
「これ、どうしたらいいですか?」と何度も質問してくる同僚に、つい振り回されてしまう…。そんな職場の“質問ばかりする人”との関わり方を、6つのタイプ別に解説。心理カウンセラーが教える、疲れすぎないための距離の取り方とは?
「これ、どうしたらいいですか?」「ちょっと聞いてもいいですか?」そんなふうに、繰り返し質問されることに疲れてしまった経験はありませんか?
職場では、一部の人が何度も質問してくることで、対応に時間を取られたり、集中が途切れたり、どこか落ち着かない気持ちになったりすることもありますよね。悪気があるようには見えないし、相手を突き放すのも気が引ける。けれど、モヤモヤや疲れが積もっていく……。そんなときに知っておくと心がラクになる、「質問ばかりする人」との関わり方について、心理カウンセラーの視点からご紹介します。
質問ばかりする人に振り回されるしんどさ
質問が重なると、自分のリズムが乱れてしまうこともありますよね。ここでは、そんな振り回されてしまう感覚の背景を見ていきます。
一度対応すると、何度でも聞いてくる。最初はひとつの質問だったはずが、「それってこういうこと?」「これも聞いていい?」と続き、まとまった作業時間が取れなくなることも。そんな日が続くと、余裕が削られていきます。
教えてあげたい気持ちはあっても、相手の質問ペースに振り回されると、どうしても疲れてしまうものです。それでも「冷たくしたくない」「無視は悪いかも」と、自分の気持ちを後回しにしてしまう方もいるのではないでしょうか。
でも、すべてに対応しなければいけないわけではありません。大切なのは、相手のペースに合わせすぎず、自分の心地よさも大切にすることなんです。
なぜそんなに質問するの?──タイプ別に見る「質問の背景」
なぜ質問ばかりするのか? 質問の裏側にある「心のクセ」を知っておくと、対応のしかたが少し楽になります。ここでは、代表的な6つのタイプをご紹介します。
(1)【不安タイプ】「これで大丈夫?」が口ぐせになる人
「間違いたくない」「正しくできているか確認したい」そんな不安が強くて、つい確認を繰り返してしまうタイプです。同じことを何度も聞いてくることもありますが、聞いたあとはすぐ行動できるケースも多く、「確認することで安心したい」気持ちがあります。
(2)【依存タイプ】「どうすればいいか」全部教えてほしい人
「自分で考えるのが苦手」「正解を他人に委ねたい」という気持ちから、すぐ人に頼ろうとするタイプ。背景説明がなく「結局どうすれば?」という聞き方が多く、答えた後にも追加の質問が続きがち。自分の判断に自信がなく、物を考えることそのものを避けようとする傾向があります。
(3)【承認欲求タイプ】「あなたと近づきたい」のサイン
質問を通して、「話したい」「つながりたい」という気持ちがにじみ出ているタイプ。内容よりも、会話そのものが目的になっていることがあります。親しみやすく、距離を縮めようとする姿勢が見え隠れします。
(4)【支配・詮索タイプ】情報を通じて主導権を握りたい人
「どうしてそうなったの?」「誰が決めたの?」と、細かな背景まで聞いてくるこのタイプは、やり取りを通じて場の主導権を握りたい気持ちがあることも。他人の行動をコントロールしたい欲求が隠れている場合もあります。
(5)【沈黙恐怖タイプ】間が怖くてつい質問してしまう人
会話の沈黙や、場が静かになることに強い不安を感じるタイプです。とにかく何か話さなきゃと焦ってしまい、質問で間を埋めようとすることがあります。本人にとっては、気まずさを回避するための方法のひとつです。
(6)【好奇心タイプ】知りたい気持ちがとまらない人
興味を持ったことは、とことん知りたくなるタイプ。「それってこういうこと?」「他にもある?」と、どんどん話が広がっていきます。意欲的な反面、相手の時間や状況を気にするのが苦手な一面もあります。
どう向き合えばいい?──疲れすぎないためのちょうどいい工夫
質問されると、全部に応えなきゃと思ってしまうこともありますよね。でも、どこまで答えるかは、あなた自身が決めていいことです。ここでは、無理なく取り入れられる対処法をご紹介します。
(1)「まず調べてみてね」と伝える
何でもすぐ聞いてくる人には、「一度ここ調べてみた?」と伝えてみましょう。自分で探すというプロセスが入ると、質問の回数も自然と落ち着いてきます。
(2)「それ、あとで一緒に確認しようか」と提案する
今、手が離せないときや、繰り返される質問に疲れているときは、やんわりとタイミングをずらす言い方をしてみましょう。今は手が離せないけれど、ちゃんと応じるつもりはあるというサインにもなります。
(3)「どう思う?」と問い返す
すぐに答えを渡すのではなく、「〇〇さんはどう思う?」と聞き返すと、相手も考えるきっかけが生まれます。こうすることで、一方的な質問のループから抜け出す第一歩になります。
(4)「この時間だけなら大丈夫だよ」と伝える
雑談っぽい質問や、終わりの見えないやりとりには、「5分だけならOKだよ」など時間の枠を伝えておくと安心です。やり取りに終わりをつくることで、自分の余裕も守れます。
(5)「そういう話は控えてる」と笑顔でかわす
プライベートなことを深く聞かれて困ったときは、やんわりと境界線を示すのが◎。「ごめんね、ちょっとそういう話はあまりしてないんだ」など、自分のスタンスとして話さないという形で返すと、相手もそれ以上は踏み込みにくくなります。
(6)「いい視点だね」とまず返してから、軽く触れて終わらせる
承認欲求や好奇心が強い相手には、まず受け止めてから浅く応じるのが◎。「それ、面白いね」とワンクッション入れて、「うん、そういう考え方もあるかもね」と短く締めくくると、広がりすぎを防げます。
質問にすべて付き合わなくてもOK
「質問ばかりする人」に疲れてしまうのは、あなたが誠実に対応しようとしているからですよね。でも、すべての質問に応じる必要はないんです。
むしろ、「ここまでなら応じられる」「これはちょっと難しい」と線引きをすることで、心の余裕や仕事のペースが守られるようになります。適切な距離を保って、疲れすぎないでいられる工夫をしていきましょう。
文/高見 綾
心理カウンセラー|“質上げ女子”のお悩み相談。カウンセラー養成コースで豊富な臨床経験を積み、心の世界で学んだことを現実に活かすアプローチに高い評価をいただく。相談数4千超。著書は『ゆずらない力』(すばる舎)。
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