
NTTドコモ(以下、ドコモ)は、NTTドコモグループ(※1)の新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」を通じて社員が発案した、AIを活用した次世代のアニメ制作支援基盤「ANICRA(アニクラ)」 のスピンアウト(※2)を決定。
そこで「ANICRA」を開発・運営する母体として、ドコモ社員の坂東 裕太氏が代表取締役社長を務める株式会社CrestLabが2025年8月1日より事業を開始した。
なお、 CrestLab社への出資は、East Ventures、ドコモ、株式会社コルク、およびその他複数のベンチャーキャピタル、個人投資家が行なう。
※1 株式会社NTTドコモ、NTTドコモビジネス株式会社、株式会社NTTドコモ・グローバル、NTTドコモソリューションズ株式会社
※2 スピンアウトとは、企業が特定の部門や事業を分離して新会社として独立させることで、元の企業からの出資を受けない、もしくはマイナー出資で独立する場合をいう。
・docomo STARTUP」は、株式会社NTT ドコモの商標、「ANICRA」は株式会社CrestLab の商標
「ANICRA」のスピンアウトについて
日本のアニメ産業は、世界的なアニメ人気の高まりにより拡大傾向が続く一方で、長時間労働や低賃金構造といった待遇課題による人材不足や、動画・仕上工程を中心とした海外へのアウトソーシングによる品質低下などの課題が深刻化している。
これらの課題を解決すべく、CrestLabは、主に動画や仕上を中心とした工程においてAI技術を活用することで、制作工程の効率化・省力化が可能な「ANICRA」を2025年に開発。複数のアニメスタジオとの実証実験において、対象工程の内、約7割の工数削減を実現し、生産性と品質の双方で高い効果を確認している。
今回の発表に際しCrestLab は、「AI による制作支援を通じて制作現場の効率化と品質向上を図ることで、クリエイターがより創造的な作業に集中できる環境の実現をめざします。これにより、日本発のアニメコンテンツ産業の持続的な成長に貢献してまいります」と述べた。
またドコモは「今後も『docomo STARTUP』を通じて新たな価値を提供し、社会を変える事業創出をめざして取り組んでまいります」とコメントしている。

「ANICRA」について
■概要
CrestLabが開発・提供する「ANICRA」は、アニメ制作の主に動画や仕上を中心とした工程において、 AIによる作業支援を行なう基盤と言える。
「ANICRA」の導入により、これまで海外外注に大きく依存していた工程を、国内の制作ライン内で効率的に処理できる体制に転換が可能になるからだ。これにより、制作現場の負荷を軽減しながら、品質を維持・向上させ、 国内クリエイターが創造的な工程により多くの時間を割ける環境を提供していく。

■背景と目的
日本のアニメは、世界各国の動画配信プラットフォームやSNSを通じて、いまやグローバル文化の一角を担う存在となっている。一方で、制作現場は国内アニメーターの減少、過重労働、多重下請け構造などの多くの課題を抱えており、さらには海外委託に依存している現状が続いてきた。
こうした状況を打開し、アニメ業界を“持続可能な創造産業”へと転換することを目的に、AI技術を活用。動画・仕上等の工程を中心とした作業の負荷が高い工程を ANICRA で支援することで、作品の制作スピードと品質の両立、そしてクリエイターの創造性の最大化を目指す。
■「ANICRA」の特徴

<動画・仕上等の工程をAIで支援することで制作の効率化と負荷軽減を実現>
「ANICRA」は、アニメ制作の動画や仕上工程をAIでサポートすることで、工程全体にゆとりを生み出し、作品のクオリティをさらに高めるための時間と余力を創出する。
<プロダクション連携を通じた実制作環境への適応性の高さ>
実制作環境での評価・改善を通じて、2値化(※3)を維持した動画仕上の実現など、現場にフィットする 仕様設計・導入支援体制を構築。
※3 2値化とは画像の中間色をなくして二階調に分離すること。
<創業者によるクリエイター視点のプロダクト開発>
CEOの坂東氏は、自らが漫画原作・執筆経験を持ち、クリエイターコミュニティ運営や制作に従事してきた実績を持つ、制作現場視点のプロダクト開発者。
◎利用料金・申込方法はこちらから
https://crestlab-inc.com
関連情報
https://www.docomo.ne.jp/
https://crestlab-inc.com
構成/清水眞希