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なぜ、今年は花火大会の中止が多いのか?各地で夏の風物詩が消えた理由

2025.08.26

夏の風物詩、花火大会の中止が相次いでいます。運営コストの高騰、人手不足、そして気候変動による天候リスク増大が背景に。足立の花火が2年連続中止となるなど、楽しみにしていた人にとっては単なるイベントキャンセル以上の意味を持つはず。この記事では、中止の理由、具体的な対処法、そして2025年に中止が決定した主要花火大会と2026年以降のリベンジ可能性まで、未来の夏の楽しみ方を探ります。

大人になっても、夏の夜空に打ち上がる花火を見るたびに、胸が高鳴り、遠い日の思い出が蘇る……。

そんな感情を抱く人にとって、「花火大会中止」のニュースは、単なるイベントのキャンセル以上の意味を持つはずです。

家族や恋人、友人と共に過ごすはずだった特別な時間が失われ、夏の計画が狂うだけでなく、どこか心の奥底にぽっかりと穴が開いたような寂しさを感じるかもしれません。

夏の夜空の輝きが失われるのはなぜか? もし中止になったらどうすればいいのか? そして、この国の美しい伝統は、これからも続いていくのか?

失われゆく日本の夏に、私たちはどう向き合うべきか。

花火大会中止の背景にある現実と、具体的な対処法、そして未来への希望を探ります。

夏の終わりか、新たな始まりか?花火大会中止の現実

夏の風物詩として、多くの人々が心待ちにしている花火大会。その開催が突如として見送られる、あるいは直前で中止となるケースが、近年目立つようになりました。

これは単なる一時的なトレンドなのでしょうか、それとも、日本の夏の楽しみ方が大きく変わる転換点なのでしょうか。

その背景にある、見過ごされがちな、しかし深刻な課題に目を向けていきましょう。

■全国に広がる〝沈黙の夜空〟なぜ、花火は消えていくのか?

全国各地で花火大会の中止が相次いでいますが、その理由は一様ではありません。

たとえば、東京都足立区の「足立の花火」は、昨年は雷、今年は強風と、原因は異なるものの2年連続で中止となりました。

特に今年の強風は、試験的に打ち上げた合図玉が200~300mも流され、燃えかすが民家に落下する可能性があったため、安全を最優先して中止が決定されました。

延期については、予備日の設定自体がないか、あったとしても新たな警備費用が発生するため、当初から想定されていないとのことです。

北海道江別市の「えべつ花火」は、ほかのイベントとスケジュールが重なり、警備体制や輸送体制の調整が困難となり、開催中止に至りました。

そして、大阪府池田市と兵庫県川西市が共催する「猪名川花火大会」も、警備費の高騰が大きな要因となり、2025年の開催を見送ることが決定しました。

2024年に第76回大会が開催されましたが、市が財政への影響を懸念したため、今後は隔年開催となる予定です。

また、茨城県大子町の「大子町花火大会と灯籠流し」は、台風被害からの復興に向けた河川工事が進行中であり、観客の安全確保や交通誘導などの警備面が懸念されるため、2025年の開催中止が決まっています。

これらの背景には、運営コストの増加、スタッフや警備員の確保の困難さ、そして気候変動による天候リスクの増大といった、複合的な問題が横たわっているのです。

■足立の花火、まさかの静寂…東京の夏は一体どうなる?

東京の夏の風物詩として親しまれてきた「足立の花火」。

©あだち観光ネット , 2021

2025年は、例年の7月下旬から日程を変更し、5月31日(土)の開催が予定されていました。

荒川河川敷(東京メトロ千代田線鉄橋~西新井橋間)を会場に、打上場所は千住側(堤南)とされ、2025年は総数約1万4000発の打ち上げが予定されていました。

足立の花火の特徴は、1時間に約1万4000発を打ち上げる「高密度花火」です。その迫力と美しさに魅了されたファンの熱い支援を受け、有料観覧席は事前に完売し、期待は高まるばかりでした。

しかし、残念なことに2年連続で中止という異例の事態に見舞われました。2024年は雷、そして2025年は強風がその原因です。

足立区は、観覧者や運営スタッフの熱中症リスクやゲリラ豪雨、雷、台風などによる中止リスクを避けるため、例年7月下旬だった開催日程を2025年から5月末に変更していました。

しかし、その努力もむなしく、2025年5月31日午後5時の時点で、都・消防・警察の関係者との協議の結果、安全第一で中止が判断されました。

この状況下で本番の花火を打ち上げると、大量の燃えかすが200~300m流されて民家に落下する可能性が高かったため、やむを得ない判断でした。

【参考】第47回 足立の花火(2025)|あだち観光ネット

■2025年中止が決定した主要花火大会

2025年に開催中止が決定している主な花火大会は以下の通りです。楽しみにしていた方は、情報を再確認しましょう。

釧路新聞花火大会(北海道釧路市)

例年8月に行われてきましたが、大会運営費の高騰と安全確保のための人手不足が要因となり、2025年度の開催が見送られました。

【参考】釧路新聞花火大会開催見送り【釧路市】

えべつ花火(北海道江別市)

例年7月20日あたりに行われてきましたが、他のイベントとのスケジュール調整が難しく、警備体制や輸送体制の確保ができなかったため、2025年の開催中止が決定しました。

なお、2026年8月1日(土)に第10回大会の開催が予定されています。

【参考】えべつ花火

浅虫温泉花火大会(青森県青森市)

例年7月末から8月に開催していましたが、2025年は一度中止が決定されました。

しかし、地元住民が立ち上げたクラウドファンディングプロジェクトにより、2025年9月15日(月・祝)に第75回花火大会の復活開催を目指して準備が進められています。

こちらは「中止からの復活」を目指す動きとして注目されます。

【参考】浅虫の火は消さない!第75回浅虫温泉花火大会を復活させるプロジェクト

大子町花火大会と灯籠流し(茨城県大子町)

昔から毎年8月14日に行われてきた大子町花火大会と灯籠流しですが、台風被害の復興に向けた河川工事(久慈川緊急治水対策プロジェクト)が進行中のため、観客の安全確保や交通誘導などの警備面が懸念され、2025年の開催中止が決定しました。

工事完了後、新たな環境での盛大な開催を目指すとしています。

【参考】大子町花火大会と灯籠流し|茨城県久慈郡大子町 中心商店街

つまごい祭り(群馬県嬬恋村)

例年7月末に行われていましたが、諸般の事情により、2025年度の開催を見送ると発表されました。

来年度以降の開催に向けて準備を進める方針です。

いせさき花火大会(群馬県伊勢崎市)

2025年度は開催がないことが公式に発表されています。

【参考】いせさき花火大会 – 伊勢崎市

かまがやの花火(千葉県鎌ケ谷市)

例年、8月に開催されてきましたが、鎌ケ谷市民体育館の改修工事のため、2025年度の開催が見送られました。

(C)かまがやの花火大会2024 All Rights Reserved.

【参考】【公式】かまがやの花火2024

猪名川花火大会(大阪府池田市・兵庫県川西市)

池田市と川西市をまたぐ猪名川の夜空を彩る猪名川花火大会は、8月中旬に開催されてきましたが、警備費の高騰により両市の負担が大きくなっているため、2025年度の開催を見送り、今後は隔年開催(2年に1回の予定)とする方針が決定しました。

(c)2021 Ikeda City. All rights reserved.

【参考】今後の猪名川花火大会について|池田市

高石シーサイドフェスティバル(大阪府高石市)

例年6月に開催されてきた高石シーサイドフェスティバルですが、警備人材の確保が難しく、来場者の安全確保が困難であると判断されたため、2025年度の開催中止が決定しました。

【参考】高石シーサイドフェスティバル2025の中止について|高石市

慶野松原花火大会(兵庫県南あわじ市)

例年7月末に開催されてきた慶野松原花火大会ですが、大規模駐車場の使用不可、一時休息場所の未確保、シャトルバス運行ルートの確保困難などの理由により、2025年の開催中止が決定しました。

2026年に第44回大会を開催できるよう努めると表明しています。

© 慶野松原花火大会 All Rights Reserved.

【参考】慶野松原花火大会

花火大会中止の不安を解消するQ&A

「せっかく予定を組んだのに!」「遠方から来たのに……」花火大会の中止は、多くの人にとってがっかりする出来事です。

特に、開催直前の発表となると、情報収集やその後の対応に困ってしまうこともあるでしょう。

しかし、冷静に対応すれば、混乱を最小限に抑えることができます。

ここでは、花火大会の中止に直面した際に、知っておくべき実用的な情報と、今後のために押さえておくべきポイントをQ&A形式で解説します。

■Q:「まさかの中止」その時、情報はどう掴む?

A:まず、大会の公式ウェブサイトを最優先に確認しましょう。例えば、「隅田川花火大会」の公式ウェブサイトでは、最新の天気見解などが掲載されています。

© 隅田川花火大会 all rights reserved.

【参考】隅田川花火大会 公式Webサイト

また、「全国花火競技大会 大曲の花火」の公式ウェブサイトでは、更新情報としてチケット販売状況や交通規制図の公開など、詳細な情報が随時更新されています。

© Omagari Entrepreneurs Group. All Rights Reserved.

【参考】全国花火競技大会「大曲の花火」オフィシャルサイト

自治体の公式ウェブサイトも重要な情報源です。「足立の花火」の中止情報や払い戻し手続きについては、足立区のウェブサイトや「あだち観光ネット」に掲載されています。

【参考】第47回 足立の花火(2025)

公式SNSアカウントもリアルタイムな情報発信ツールとして活用されています。

鎌ケ谷市の「かまがやの花火」も、当日開催決定の際はX(旧Twitter)で情報発信を行うとしていました。

長岡花火財団も公式YouTube、X、Instagramを活用しています。

さらに、一部の大会では電話による音声案内サービスを提供している場合もあります。例えば、「いせさき花火大会」では、開催可否などの音声案内が、当日午前8時から提供されます。

また、地域によってはFMラジオで交通混雑情報などが放送されることもあります。

情報が錯綜しがちな状況でも、これらの公式な情報源を定期的に確認することで、正しい情報を確実に手に入れることができます。

■Q:チケットは幻と消えるのか?返金など押さえておくべきポイント

A:花火大会が中止になった際、有料観覧席のチケットがどうなるかは、多くの人が気になる点でしょう。

対応は大会によって異なりますが、払い戻しが行われるのが一般的です。一方で、桟敷席などの有料観覧席のチケット代を、天候不良による中止などの事情で返金に応じない花火大会もあります。

例として、2025年に開催予定だった「第47回足立の花火」の場合で確認してみましょう。

こちらは強風により開催が中止となりました。それに伴い、有料観覧席の払い戻しが行われました。また、半券が切り取られた本券も払い戻しの対象となっています。

さらに、足立の花火では、チケットを紛失した方の払い戻し手続きも行われました。ただし、払い戻し期間は2025年7月1日(火)から7月21日(月・祝)までと定められており、この期間内にCNプレイガイドへ問い合わせる必要がありました。みなさんもチケットの紛失には注意しましょう。

このように、足立の花火では中止に伴い柔軟な対応を見せてくれた一方で、「事前準備への協賛金」などの名目で返金には一切応じない花火大会も見られます。中止時の払い戻し規定については、購入前に必ず確認しておくことが賢明です。

そして、チケット購入の際は、公式ウェブサイトで示されている払い戻しポリシーや、自然災害時の対応について注意深く確認し、いざという時のために情報を控えておくことをおすすめします。

■Q:雨天時の花火大会中止でどうなるの?

A:夏の天気は変わりやすく、特に花火大会の日は雨が心配になるものです。雨天時の花火大会の対応は、大会ごとに異なるため、事前に公式情報を確認することが重要です。

大会によって「中止と発表されたらそこで終わり」の場合もあれば、「予備日に延期」や「別日程に延期」となる場合もあります。特に遠方から花火大会に訪れる場合は、公式サイトなどで「少雨決行」「荒天中止」「順延の有無」などの情報を事前に確認し、交通手段や宿泊の手配に影響がないかを確認しておくことが賢明です。

■Q:2025年中止の花火大会は2026年リベンジされるの?

A:2025年に開催中止となった花火大会が、2026年に復活するかどうかは、中止理由や各実行委員会の状況によって異なります。

良いニュースとしては、2025年の開催を見送った「えべつ花火」は、すでに2026年8月1日(土)に第10回大会の開催を予定していると発表しています。また、「慶野松原花火大会」も、2026年に第44回大会を開催できるよう努めると明確に表明しています。

さらに、群馬県嬬恋村の「つまごい祭り」も、2025年は見送りつつ「来年度以降の開催に向けて準備を整えてまいります」と述べており、2026年の開催に含みを持たせています。

茨城県の「大子町花火大会と灯籠流し」は、河川工事が完了次第、新たな環境で盛大に開催できるよう調整を重ねていくとしています。

一方で、継続が不透明な大会もあります。「足立の花火」は2年連続の中止を受け、「今後の開催自体考え直すべきでは?」との声が上がっており、区として幅広く意見をつのりつつ、今後の開催に向けて検討していく方針です。現時点では2026年の開催が確約されているわけではなく、動向が注目されます。

「猪名川花火大会」は、警備費高騰という根本的な問題により2025年の開催を見送っただけでなく、今後は「隔年開催(2年に1回)」とすることを決定しています。ただし、隔年というのも現時点での予定としているため、その通りに開催されるかは定かではありません。

「釧路新聞花火大会」は、運営費の高騰と人手不足により2025年度の開催を見送ったものの、2026年以降の具体的な開催予定は明記されていません。同様に、「高石シーサイドフェスティバル」も2025年の中止を決定していますが、2026年以降の開催については言及されていません。

「かまがやの花火」は、鎌ケ谷市民体育館の改修工事という一時的な理由での見送りであるため、工事が完了すれば再開の可能性は高いですが、具体的な2026年の開催予定は発表されていません。「いせさき花火大会」も今後の開催は不透明です。

そんな中、青森県の「浅虫温泉花火大会」は、一度中止になったものの、地域がクラウドファンディングで「復活」を目指している特殊な例です。

2025年9月15日と年内での開催を目指しており、また、プロジェクトの目標には「来年以降も継続できる体制を構築すること」も含まれているため、ファンディングが成功すれば2026年以降も期待できるでしょう。

このように、中止されたイベントが2026年に「リベンジ」されるかどうかは、運営上の課題が解決されるかどうかにかかっています。

地域の財政状況、人手不足、安全対策のコスト、そして何よりも地域住民や関係者の熱意が、未来の夜空を彩る花火の光を再び灯す鍵となるでしょう。

【まとめ】

夏の終わりか、新たな始まりか……。

大人になった今でも、花火はきっと心の奥底にある「少年」や「少女」を呼び覚ましてくれる、特別な存在でしょう。

相次ぐ花火大会の中止は、単なるイベントのキャンセルではなく、幼い頃から当たり前だった日本の夏の風景が、少しずつ形を変えていく寂しさのようにも感じられます。

でも、そんな変化の中で、クラウドファンディングで復活を目指す花火大会のように、新たな光を灯そうとする動きもあります。

失われゆくものを受け入れつつ、今ある夏の輝きを、大切な人と一緒に心に刻んでいきませんか。

たとえ夜空の花火が見られなくても、きっと僕らには、自分たちだけの「夏の思い出」を創り出すことができるはずです。

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※当記事に掲載している価格などのデータは2025年8月時点でのものです。
※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。
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文/中馬幹弘

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