日常生活でも多く使う「はじめる」という言葉。「始める」と「初める」の違いをご存じだろうか。本記事では、「始める」と「初める」の違いや正しい意味、使い方について解説する。
目次
「始める」という言葉は物事をスタートする際に用いられるポピュラーな言葉だ。だが、誰もが知っている言葉だからこそ、その意味を深く理解する機会は限られている。
また、よく似た言葉として「初める」という言葉もある。どちらも似ている言葉だが、そこにはどんな違いがあるのだろうか。今回は、「始める」と「初める」の違いについて解説していこう。
「始める」とは
「始める」とは物事をスタートさせることを意味する。まずは「始める」の意味や使用例について紹介していこう。
■「始める」の意味と読み方
「始める」は物事がスタートする局面で用いられる言葉だ。「〇〇を始める」のように動作や状態を開始する場合に用いられる。他動詞で、目的語とセットで使用されるケースが多く、動詞の連用形として「〜し始める」など、ある物事の開始をより明確に表現する場合にも用いられる。
「始める」の英語表現
英語の「始める」は「start」や「begin」が用いられる。「start」ビジネスシーンからプライベートまで幅広い場面で用いられ、口語で用いられることが多い。一方の「begin」はフォーマルな場面で用いられ、文語で記載する際に用いられる。カジュアルな場面かフォーマルな場面か、また口語か文語かを判断して使い分けていこう。
■「始める」の使用例
「始める」の使用例は以下の通りである。
一般的な使用例
・定期試験に向けて勉強を始める。
ビジネスシーンでの使用例
・人事異動によって部署が変わったので、来週から新しい業務を始める。
■「始める」の類語・言い換え方
「始める」の類語・言い換えには「開始する」や「スタートする」「着手する」「取り掛かる」「仕掛かる」「乗り出す」などがある。物事を始める際に用いる表現は多岐にわたるので、より適した言葉を選択すると良いだろう。
※出典:Weblio辞書「始める」https://thesaurus.weblio.jp/content/%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B
「初める」とは

物事を開始する場合、「初める」という言葉が用いられることもある。ここでは「初める」の意味や使用例などについて解説していこう。
■「初める」の意味と読み方
「初める」は動詞で「そめる」と読む。「食べ初める」などの動詞の連用形に付けて使う特殊な表現のひとつだ。「初」という漢字は「初めて」という副詞で用いられるのが一般的で、この時には「はじめて」と読む。「初める」と表記した場合に「はじめる」と誤読されることが多いが、正しくは「そめる」なので、間違えないように覚えておこう。
また、「初める」と「初めて」も似ているようで意味が異なる。「初めて」の場合は「はじめて」と読み、「始めて」の同音異義語になる、たった1文字の表記の違いで読み方と意味が変わってしまう特殊な表現のため、「初める」を使用する場合には注意が必要だ。
「初める」の英語表現
英語の「初める」は「beginning」や「inchoation」が用いられる。「beginning」は「始め」「初期」「起源」といった意味があり、「inchoation」も同様に「始め」「発端」という意味を持っている。
■「初める」の使用例
「初める」は何かの物事をスタートするタイミングを指している。例えば「書き初める」のように、何かを開始する瞬間を指して用いることがポイントだ。ただし、「初める」を通常の会話で使用する場面はほぼ無い。あえて古風な表現をする場合にのみ使用される表現だと覚えておこう。
一般的な使用例
・花が咲き初める季節になった。
ビジネスシーンでの使用例
ビジネスシーンでは誤用を避けるために使用しないことを推奨する。理由は、こちらが正しく「初める」を使用しても、相手が誤読するリスクがあるからだ。ビジネスにおいては情報をシンプルに正しく用いることが原則なので、敢えて相手に混同されるような表現は控えておくことが無難である。
■「初める」の類語・言い換え方
「初める」を使用するのであれば、一般的に広く使われている「始める」は「開始する」、「スタートする」「着手する」「取り掛かる」という表現を使うことを推奨する。これらの表現であれば相手に誤用されることなく意図を伝えられるため、より適切な言葉を選択していこう。
「始める」と「初める」の違い
「始める」は何かの行動や状況が開始することを幅広く意味しており、「初める」は物事が始まる瞬間を意味する言葉である。より「始める」が広い概念で使用されるのに対して、「初める」は一瞬の状況を表現する言葉であると整理しておくと良いだろう。
まとめ
「始める」と「初める」はどちらも「物事を開始する」という意味を持つ。ただし使用する場合は圧倒的に「始める」を使用するケースが多い。特に「初める」は正しい意味や読み方を知らない人の方が多いため、誤読されるリスクが高い。ビジネスにおいては表現による無用な混乱を生まないため、広く知られている言葉を選ぶセンスも重要だ。「初める」という表現は雅な印象を与える言葉ではあるが、日常的に使用する場合には「始める」を使用することをお勧めする。
文/太田 佳祐(おおた けいすけ)
人材系企業にて求人広告の営業や人材紹介部署の立ち上げやマネジメントを経験。転職し、新規事業部門にて新事業の立ち上げや採用業務に従事したのちに独立(ライター・カウンセラー・セミナー講師)。現在は株式会社レンジャー代表取締役/一般社団法人日本アカウンタビリティ・パートナー協会会長としてプロスポーツチームや自治体、企業や個人の目標達成を伴走型でしながら、ライターとしての執筆や講演活動も行っている。







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