

取材・文/田尻健二郎


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