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「返信不要」の言い換え方に悩んだことはないだろうか。上司や取引先へのメールを、なかなか送信できなかったという経験をした方もいるだろう。しかし、敬語やクッション言葉を活用し丁寧な表現に言い換えることで、返信不要は好印象なフレーズに様変わりする。
この記事では「返信不要」の意味と言い換え方、ビジネスメールでの丁寧な表現の使い方を解説する。今後、様々なビジネスの場面で活かしていただければ幸いだ。
返信不要とは

本来、返信不要は、忙しい相手への気遣いを表す言葉である。しかし、言い切るようなニュアンスがあるため、失礼に当たるのではと、敬遠したくなることも事実。メールでは、伝え方ひとつで無用なトラブルを招く可能性もあるからなおさらだ。しかし、スムーズなコミュニケーションには、返信不要の配慮は欠かせない。相手に不快感を与えない伝え方をできるだけ早くマスターするためにも、まずは、返信不要の意味から押さえていこう。
■返信不要の意味
返信不要は、メールや手紙の返事を送るという意味の「返信」と、必要がないことを表す「不要」という2つの単語で成り立っている。
つまり、「こちらが送信したメールへの返信は必要ない」という意味になり、忙しい相手を気遣う表現として、ビジネスメールで使われることも多い。
ちなみに「返信不要」の英語表現は、次表の通りだ。
英語表現 | 日本語訳 | 備考 |
No reply needed | 返信不要 | 一般的な表現 |
Please feel free not to reply | 返信しなくても大丈夫です | 丁寧で控えめな表現 |
なお、「No reply needed」は頻繁に使用されるため、「NRN」と省略して表記されることもある。
■返信不要の主な利用シーン
返信不要は、業務の進捗報告や連絡など、情報共有のみで相手からの返信が必要ないシーンで利用されることが多い。
たとえば、上司への業務報告メール、社内イベントの案内メールを送る際、返信不要の旨を一言伝えておくと、相手への気遣いが感じられるメールとなり、好印象になるだろう。
返信不要の使用の注意点
ここまで見てきたように、返信不要は、とくにビジネスシーンでは便利な言葉だといえるだろう。ただ、使い方を間違えると、相手に不快な印象を与えてしまうこともある。
ここからは、返信不要を使用する際の注意点を解説する。ぜひ参考にしてほしい。
■返信不要を使う際の注意点
返信不要を使用する際は、下記の点に注意する必要がある。
・相手に気を使わせない配慮をする
返信不要を伝えることで、逆に相手に気を使わせてしまうこともある。確認や質問事項があるときに、連絡しづらくなってしまうからだ。この場合、「返信はご不要ですが、ご質問などがありましたらお気軽にご連絡ください」など、返信の選択肢を相手に委ねる言い方にしておくと安心だ。
・クッション言葉を活用する
「不要」には、「必要がない」「いらない」「よけいな」という若干強めのニュアンスがある。そのため、返信不要だけでは、相手に不快感を与えてしまうことがある。とくに上司や取引先など、目上の人に送る場合は要注意だ。
ここで有効なのが、クッション言葉だ。「不備がないようでしたら」などの一言を付け加えるだけで、無作法な印象をやわらげることができる。
ちなみに「クッション言葉」とは、言葉通りに伝えた場合、相手に不快感を抱かせる可能性がある際に、前置きとして添えることができる言葉のこと。
たとえば、「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」という言葉。この2つはクッション言葉の代表例といえるが、ビジネスメールや口頭で、頻繁に使っている方も多いのではないだろうか。
このように、クッション言葉は「ビジネス枕詞」と言われることもあるぐらい、ビジネスシーンで多用されている。一言添えるだけで、文章がやわらかく優しい印象になり、相手もストレスなく読むことができるからだ。
・口頭では使用しない
返信不要の敬語表現は、メールや手紙で使用する言葉である。上司に口頭で「返信はいらない」と伝えることは失礼にあたる。部下の報告や連絡に対して、どのような反応をするかを決めるのはあくまで上司だからだ。くれぐれも注意しよう。
■返信不要を丁寧に表現すべきシーンとは
返信不要は、そのままでは失礼にあたることもあるため、場合によっては、丁寧に表現することが求められる。具体的には、上司や取引先など、自分より立場が上で敬意を表すべき相手に対して使用するシーンなどだ。
次章では、返信不要の丁寧な言い換え表現について紹介しよう。
【例文付き】返信不要の言い換え方

返信不要は、そのままではぶっきらぼうな印象を持たれてしまう可能性がある。そのため、敬語表現やクッション言葉を組み合わせ、丁寧に表現することが有効だ。
返信不要の丁寧な言い換え方の代表的な例を、下記に例文付きで挙げる。
■「ご返信は無用です」
「無用」とは、いらないこと、不要という意味。不要を無用とするだけで、幾分柔らかなニュアンスになり、目上の人にも使える汎用的な表現だ。「返信はご無用でございます」とすると、さらに丁寧になる。
【例文】
・プロジェクトの進捗状況につき、ご報告いたします。なお、詳細は添付資料に記載しておりますので、ご返信は無用です。
・お忙しいところ誠に恐れ入りますが、ご確認くださいますと幸いです。なお、本メールに関して、返信はご無用でございます。
・研修資料につき、ご意見がないようでしたら、返信はご無用でございます。
■「ご返信の必要はございません」
こちらは、丁寧でありながらダイレクトに意味が伝わる表現だ。ただ、若干、形式的で言い切ったような印象を与えてしまうこともある。そのため、例文にあるように、クッション言葉をプラスするようにしよう。
【例文】
・念のために共有させていただく件でございますので、ご返信の必要はございません。
・不備がないようでしたらご返信の必要はございませんが、ご意見などがありましたら、お気軽にご連絡ください。
・ご案内のみですので、ご返信の必要はございません。お手すきの際にお目通しいただければ幸いです。
■「ご返信には及びません」
「~には及ばない」は、なにかをする必要がないことを表す言葉。「ご返信には及びません」とすることで、返信の必要がないことをやんわりと伝え、相手への心遣いを加味できる。
【例文】
・経営戦略会議の資料をお送りさせていただきます。お手すきの際にご確認いただければ、ご返信には及びません。
・本メールはご報告のみとなりますので、ご返信には及びません。
・ご依頼いただきました商品の資料をお送りさせていただきます。ご査収くださいますと幸いです。なお、とくに問題がなければ、ご返信には及びません。そのまま進めさせていただきます。
■「ご返信にはお気遣いなく」
気遣いの尊敬語である「お気遣い」とつけることで、相手への配慮と尊敬の気持ちを表現できる。ただし、断定的な表現になるため、上司や取引先など自分より立場が上の人に対しては、「お願いいたします」と付け加えるようにしよう。
【例文】
・見積書をメール添付にてお送りさせていただきます。なお、ご返信にはお気遣いなくお願いいたします。
・今月の社内報をお送りさせていただきます。なお、ご返信にはお気遣いなくお願いいたします。
・内容をご確認いただけましたら幸いです。なお、不備がないようでしたら、ご返信にはお気遣いなくお願いいたします。