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「年収の壁」を意識した〝働き控え〟の想定逸失額は年間で47.7万円

2025.07.30

仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』は、『収入上限と逸失賃金』をテーマにアンケート調査を実施してレポートを発表していたが、そこから再分析した内容を公表した。

『両立と収入増』をテーマに仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層へのアンケート調査の前回リポート

前回レポート:目安の収入上限・収入増の希望・収入増の方法

前回レポート:家庭との両立に「ちょうど良い」「限界」「限界余白」時間

収入増の方法を収入上限別で比較

前回リポートによれば、収入を増やすために正社員になる割合として、収入上限があると回答したのは32.6%でなしと回答したのが55.4%だったという。今回の再分析を行った『しゅふJOB総研』研究顧問の川上敬太郎氏は、次のようにコメントしている。

「仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層の96.7%がいまより収入を増やしたいと考えていること、いまパートで働いている場合に収入を増やす有効な方法として「副業やWワーク」がもっとも多いことなどをお伝えした前回。収入を増やす方法について再分析し、収入上限の有無で比較したところ、ポイントを溜めるなど仕事以外の方法を選んだ比率は「収入上限あり」の方が8.1ポイント高くなりました。

一方「転職」については、関連項目をひとまとめにして比較すると「収入上限なし」の方が16ポイントも高くなりました。さらに同じく関連項目をひとまとめにした比較では、「収入上限なし」の方が「賃金を上げる」で16.3ポイント、「正社員になる」では22.8ポイントも高くなりました。収入上限がない方が思い切って別の仕事を探したり、賃上げや正社員への転換といった積極的な活動がしやすいのかもしれません」

家族との両立で発生する想定逸失時間と想定逸失賃金

家庭との両立を考えた場合に「ちょうど良い」と考える週の労働時間については、収入上限の有無で比較すると「収入上限なし」が8.7時間も多い結果になった。

川上氏によれば、年収の壁など収入上限を意識することで働き控えが生じる分、労働に費やせる時間が失われている可能性が想定されるという。この想定逸失時間に最低賃金の全国平均の1055円をかけ合わせて想定逸失賃金を算出すると年間47万7282円になる。家庭との両立を考えた場合に「限界」と考える週の労働時間で同様に比較すると、「収入上限なし」の方が9.3時間も多かった。

ギャップが最大になるパターンでは、「収入上限あり・ちょうど良い」と「収入上限なし・限界」を比較すると想定逸失時間は14.5時間、想定逸失賃金は79万5470円になる。これらの数字はあくまで平均値だが、年収の壁は労働時間や賃金に少なからず影響を与えていると言えそうだ。

「法改正で106万円の壁が撤廃されることが決まり、収入上限なしを選ぶ主婦・主夫層は今後増える可能性があります。物価高が続く中、それが各家庭の手取り増につながっていくことが望まれます」(川上氏)

ちなみに収入上限に関して「あり」と「なし」と回答した人のコメントは次の通りだ。

収入上限ありと回答した人の主なコメント

「夫があと数年で定年なので、壁問題ももう少し緩和されるかもしれないのですが、そのころ今以上に働けるか心配しています」(50代・パート/アルバイト)
「106万の壁、130万の壁…早く決着して欲しい。時給アップや働く時間を増やしたいが、壁が気になり、実際は難しい」(50代・パート/アルバイト)
「収入を増やしたいので扶養範囲内で働ける仕事を探しているが、小学生の子供がいて預け先がないと、夏休みなどの長期休暇中に仕事ができない」(40代・今は働いていない)
「収入を増やしたいが、自分で社会保険を払うと200万程度稼がなければ意味がないため、今の扶養のまま、節約すればいいかと考えてしまう」(40代・契約社員)
「ワンオペ育児のため、働きたくても働けなく、男性の育児参加を国を上げて教育して欲しいです」(40代・今は働いていない)
「正社員でフルタイム働けない状況下で、扶養から抜けるのが怖いし、税金の理解度が低いから雑所得のダブルワークから抜け出せず増やす方法に最適解が見つからないです」(30代・パート/アルバイト)

収入上限なしと回答した人の主なコメント

「とにかくスキルを上げて起業するか、高価格での派遣か業務委託に限る。もしくはホワイト企業で最大限の福利厚生を活用して緩く正社員」(40代・その他の働き方)
「フルタイム勤務でなければ、できる限りフレキシブルにできる案件を探し、期日単位で動けるのが個人的にベストです」(40代・フリー/自営業)
「現在、派遣社員で仕事をしているが、収入的にも家庭との両立に関しても丁度良い具合の仕事に就くのが一番難しいと感じる。仕事を選ばなければスキルがほとんど要らず待遇が悪い仕事は多くあるし、高スキルで拘束時間が長い社員的な仕事も多くあるように感じる」(50代・派遣社員)

仕事と家庭を両立したいと考える主婦・主夫にとって、年収の壁は働き控えを考える大きなポイントになっているが、それによる想定逸失額も少なくない。だが多くの家庭が物価高による家計への負担は無視できないはずだ。川上氏も指摘しているように、法改正による106万円の壁の撤廃で、収入上限なしを選択する人は増えそうだ。

川上敬太郎氏
プロフィール
『しゅふJOB総研』研究顧問。1973年生まれ。三重県出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長兼編集委員などを経て2010年にビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げて所長就任。2021年に独立して現職。ワークスタイル研究家としても解説記事の執筆・講演、広報ブランディング活動のアドバイザリーなどに携わる。

「『収入上限と逸失賃金』をテーマにした調査」概要

調査対象者:ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者
調査手法:インターネットリサーチ(無記名式)
有効回答者数:773名
調査実施日:2025年1月27日(月)~2025年2月9日(日)まで
※有効回答者数は、調査対象者から家周りの仕事について「同居家族はいるが主に自分が担当」または「同居家族と自分で概ね平等に担当 」のいずれかを選択した人のみを抽出して集計。

https://www.bstylegroup.co.jp/news/35548/

構成/KUMU

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