
ブレインストーミングにインターネット検索は有効か
既成概念にとらわれることなくアイデアを出したいのなら、インターネットは使わない方が良いようだ。ブレインストーミング(グループでアイデアを出し合い、新たな発想を生み出す会議手法)セッション中にアイデアを求めてインターネットで検索すると、グループの創造性が阻害される可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。
米カーネギーメロン大学社会・意思決定科学部門のDaniel Oppenheimer氏とMark Pattersonによるこの研究結果は、「Memory & Cognition」に5月28日掲載された。
Oppenheimer氏らは、244人の研究参加者を対象にランダム化比較試験を実施して、インターネット(Google)の使用が創造性に与える影響、および潜在的な弊害について検討した。
参加者は、インターネットを使用する群と使用しない群にランダムに割り付けられ、代替用途テストを受けた。このテストは、傘や盾などの物を通常とは違う用途で使うためのアイデアを出す課題である。試験では、121人が盾(インターネット使用58人、非使用63人)、123人が傘(インターネット使用68人、非使用55人)の代替用途について考えた。創造性は、アイデアの数と質(新規性、実用性、主観的創造性)の観点で評価された。
その結果、個人レベルでは、インターネットの使用により創出されるアイデアの数が増える傾向が認められた。具体的には、傘の代替用途案の数については、インターネット使用群と非使用群との間に統計学的に有意な差が認められたが、盾については両群間で有意な差は見られなかった。一方、グループレベルでは、インターネットの使用によりアイデアの数が減少することが示唆された。また、インターネット非使用群では使用群に比べて、新規性、実用性、主観的創造性の全ての面で優れていることも示された。
Oppenheimer氏らは、「これは、検索結果として示される提案が、新しいアイデアや異なるアイデアを考えるのを妨げてしまうからなのだろう」との見方を示している。
Oppenheimer氏は、「例えば、『自分がspread(広める、塗る)しそうなもの』についてブレインストーミングをしようとしている人が、他の人やGoogleが『バター』や『ジャム』などの答えを出すのを見ると、クリームチーズなど他の食品を思い付く可能性が高くなる一方で、病気や噂といった食品とは無関係の答えを思いつく可能性は低くなる」と説明する。
Oppenheimer氏は、「この研究は、インターネット検索により思考の固着(fixation)、つまり、見た情報に引きずられて新たなアイデアの創出が困難になり得ることを示す初めてのエビデンスだ」と述べている。また同氏は、「インターネット使用群は検索結果に頼っているため、同じような答えを、多くの場合、同じ順序で思い付く傾向があったが、非使用群はより独創的なアイデアを思い付いていた」と話している。
とはいえOppenheimer氏は、ブレインストーミング時にインターネットの使用を控えるべきだと考えているわけではない。同氏らは、必要なのは使用の回避ではなく、むしろ創造力を発揮しながら検索エンジンをよりうまく活用する方法を考案することだと話す。Patterson氏は、「人間の思考がテクノロジーの使用とどう相互作用するかを研究することで、インターネットを最大限に活用しながら、その悪影響を最小限に抑える方法を見つけ出せると期待している」と同大学のニュースリリースの中で述べている。例えば、インターネットで検索する前にオフラインで少しブレインストーミングを行えば、この研究で観察されたような思考の固着を回避できる可能性があると同氏らは述べている。(HealthDay News 2025年7月2日)
https://www.healthday.com/health-news/mental-health/brainstorming-avoid-the-internet-study-says
Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
(参考情報)
Abstract/Full Text
https://link.springer.com/article/10.3758/s13421-025-01732-x
Press Release
https://www.cmu.edu/news/stories/archives/2025/july/study-reveals-that-internet-searches-can-hinder-creativity
構成/DIME編集部
コーヒーに砂糖やクリームを入れると長寿効果が減少するってホント?
コーヒーの長寿効果は砂糖やクリームの添加が少ない場合のみ 毎日1、2杯のコーヒーの摂取は寿命を延ばすのに役立つかもしれないが、それは飽和脂肪酸を含むコーヒークリ…