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賃上げを受けて若年層を中心に4割の人が行動を起こした春闘のリアル

2025.07.21

2024年の春闘では、平均賃上げ率が5.37%と過去30年以上で最⾼⽔準を記録し、⼤⼿企業を中⼼に初任給の引き上げや⽉額賃⾦のベースアップなども相次いだ。その一方で2024年の実質賃⾦は3年連続で前年を下回り、2025年も4⽉まで4か⽉連続でマイナスと物価上昇に賃⾦の伸びが追いついていない現状や物価⾼への懸念も見られる。

こうした社会的動向がある中で、求人サイト『Indeed(インディード)』の日本法人であるIndeed Japanは、全国の20歳から59歳のフルタイム勤務の正社員を対象に、春闘の結果や賃上げの動きを受けて、自分のキャリアについての意識や⾏動に変化があったのかを調査して結果を発表した。

⽇本の労働市場に影響がある春闘の結果は、労働者が待遇やキャリアを⾒直すきっかけにもなるので、どのような影響が出たのか注視すべきだろう。

正社員の76.1%が2024年3⽉から5⽉にかけての賃上げの動きを認知

正社員1000名を対象に春闘の結果や昨今の賃上げの動きについての認知度を調査すると、43.2%が「2025年3⽉から5⽉にかけての春闘の結果も賃上げの動きも、ある程度知っている」と回答した。

「春闘の結果は知らないが、賃上げの動きはある程度知っている」(32.9%)と合わせると76.1%が賃上げの動きを認知しているという。ちなみに調査対象者1000名のうち、⾃社に労働組合があって2025年に春闘が⾏われた⼈は41.4%だったという。

79.8%が春闘や賃上げの動きからキャリアや働き方を検討

2025年春闘結果や賃上げの動きを認知していると回答した761名を対象に、これらの動きを受けて賃⾦、キャリア、働き⽅に関する意識や⾏動に変化があったか質問すると、約8割が考えたことがあると回答した。考えた内容では、「⾃分の賃⾦」が最多で69.0%だった。

54.3%が「勤め先における今後のキャリアパス(社内での昇進や昇格の道筋)」について、47.3%が「転職」について考えたと回答しており、63.3%が⾃社内外を含めて今後のキャリアパスについて検討していたという。さらに38.3%は、「勤め先におけるキャリアパス」と「転職」の両⽅を考えたと回答した。

春闘や賃上げの動きで40.4%が⾏動を起こしたと回答

2025年の春闘の結果や賃上げの動きを受けて、賃⾦、キャリア、働き⽅について⾏動を起こしたかについての質問では、40.4%が⾏動を起こしたという。年代別では、年代が低いほど⾏動している割合が⾼く、20代では52.7%、 30代は45.6%、40代は38.1%、50代は30.9%という結果だった。

具体的に起こした⾏動では、「⾃⾝の給与明細(基本給‧⼿当など)を確認する」(26.3%)、「勤め先の給与テーブル(賃⾦表)を調べる」(19.2%)、「⾃社の⼈事制度‧評価制度を確認する」(17.6%)などが多かったようだ。

⼀⽅で「世の中の給与⽔準を調べる(同業他社・近いポジションの⼈の給与を調べるなど)」(16.2%)、「副業‧兼業を検討する/始める」(11.6%)、「転職活動を始める・進める(求⼈票を調べる、応募する、選考を受けるなど)」(11.2%)といった⾏動のいずれかを起こした⼈は24.3%で、勤務先以外でのキャリア機会に向けて⾏動を始めた⼈は2割程度だったという。

ちなみに⾃社以外のキャリア機会に⽬を向けた割合は30代が最多で次いで20代が多かった。30代は、21.1%が世の中の給与⽔準を調べて、14.9%が副業を検討し、14.7%が転職活動を始めていたという。割合は少ないながらも⾃社内で賃⾦をあげるために会社や上司に相談するなどの⾏動をとった⼈もおり、回答としては「上司に⾃⾝の給与について相談する」(10.2%)、「昇進の希望を表明する」(8.9%)、「異動の希望を表明する」(7.1%)などがあったという。

73.1%がインフレや物価⾼と比較して⼗分ではないと感じている

今回の調査対象者1000名に2025年3⽉時点での主な⼤⼿企業の春闘回答結果を提⽰し、2025年の春闘の結果に対する世の中の正社員全体の印象や春闘の結果が与える影響について調査すると、2025年春闘の賃上げ率は不⼗分だと感じた⼈が⼤多数を占めていたという。

「(春闘の結果/⽔準よりも)もっと企業は賃⾦をあげるべきだ」と思う⼈は73.5%(「そう思う」(28.2%)「どちらかといえばそう思う」(45.3%)の合計)で、「(春闘の結果は)インフレや物価⾼に⽐べて⼗分ではない」と思う⼈は73.1%(「そう思う」(34.2%)、「どちらかといえばそう思う」(38.9%)の合計)という結果になった。

⼀⽅で「(春闘の結果は)⽇本社会にとって良い傾向だ」と思う⼈は66.0%(「そう思う」(15.1%)「どちらかといえばそう思う」(50.9%)の合計)、「(春闘の結果は)妥当な結果だと思う」⼈は55.2%(「そう思う」(8.5%)「どちらかといえばそう思う」(46.7%)の合計)と半数以上だった。2025年の春闘では平均賃上げ率が過去最⾼⽔準だったが、賃上げの動き⾃体や賃上げ率の上昇傾向は歓迎しても実際の⽣活と照らしてみて不⼗分と感じている⼈は多いようだ。

トランプ関税による夏のボーナスへの影響を懸念する⼈は61.4%

調査対象者全体に春闘の結果や賃上げの動きをふまえて、⾃分⾃⾝の今年の夏のボーナスが昨年からどのように変化するか質問すると、「昨年よりも増えると思う」という回答は27.9%で3割弱だった。

過去最⾼⽔準だった2025年春闘結果を受けても夏のボーナスへの期待は限定的な結果になった。トランプ関税の夏のボーナスへの影響についての懸念では、調査実施の2025年5⽉時点では、懸念していると61.4%(「懸念している」(22.4%)、「やや懸念している」(39.0%)の合計)が回答したという。

Indeed Hiring Labのエコノミストの⻘⽊雄介氏は、「春闘の賃上げは⼀部の⼤企業にとどまり、企業のレピュテーションや広報的⽬的、政治的配慮によって動いているため、市場代表性に乏しく、必ずしも実際の労働需給を反映していないのではないかという⾒⽅は少なくありません。

今回の調査では、春闘の結果や賃上げの動きを認知していた⼈の約4割が、勤務先の賃上げ程度にかかわらず、⾃⾝の賃⾦・キャリア・働き⽅に関する⾏動を起こしていることがわかりました。特に現在の勤務先の外に⽬を向けた⾏動(転職活動、副業の検討・開始、他社の給与⽔準調査など)の割合は無視できません。

こうした動きは、労働者の期待形成を通じて外部労働市場を活性化させ、企業に対する賃⾦上昇圧⼒として作⽤する可能性があります」とコメントしている。

インフレや労働市場の変化に対応して企業が柔軟に賃⾦を⾒直すことが市場本来のメカニズムだが、日本ではデフレで名目賃金の変化が限定的だった。それが春闘のような制度的イベントがきっかけでも賃上げが起これば、労働者と企業の双⽅にとって「⾏動のきっかけ」や「期待形成の基準点」になりうる可能性が見えたといえるだろう。

「春闘や賃上げの動きによる意識・⾏動調査」概要

調査対象:現在就業中の20歳~59歳の正社員男⼥1000名
(2025年3月、4月に勤め先で賃⾦の改定があり、かつ従業員規模が2名以上の企業に勤める正社員)
調査⽅法:インターネット調査
調査期間:2025年5⽉15⽇~2025年5⽉19⽇
調査主体:Indeed
割付⽅法:2025年春闘結果と賃上げの動きについての認知度3区分(両⽅を認知・賃上げの動きのみを認知・いずれも⾮認知)、年代(20代・30代・40代・50代)4区分の計12セル
補正:正社員の性年代⼈⼝構成⽐(10歳刻み)にあわせて事前調査サンプルを補正。その後、補正後の事前調査サンプルにおける本調査割り付けセルの構成⽐にあわせて、本調査サンプルの割り付けセル構成⽐を補正
※構成⽐(%)、差分(pt)は⼩数第2位以下を四捨五⼊しているため、合計が100%にならない場合や少数第1位までの計算とは数値が異なる場合がある。

https://jp.indeed.com

構成/KUMU

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