
「部下が挨拶をしない…」そんな小さな違和感が、職場のストレスに変わることも。挨拶の背景にある心理や、上司としてできる接し方の工夫を解説します。マナーだけにとらわれず、信頼関係を育むヒントも紹介。
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挨拶をしない部下に対し、「なぜ挨拶すらできないのか」と苛立ちや疑問を感じつつも、指導をためらってしまった経験はないでしょうか。
挨拶は単なるマナーではありません。良好な人間関係を築くための土台であったり、組織にポジティブな影響を与えてくれるものなのです。
この記事では、職場で挨拶の必要性や、挨拶のある職場にするための方法を解説します。
なぜ挨拶は必要?
まずは、なぜ挨拶は必要なのか、その意義を見ていきましょう。
挨拶について、今まで「挨拶は当たり前のマナー」と漠然と捉えていたことがあったはずです。ここでは、挨拶が単なる形式ではなく、職場の環境づくりにいかに重要であるかを詳しくご紹介していきます。
1.コミュニケーションの第一歩
挨拶は、円滑なコミュニケーションの第一歩となります。なぜなら、挨拶をすることで会話を始める自然なきっかけが生み出されるからです。
いきなり本題に入るのではなく、まずは「おはようございます」と声をかけ合うことで、仕事の相談や情報交換といった次の会話へスムーズにつなげることができます。
2.信頼関係の構築
挨拶は、信頼関係の構築にも欠かせないものと言えます。緊張している場面で、笑顔で挨拶をされたとき、緊張がほぐれた経験はありませんか?
挨拶を交わすことで親しみやすい好印象を与え、後の関係構築がスムーズになるという効果が期待できます。日々の挨拶を積み重ねることが人間関係の基礎となり、信頼を築いていくのです。
3.相手への関心、尊重を表す
自分から挨拶をすることで「あなたと良い関係を築きたい」という意思を伝えることができます。挨拶は、相手に関心がある、相手を尊重しているというポジティブなメッセージを送る行為だからです。
逆に挨拶をしないことは、「あなたに関心がありません」という無言のメッセージとして伝わる可能性があります。
4.帰属意識を高める
挨拶は、組織への帰属意識を高める上でも非常に効果的です。
「おはようございます」「お疲れ様です」といった基本的な挨拶を組織の全員で日々交わすという習慣によって、互いの存在を認め合い、「自分はこの組織の一員」という感覚を築くことができます。
挨拶をしない部下にイライラしてしまう原因は?
挨拶をしない部下にイライラしてしまう最大の原因は、「挨拶は部下からするものだ」という古い価値観に、上司自身が縛られているからです。
本来、挨拶は立場に関係なく行うもの。むしろ上司から行うことで多くのメリットが生まれます。上司から声をかけることで、部下が話しやすい環境が作られ、信頼関係を築く絶好の機会となるのです。
イライラの原因を部下の行動に求めるのではなく、まずは自分の中にある古い価値観を見直すことです。それが、不要なストレスをなくすための最も効果的な解決策と言えます。
挨拶のある職場にするために
職場の雰囲気は、挨拶ひとつで大きく変わります。明るい挨拶が飛び交う風通しの良い職場にするための方法をお伝えします。
1.上司から挨拶をする
職場の挨拶を根付かせたいなら、部下に「挨拶しなさい」と指導するのではなく、上司が自ら毎日ひたすら明るく元気に挨拶を続けることです。
そもそも挨拶とは、ルールや義務で強要するものではありません。自分自身が心地よくなるためのものだと捉えることが大切です。
上司が明るく挨拶する姿を見せ続ければ、部下はその姿勢を自然と見習っていき、職場の空気を変えていくことが可能です。上司が行動で示すことは、部下との信頼関係を築くきっかけにもなります。
2.立ち止まって、目を見て挨拶する
挨拶では、言葉だけでなく伝え方も大切です。特に、相手への敬意と気持ちを効果的に伝えるためには、立ち止まって、目を見るという行動が極めて重要になります。
歩きながらの挨拶は「ながら作業」と同じで、相手に心がこもっていない印象を与え、かえって失礼にあたることもあります。廊下などで人と会った際は、まずその場で立ち止まり、相手の正面に体を向けましょう。これが、挨拶をするという意思表示の第一歩です。
次に、笑顔でしっかりと相手の目を見てください。いくら元気な声でも、視線が合わなかったり表情が暗かったりすれば、かえって悪い印象を与えかねません。そして最後に、モゴモゴとした声ではなく、はっきりと聞き取れる言葉で挨拶をすることです。
丁寧な挨拶は、あなたの誠意を相手に伝え、良好な人間関係の構築へとつながっていきます。
文・構成/藤野綾子
ライター・編集者。精神保健福祉士、産業カウンセラー、EAPメンタルヘルスカウンセラー、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種の資格を持つ。大学に通い直し、心理の国家資格取得に向けて勉強中。教育施設、就労移行施設などでカウンセラー研修、実務も続けている。
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