これは違法だ
▼ R社の設立、取締役への就任
裁判所
「これはアウトですね」
〈理由〉
・会社に在籍中にやってる
・就業規則違反
会社在籍のまま、他の会社又は外部団体に勤務すること
その他前各号に準ずる程度の行為をすること
裁判所
「職務専念義務違反、誠実義務違反です」
▼ R社の開業準備行為
裁判所
「R社の店舗の準備、従業員の雇用、販売商品の準備、HPの掲載も会社の在籍中にやってるので誠実義務に違反します」
▼ 秘密保持義務違反
「秘伝のタレのレシピを基にして作り直してるよね」みたいな判断です。
裁判所
「XさんたちがR社で提供している眉のトリートメント技術のカナリの部分は会社の研修で習得した技術が基になっている」
「その技術を基にしたものを提供することは秘密保持義務に違反する」
▼ 引き抜き
裁判所
「これはセーフです。積極的に勧誘したことによって退職したとは認められないからです」
退職金はどうなる?
★ ポイント
違法行為があった=退職金なし【とはなりません】。
退職金がもらえないのは「それは不義理すぎるでしょ!」という行為があった時だけなんです(正確にいえば「労働者の勤続の功を抹消ないし減殺してしまうほどの著しく正義に反する行為があった場合」)
―― 裁判所さん、今回はどうですか?
裁判所
「不義理すぎますね」
「理由は上にあげたとおりですし、以下の事情も見てね」
・会社はアジア地域で眉事業を展開するためにA社に500万ドルを払っていた
(ライセンスを受けたようです)
・そういう事情をXさんたちは理解できる立場にあった
・Xさんたちは眉事業の展開や技術指導の中心メンバーだった
などの理由を挙げて裁判所は「不義理すぎるから退職金ナシ!」と判断しました。裁判所は【不義理レベル】を緻密に精査して判断します。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
「ムズイ法律を、おもしろく」をモットーにコンテンツを作成している弁護士
YouTube:https://www.youtube.com/@saiban_LABO
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