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缶詰をそのまま電子レンジで加熱OK!「レンジde缶」がスパークしない秘密

2025.08.01

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

容器メーカーの「大和製罐」は、独自開発したアタッチメントを缶詰製品に装着することで、電子レンジ内でのスパークを抑制し加熱調理できる「レンジde缶」の開発に国内で初めて成功した。

アタッチメント装着で缶を底上げすることでスパークを抑制

缶詰食品の国内市場は年々縮小している状況にあり、2019年の20万5000トンから、2023年は2割以上減の16万1000トンと低迷。原材料の高騰、パウチなど容器の多様化、消費者のライフスタイルの変化が要因とされている。

「最近の料理のトレンドとして、理想の調理時間は14分以内で、難しい工程がないレシピが好まれ、時短・簡単が重要な要素となっています。

缶製品は密閉性が高く保存が効き、常温でも開けてすぐ食べられておいしいというのがこれまでの価値観でした。

一方で、中身を別の容器に移して温めるのが主流で、時短やライフスタイルの変化といったニーズには応えきれていない課題がありました。こうした環境の変化に対応できる、新たな食文化の創出をコンセプトに開発したのが『レンジde 缶』です。

電子レンジで簡単に中身を温められる缶詰を提供したいと、2021年2月から開発プロジェクトがスタートし、4年の開発期間を経て『レンジde 缶』の開発に成功しました。

今後は量産化へのフェーズに入り、販売方法の検討などと同時に、我々は容器を提供する側ですので、中身を詰めて最終製品とするためメーカーへの提案を進めていきます。2025年度内を目標に、製品として発表したいと考えています」(大和製罐株式会社 マーケティング部長 山本達平氏)

「レンジde缶」は缶詰の底の部分に取り付ける専用アタッチメント「ノンスパークキャップ」によって、缶詰を電子レンジで直接温めることができる。

「電子レンジで缶詰を加熱した場合、庫内で発生するマイクロ波が金属表面に反射することで、マイクロ波が缶詰の一部に集中し、スパーク(火花)が発生することがあります。特にレンジ庫内底面との距離が近いとそのリスクは高まります。

電子レンジに入れた缶詰からスパークが発生するメカニズムは、強いマイクロ波の照射が大きなカギとなります。電子レンジ内で金属の表面に強いマイクロ波が照射されますと、金属缶の表面に存在する、電流を流す自由電子が激しく振動して、一部の電子が金属から飛び出します。飛び出した電子は空気中の分子や原子と衝突し、これらがイオンと電子に分解される過程でスパークが発生します。

『ノンスパークキャップ』は、缶詰の底部に取り付ける専用アタッチメントで、レンジ庫内底面との間隔を適切に保つ構造を採用しています。家庭用電子レンジ500Wで60秒加熱した検証では、『ノンスパークキャップ』なしの缶詰単体で加熱すると、28.3%の確率でスパークが発生しました。一方で、『ノンスパークキャップ』を装着した状態で缶詰を加熱した場合0%に抑えられることができました。

金属缶はマイクロ波を反射する性質を持っていますので、普通に加熱してしまうと、マイクロ波が入っていかないのでは?という心配もあるかと思いますが、『ノンスパークキャップ』を装着して、家庭用の電子レンジで500Wの加熱で、しっかりと中身を温めることができたことを確認しています」(開発担当者の大和製罐株式会社 パッケージソリューション研究室 犬丸彰子氏)

【AJの読み】缶のままレンチンできるので缶つまやペットフードにも使えそう

牛もつ煮込み缶(サンプル用)を500Wで3分加熱したものを試食した。使用時は缶詰の上ふたを完全に開けた状態で加熱する。3分間だと少し加熱が足りないのか熱々状態ではなかったが、素材によって温める時間は異なるため、製品化された際は、製品ごとに加熱時間を厳密に設定するという。

現段階では、500Wでの温めを推奨しているが、検証では1000Wでも問題なかったそうで、加熱温度についても今後検討を重ねていくとのこと。

一見するとアタッチメントの「ノンスパークキャップ」は単純な構造のようだが、マイクロ波を吸収する性質をもった素材だと焦げる可能性もあり、素材の選定や、ミリ単位での高さ設定には多くの検証を重ねたという。

アタッチメント単体での販売は行わず、缶製品にアタッチメントをつけて販売する形で、基本的にアタッチメントは使い捨てとのこと。

「レンジde缶」は容器であるため、今後どのような製品に使われていくのかは、メーカーとの交渉次第となる。湯煎で温めることが多い缶詰のおつまみも、缶のまま温められるので、コンビニで購入してその場で温めたり、自宅でも簡単にレンチンして食べられるので、手間いらずになりそう。

また、ペットフードは軽く温めるとよく食べるという場合もあるようで、ペットフード製品に使われる可能性も考えられる。

取材・文/阿部純子

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