
コーヒーの長寿効果は砂糖やクリームの添加が少ない場合のみ
毎日1、2杯のコーヒーの摂取は寿命を延ばすのに役立つかもしれないが、それは飽和脂肪酸を含むコーヒークリームと砂糖を控えた場合に限るようだ。新たな研究で、コーヒーの摂取は全死因死亡リスクの低下と関連するが、それはブラックコーヒー、または少量の砂糖と飽和脂肪酸を含むクリームを加えたコーヒーに限られることが明らかになった。米タフツ大学フリードマン栄養科学・政策学部のFang Fang Zhang氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Nutrition」に5月12日掲載された。
Zhang氏は、「コーヒーは世界で最も消費されている飲み物の一つであり、米国の成人のほぼ半数がコーヒをー1日に少なくとも1杯飲んでいる。こうした状況に鑑みると、コーヒーが健康に与える影響を知ることは重要だ」と同大学のニュースリリースの中で述べている。
Zhang氏らは、1999年から2018年にかけて行われた米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した4万6,332人の米国成人のデータを用いて、摂取されたコーヒーの種類(カフェイン入りかカフェイン抜きか)と摂取量、砂糖(約240mL当たり2.5g未満か以上か)と飽和脂肪酸(約240mL当たり1g未満か以上か)の摂取量を調査し、死亡との関連を検討した。死亡は、全死因死亡、がんによる死亡、心血管疾患(CVD)による死亡の3つを対象とした。コーヒーの1日当たりの摂取量は、飲まない、1杯未満、1杯以上2杯未満、2杯以上3杯未満、3杯以上の5群に分類した。
中央値で9.3〜11.3年追跡した結果、7,074人が死亡しており、そのうちがんによる死亡は1,176人、CVDによる死亡は1,089人であった。解析の結果、コーヒーの摂取量が多いほど全死因死亡リスクは低下する傾向を示し、コーヒーを摂取しない場合の全死因死亡のハザード比(HR)を1とした場合、1杯未満ではHR 0.89、1杯以上2杯未満ではHR 0.84、2杯以上3杯未満ではHR 0.83であったが、3杯以上になるとそれ以上のリスク低下は認められなかった(HR 0.85)。ただし、このような全死因死亡に対するコーヒーの効果は、ブラックコーヒーか(同0.86)、砂糖と飽和脂肪酸の含有量が少ないコーヒー(同0.86)に限定されていた。CVDによる死亡リスクについても、全死因死亡リスクと同様の傾向を示した。一方、コーヒーの摂取とがんによる死亡リスクとの間に有意な関連は見られなかった。
論文の筆頭著者であるタフツ大学フリードマン栄養科学・政策学部のBingjie Zhou氏は、「コーヒーの添加物がコーヒー摂取と死亡リスクの関連に与える影響を調べた研究はほとんどない。われわれの研究は、コーヒーに添加される甘味料と飽和脂肪酸の添加量を定量化して検討した初めての研究の一つだ」と述べている。
ただし、本研究は自己申告による食品摂取データに基づいているため、データの正確性に疑問が残ることは否めない。また、カフェインレスコーヒーと全死因死亡の間に強い関連は見られなかったが、これは対象者の中にカフェインレスコーヒーを飲む人が少なかったことが原因である可能性もあるという。
それでも研究グループは、この研究結果は、コーヒーの摂取が健康的な食生活の一部になり得ることを裏付けるものだとの考えを示すとともに、添加する砂糖とクリームの量には注意するよう呼びかけている。(HealthDay News 2025年6月19日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S002231662500286X?via%3Dihub
Press Release
https://now.tufts.edu/2025/06/16/hold-cream-and-sugar-black-coffee-linked-lower-risk-death
構成/DIME編集部
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