
組織づくりのプラットフォーム「sonar HRテクノロジー」を展開するThinkings株式会社から、「採用あるある川柳2025」の受賞作品が発表された。今回もAI活用、辞退の増加、応募が来ないなど、採用担当者の〝今〟を詠んだ、様々なテーマにまつわる約2000句の応募があったという。
第5回「採用あるある川柳 2025」について
企業の未来を担う重要な仕事である採用活動は、年々難しさを増しているが、それを担う採用担当者の苦労や努力に光が当たる機会は決して多くはない。「採用あるある川柳」は、そんな採用担当者だからこそ感じる、見えない苦労や小さな喜びを詠む公募川柳で、2021年から毎年開催されている。
今年は、過去最多となる1959句の応募があり、売り手市場の中、「辞退が多い」や「応募が来ない」など、採用難に直面する採用担当者の苦悩や嘆きの声が多く寄せられた。
初任給や福利厚生を重視するなど、「応募者の価値観の変化」に戸惑いながらも、AI活用」に対しては、不安や戸惑いだけでなく、前向きに活用しようとする意欲が詠まれるようになるなど、ポジティブな変化も見られたという。

審査は、トイトイ合同会社代表、Thinkings組織再考ラボ フェローの永島 寛之氏、人事図書館 館長の吉田 洋介氏、株式会社fanphare執行役員の高橋 麻菜美氏、Thinkings社員投票、および採用あるある川柳運営事務局にて実施された。
受賞作品は以下のとおり。
【大賞】 1句

「選ばれる 法則探しに また迷う」
コメント:永島 寛之氏
正解のない日々に向き合う採用活動の難しさやモヤっと感が、ひしひしと伝わる一句。変化が激しい環境の中、多くの採用担当者が「迷い」を抱えているのが現状だと感じます。しかし試行錯誤と迷い続ける姿は、採用担当者として大切な姿勢です。そう感じさせられた、共感と応援を伴う今年の大賞です。
【審査員賞】 4句

「寝坊です 正直すぎて ちょっと好き」
コメント:吉田 洋介氏
高度にシステム化が進む中で、ミスやうっかりの瞬間が、人間性を知るきっかけや、人のドラマを生むシーンになっているなぁと感じます。採用担当という仕事は、画一的で評価的な対応をするだけでなく、人間味を味わえる仕事である。だからこそ、やりがいや面白みがある、と伝えてくれる素敵な一句です。

「辞退者に おめでとうって 言う強さ」
コメント:高橋 麻菜美氏
採用担当の心構えにおいて、忘れてはいけない本質的な一句だと思いました。どうすれば採用できるか?につい目が向いてしまいがちですが、ご縁がなかった(辞退・不採用)方とも一期一会。辞退を嘆く句が多かった中で、未来のファンに繋げるべく、相手の幸せや活躍を願う心の強さが印象に残りました。

「AI製 逆質問に 詰まる俺」
コメント:永島 寛之氏
レベルの高い逆質問にたじろぐ様子が、リアルに浮かびます。生成AIが採用活動にも浸透し、表現や問い方にその人らしさが表れる時代に。面接はかつての”確認の場”から、互いの人間性がにじむ“対話の場”へと移行しています。そんな変化を捉え“関係を築く採用”の大切さをユーモラスに示しています。

「自社サイト よりも見られる 口コミ欄」
コメント:採用あるある川柳 運営事務局
企業が選ばれる側となり、企業の発信より口コミが影響力を高めてきた採用環境の変化を表す、現代ならではの一句。採用担当の皆さまを日々支援し、その努力や苦労を実感しているThinkings社員の多くが、「現場のシビアな現実が伝わる」と、”採用あるある”のリアルさに共感し、選ばれました。
【佳作】10句
・1位群 その中でウチ 第何位?
・備蓄なし 米より深刻 人不足
・辞める時 自分でちゃんと 言えますか
・時代かな 制度一番 夢二番
・AIと 二人三脚 採用道(リクルート)
・スカウトの 返信だけで 飯三杯
・インターン 選考・惹きつけ 終わりなし
・一次二次 目線ばらばら 誰を採る
・アルバイト 金の卵に 出すオファー
・昔とは 違う視点で 見る勇気
審査員長 総評
<トイトイ合同会社代表、Thinkings組織再考ラボ フェロー 永島 寛之氏>
今回はじめて川柳の審査員という役目を務めました。五七五という短い一句の中に様々なシーンや想いが詠まれており、非常に多くの採用担当者の生の声を拝見することができました。採用活動の難易度が上がる中、採用担当者が向き合うべきことが多様化していることを改めて実感します。その中でも、採用活動が「誰かを選ぶ行為」ではなく、「人と人との関係構築」へと変化している、と感じさせる作品が多く寄せられました。
大賞句は、正解のない中で模索し続ける採用担当者の現状を、飾らずリアルに描いています。他の受賞句にも、「志望度に悩まされる姿」「AIとの共存を探る姿」「人間らしさに向き合う覚悟」といった様々なシーンの中で揺れ動く、採用担当者の“人としての感情”が込められていました。ときに苦労を笑い飛ばし、ときに迷いを抱えながらも、誰かの未来と向き合おうとする姿に、採用担当者らしさを感じ、私自身も胸を打たれました。
今回、審査の議論も非常に盛り上がり、選考が難しかったのですが、受賞15句を選ばせていただきました。採用に関わるすべての方へ、これらの川柳が、少しだけ肩の力を抜き、前を向くきっかけになることを願っています。
最後に、読み手の皆さんへ敬意をこめて。「二千句に にじむまなざし まっすぐで」。大変多くのご応募をいただき、ありがとうございました。
関連情報
https://www.thinkings.co.jp/
構成/清水眞希