
ディスプレイメーカーであるLG Display Co., Ltd.は、全国の20代~50代の働く男女649名を対象に「睡眠とブルーライトに関する調査」を実施。回答結果をグラフ等にまとめて発表した。
働く男女の9割超が〝睡眠に悩み〟あり
■悩みの1位は「寝ても疲れが取れない」、2位「中途覚醒」
生活の質を左右する重要な要素である睡眠。質の高い睡眠は、心身の健康を支えている。しかし、現代社会では、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器の普及により、長時間かつ質の高い睡眠をとることが難しくなっているのではないか。
そこで。まずは睡眠に悩みがあるかを質問したところ、「悩みはない(6.8%)」という回答はわずかで、9割以上は「悩みがある(93.2%)」ことが明らかになった。
具体的な悩みの内容として多かったのは、「寝ても疲れが取れない(15.6%)」、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒(11.9%)」、続いて「寝つきが悪い(10.2%)」「夜中にトイレに起きる(9.7%)」「日中の眠気が強い(8.6%)」などが挙がった。


■良質な睡眠のために気を付けていること、4人に1人は「適度な運動」と回答
良質な睡眠のために気を付けていることについて、「特に意識していることはない(6.5%)」と回答した人は少数、多くの人は良い睡眠をとるための行動をしていることがわかった。
気を付けていることとして最も多かったのは4人に1人が回答した「適度な運動を行う(25.0%)」。「湯船につかる(22.4%)」「決まった時間に起床・就寝する(22.2%)」「カフェイン摂取を控える(19.6%)」には約2割の人が回答した。
「ブルーライトカット機能のある眼鏡を使用する(9.7%)」、「TVやモニターに搭載されているブルーライトカットモードを使用する(8.9%)」にも一定数の回答が集まっている。
また、1日あたりの睡眠時間について質問したところ、平均は「6時間19分」、中央値は「6時間」であることが判明した。
このように多くの人が睡眠の質向上を目指して様々な取り組みを行っていた。しかし、平均睡眠時間は推奨される7〜8時間より短く、改善の余地があると言える。
運動や入浴、規則正しい生活習慣の実践、デジタル機器の使用制限など、個人の生活スタイルに合わせた効果的な睡眠改善策を見出すことが課題であると考えられる。

■寝不足失敗エピソード10選
・睡眠不足が続いて、今夜も寝られなかったらどうしようと不安になる。昼間ぼーっとする。頭痛がする。(鹿児島県・57歳女性)
・中途覚醒で睡眠不足となり、当日の会議に遅れてしまったこと(秋田県・54歳男性)
・運転中に誤ってうたた寝してしまい、事故になりかけたことがある(長崎県・28歳男性)
・会議の途中に眠ってしまい、意見を求められている時に気づかなかった(宮崎県・48歳男性)
・出勤の際にスマホだと思ってバッグに入れたつもりがテレビのリモコンだった(福岡県・33歳男性)
・室内で掃除をしていたら、いつもだったら平気なのに暑さもあいまって熱中症のような症状になってしまった(千葉県・37歳女性)
・寝起きで運転していて信号を見落としそうになった(香川県・45歳男性)
・会議中に社長が話している時にうたた寝をしてしまい、終了後に上司に注意された(長野県・32歳女性)
・休日返上で作業が続き寝不足がピークに達した際、外出先でぼーっとしてしまい、スマートフォンを紛失するトラブルに見舞われました(神奈川県・31歳男性)
・寝坊で慌てて家を出たが、その日は休みだった(東京都・41歳男性)
約4人に1人は「ブルーライトと睡眠との関係をよく知らない」
ブルーライトと睡眠との関係性に関する質問では、合わせて約4割が「よく知っている(16.6%)」「ある程度知っている(26.0%)」と回答。約3割は、「聞いたことがある(30.8%)」と答えた。
一方、「あまり知らない(16.8%)」「全く知らない(9.7%)」人も合わせて2割以上いた。ブルーライト対策については、約4割が「行っている(39.9%)」と回答。
その対策としてブルーライトカットメガネを使用している人を対象に、使用シーンを質問したところ、「常時使用(22.1%)」している人が約2割でした。回答数が多かったのは、「仕事やPC作業中(41.0%)」「スマートフォン・タブレット等を見ている時(39.4%)」という結果になった。
パソコンやスマホと同様、画面を見るという共通点があるテレビだが、ブルーライトカットメガネの使用率が比較的低いようだ。


■半数はテレビやモニターのブルーライトカットモードを使用していない
テレビやモニターのブルーライトカット機能について、利用状況を聞いた。まず「使用している(25.7%)」のは全体の約4人に1人。「使用していない(49.9%)」という回答が多数を占めた。
ブルーライトカットモードを利用しない理由として多く挙がったのは「設定方法が分からないから(30.6%)」「使用すると(画面の)色が変わってしまうことが気になるから(22.5%)」「ブルーライトというものがよく分からないから(21.3%)」だった。
ブルーライトが睡眠サイクルに影響を与えることは広く知られていますが、この調査によって、多くの人々がその対策を十分に行っていない現状が明らかになった。
睡眠の質向上に重要な役割を果たすブルーライト対策が、認識や理解の不足により見過ごされている可能性がある。

■テレビ・パソコン・スマホ・タブレットの各使用時間、テレビは平均2時間33分
ブルーライトを発しているとされるデバイスについて、1日あたりの視聴・使用時間を質問したところ、。それぞれの平均時間は、テレビ「2時間33分」、パソコン「2時間46分」、タブレット「1時間11分」、スマートフォン「4時間19分」となった。
自宅に加えて外出先でも使用する機会が多いスマートフォンの使用時間の長さが目立ちながらも、室内での視聴がメインであるテレビの視聴時間も2時間半を超えており、依然として私たちの生活に大きな位置を占めていると言えるだろう。
自宅にあるテレビの種類は1位「液晶テレビ」、2位「有機ELテレビ」
■選んだ理由は「価格・コスパ」が約半数、約2割が「画質(解像度)」
テレビには様々な種類があり、「液晶テレビ」「有機ELテレビ」「ミニLED(LCD)テレビ」など、技術の進歩とともに選択肢が広がっている。
自宅にあるテレビの種類を聴取したところ、「液晶テレビ(78.7%)」が最も多く、続いて、高コントラストでブルーライト量が少ない「有機EL(16.5%)」、高輝度と優れた色再現性が特徴の「ミニLED(LCD)テレビ(5.4%)」は比較的少数に留まった。
そのテレビを選んだ理由として、半数近くが回答したのは「価格・コスパ(48.2%)」、次に多かったのは「画質(21.7%)」、「視聴機能(13.0%)」という結果に。

■テレビの種類によるブルーライト量の違い、「分からない」「違いはない」が多数派
テレビから放出されるブルーライト量は、テレビの種類によって異なることを知っているだろうか。この点について、認知度を調査した。
その結果、テレビの種類によるブルーライト量の違いについて、「分からない(45.0%)」と回答した人が最も多く、約半数を占めた。一方、違いがあると認識している人では、「大きく影響があるほど異なると思う(12.2%)」、「若干影響があるほど異なると思う(15.7%)」、「比べればわずかに異なると思う(17.1%)」という回答が各1~2割ほど。「違いはない(10.0%)」と回答した人は1割だった。
これらの結果から、テレビの種類によるブルーライト量の違いについて、消費者の間で認識が十分に広まっていないことが明らかになった。
実際にはブルーライトの放出量は異なり、特に有機ELテレビは比較的ブルーライトの放出量が少ないことが知られている。テレビやモニター選びの基準として、ブルーライト量の違いに注目してもいいだろう。

調査概要
調査方法:WEBアンケート調査
調査テーマ:「睡眠とブルーライト関する調査」
調査対象者:全国の働く20代から50代の男女 649名
調査期間:2025年7月3日~2025年7月4日
調査主体:LG Display Co., Ltd.
調査機関:ノウンズ株式会社
有機EL(OLED)とブルーライトに関する研究
LG Displayは2024年7月、同社の有機EL(OLED)テレビパネルが視聴者の健康的な睡眠パターンの維持に優れていることを確認する研究結果を発表した。この研究では、ソウルにある国民大学と共同で、40名の成人を対象に2週間の臨床試験を実施している。
■主な研究結果
<1.ブルーライト放出量>
有機ELパネルは従来の液晶(LCD)パネルと比べて、ブルーライトの放出量が大幅に少ない(有機ELは36%、液晶は70~80%)
<2.メラトニン分泌への影響>
有機ELテレビ視聴後はメラトニン(睡眠を促すホルモン)の分泌量が8.1%増加した一方、液晶テレビ視聴後は2.7%減少
<3.睡眠パターンへの効果>
有機ELテレビは副交感神経(リラックス状態を促す神経)の活性化を通じて、健康的な睡眠パターンの維持に効果的
構成/清水眞希