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AIに負けない働き方を実現するには何が必要?プロが薦める実践的なサバイバル術

2025.08.05

「AIに仕事を奪われる」という言説は10年くらい前からあったが、いまやそれがリアリティを持って語られる時代になった。

職種・業種によって危機意識に濃淡あるものの、多くのビジネスパーソンは、AIがキャリアの脅威になりうると実感していることだろう。

AI時代をサバイブするには、何をすべきだろうか。今回は、(株)ミジンコ代表取締役
で『生成AIに仕事を奪われないために読む本』(日経BP)の著書もある、友村晋さんにお話を伺った。

生の一次情報を収集できるか?

――ご著書では、生成AIが真似できないスキルを獲得することの重要性を力説されていますね。たくさん挙がっているスキルの中で、いの一番で得ておくべきものは何でしょうか?

なんといっても、一次情報を収集する力です。

インターネット上には、生成AIで作ったブログ記事、SNS投稿、動画が増える一方です。

そうしたものは、二次情報、三次情報のパッチワークといえます。それらがネット世界に溢れかえると、今度は一次情報を持っている生身の人間が求められるようになっていくと考えています。

私は、先日までアメリカに短期移住していました。現地では、自動運転の無人タクシーに乗ったり、人型ロボットを開発している会社を訪問するなどして、その体験をYouTubeで発信しています。これらは、一次情報に基づいたものなのですね。

そういう人間が、「自動運転や人型ロボットは間違いなく普及する」と言うのと、AIが既にある情報を組み合わせただけの記事では、説得力が全然違います。

生成AIの情報が増加するほど、「それは、君の体験した話なのか」が問われる社会になっていくはずです。言い換えるなら、時間とお金を使ってでも泥臭く体験をする人が、ビジネスパーソンとして価値が高まっていくのです。

もちろん、一次情報であればなんでもいいわけではなく、取引先や職場の人が求めている内容でなければいけません。例えば、私が運営するYouTubeチャンネルは、フォロワーが約16万人います。YouTubeのコンサルの仕事もしていますが、AIが出した情報をもとに「YouTubeの成否はサムネイル画像で8割決まる」と言うのと、5年かけてフォロワー数を増やしてきた実地体験をもとに、サムネイル画像の重要性を説くのとでは、言葉の重みが全然違います。

相手にとって価値ある一次情報があるかどうかで、結果も変わってくるというのは、こういうことです。

ちなみに、Googleのガイドラインでも、体験した情報に基づいた内容を重視すると明言しています。現在「ChatGPTセミナー講師」で検索すると、私の会社のウェブページが一番上に出てきますが、それは、私がChatGPTのセミナーをたくさん行った経験がブログなどで書かれているためです。

社内で指名される存在になれ

――では、一次情報収集力の次に、絶対身につけておきたいスキルは何でしょうか?

必要なスキルの優先度は、業務内容によって異なるのですが、それに関係なく身につけて欲しいのが「自分ブランド力」です。

こう言うと、「会社勤めの自分には関係のない話」と思われる方もいるかもしれません。ですが、今後は必要になってきます。

分かりやすく言えば、「社内でこのプロジェクトを担当できるリーダーは、絶対あなたしかいない」と、指名される状況を作ることです。

そのために大事なことは、社内で自分の存在感をアピールすることです。自身の実績、アウトプット、スキルを、ふだんの会話やビジネスチャットを通じて、同僚・上司に伝えているかどうか。自己主張も、ちょっとしつこいくらいした方がいいです。SNSでの外部への情報発信もおすすめします。

アメリカにしばらく住んでいたので分かるのですが、大方の日本人のビジネスパーソンはこういうことが苦手です。でも、その意識は払拭して欲しいです。

なぜなら、今後AIやDXが普及すると、生身の従業員が少なくても、会社は回っていくようになるからです。いざ、会社が人員削減するとなった時、会社に必要な人間であることをアピールできていなかった人は、まっさきに居場所はなくなります。今からでも、自分ブランド力を構築していきましょう。

AI時代に注目されるウェルビーイング

――近い将来、いよいよAIが当たり前となる世界で、見過ごされがちだけど、実は大事な資質というものはあるでしょうか?

ビジネスと直接関係はないですが、ウェルビーイングが、AI社会とからんでますます注目されていくと予測します。

これからは、ホワイトカラーの仕事も、ブルーカラーの仕事も、どんどんなくなっていきます。

特に日本人は、仕事=人生のような人が多く、年収が下がるとか、仕事が減ることで人生を否定された気分になりやすい傾向があります。

私が言うウェルビーイングな状態というのは、収入・仕事面のネガティブな変化で疲弊せず、家族や仲間と楽しく過ごし、趣味に打ち込むことで幸せを感じられることです。定義的にはこれに限りませんが、ご自身の幸せとは何かを今のうちに決めておくことが、とても重要です。

それは、新卒でもミドルでも同じです。今は人手不足で重宝されているように思えても、テクノロジーの進化で、仕事内容の割には給料が高すぎる人から退場を求められるようになります。そうならないようスキルを磨くのも大事ですが、もし退場した場合の後のことも考えておくべきです。

「居場所」がどれだけあるかがカギ

――ウェルビーイングを得るための具体的なアドバイスをいただけますか?

いくつかありますが、一番大事なのはご自身の「居場所の数」を増やすことです。

内閣府の最近の調査によれば、居場所が多い人ほど前向きな気持ちを保ちやすいことが分っています。居場所とは、家庭、学校、地域、職場、インターネット空間などを指します。調査は、子供も含めた若者の話ですが、それより上の世代にも当てはまります。

居場所は、自宅と会社の往復だけの2か所では厳しくて、4~5か所欲しいです。同僚と飲みに行く店でも、好きなスポーツのサークルでも、自発的に過ごしたい場所ならなんでもいいです。転勤したからと、前の部署と断絶するのでなくて、その時の同僚となじみの場所で時々会うとかもいいですね。私がセミナーでよく使う言葉に、「人生は居場所を増やす旅」というのがあります。意識して努力しないと居場所は増えません。

さらに、ハーバード大の調査では、ウェルビーイングの高さは、お金や名誉とあまり相関関係はなくて、唯一関係があったのは仲間がいることだそうです。居場所はあっても1人ではなくて、一緒に楽しめる仲間も作ることがウェルビーイングを高めるカギとなります。

■お話を伺った方:友村晋さん

株式会社ミジンコ代表取締役でフューチャリスト(未来予測士)。1979年福岡県生まれ、広島県在住。最前線のテクノロジー、ビジネス、教育を実際に現地で体感することを信条とし、シリコンバレー、エストニア、フィンランド、深センなどを訪問。
企業に向け未来予測と戦略提案を行い、200社以上を成功に導く。DX、AI、未来予測をテーマにした講演も精力的に取り組んでいる。最新の著書は『生成AIに仕事を奪われないために読む本』(日経BP)。
公式サイト:https://mijinko.co.jp
YouTube:https://www.youtube.com/@tomomura

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