
国内最大級のドラッグストアグループ、マツキヨココカラ&カンパニーが自社プライベートブランド(PB)10周年を機に、かつてない挑戦を打ち出した。
そのテーマとはずばり、「脱ドラッグストア」。
化粧品という商材を通じて、業態そのものの常識を打ち破り、Jビューティーの未来を再定義しようという意欲的な取り組みだ。
その戦略の中心にあるのは、グループのPBを担うブランド、カラーズが積み上げてきた、常識破りの製品哲学である。
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「常識破り」の積み重ねが、PBの価値を変えた
登壇した株式会社カラーズ開発部長・橋本氏は、ドラッグストアという流通チャネルの枠に収まらないクリエイティブなブランド思想に満ちていた。
たとえば、今では当たり前となったシュリンクなしのシャンプーボトル。かつて業界の標準だったシュリンクフィルムを「美しくない」という理由で撤廃し、反対を押し切って1本ずつビニール袋に詰めるという手間を選んだという。その姿勢が業界全体のデザイン・梱包の見直しに繋がったと語る。
また、高価格帯のノンシリコン製品、オーガニックコスメの民主化、いずれも業界に先んじたアクションであり、ドラッグストアという売場の常識を一つひとつ打ち砕いてきた。
「PBという手段を通して、質の高い選択肢をマス層に届ける。それがカラーズの使命です」と橋本氏は語る。
もはやPBは“安かろう”ではない。“高機能かつ高感度”なプロダクトを通して、美容というジャンルに社会的な新価値を埋め込もうというのだ。
自宅で美容医療体験を。エビデンス×成分濃度で勝負するスキンケアPB
今回発表された2つの新ブランドは、まさにその思想の集大成とも言えるプロダクトだ。
1つ目は「インジェスク」。
主成分には話題のNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)やグルタチオン、PDRNといった“攻め”の成分を惜しみなく採用。通常であれば数万円クラスになる美容液を、PBならではの設計で日常価格帯に落とし込んでいる。
主力製品は、フリーズドライ技術で凍結させたNMNパウダー剤と、ナイアシンアミド配合のリキッド剤を混ぜ合わせて使うセラム。新鮮さと濃度をキープしたまま使い切ることができる。
PB初の情緒価値×高機能オーラルケアに挑戦
もう一つのブランド「ヒッツディファレント」は、Jビューティーの視点で再定義されたオーラルケアブランド。歯磨き予防の先にある、ライフスタイルを彩るセルフメンテナンス体験を提案する。
ペーストやパウダーを含む5製品で構成され、デイリーユースからスペシャルケアまで対応。機能性とおしゃれなプロダクトデザインを両立したラインナップは、既存のオーラルケア市場の「退屈な日用品」イメージを刷新する可能性を秘めている。
このように、機能的価値と情緒的価値を高次元で両立することこそが、マツキヨココカラが目指す「脱ドラッグストアPB」の本質なのだ。