
ビューティーディレクター MICHIRUさんとおくる、連載「Wellbeing beauty by MICHIRU」。
連載第5回は、天然ミネラルが豊富なクレイを使用したプロダクトブランド「CLAYD(クレイド)」を訪問。入浴剤を中心としたクレイプロダクトの展開で、クレイを一般市場に浸透させてきたCLAYD代表の羽田賀恵さんに話を聞いた。
全3回の中編ではクレイが広げるオーガニック化粧品の可能性に注目する。
天然ミネラルが豊富なクレイを使ったプロダクトブランド「CLAYD」がつくるウェルビーイングな社会
ビューティーディレクター MICHIRUさんとおくる、連載「Wellbeing beauty by MICHIRU」。 連載第5回は、天然ミネラルが豊富なクレイ…
自らの体調不良が世の中にクレイを広めるきっかけに

MICHIRUさん(以下、MICHIRU):前編でクレイは産地によって特徴が違うとおっしゃっていましたが、羽田さんとCLAYDで使っているクレイとの出会いとは?
羽田さん(以下、羽田):CLAYDのクレイはアメリカの西海岸で採取されているものです。出会いのきっかけは東日本大震災の時期の自身の体調不良でした。小さい頃からアレルギー体質で、いわゆる毒素に過敏に反応しやすい体質だったんです。そんなときにアメリカに住んでいた頃の自然療法の師匠から「クレイを入手したほうがいい」と連絡をもらいました。
調べてみるとクレイには重金属や化学物質を吸着する作用が認められているといった論文をたくさん出てきました。またチェルノブイリの原子力発電所事故のときにも使われていたそうです。
それで世界中からクレイを集め、自分の体で試していきました。そうしたらCLAYDの原料となっているクレイを使ったときに、悩ましかった症状がピタッと止まったんです。それでこれは他のクレイとは違うかもしれないと思いました。
MICHIRU:それだけ吸着と浄化の力が強いクレイなんですね。それからすぐにブランドをスタートしたのですか?
羽田:いえ、はじめはそれ以前からやっていたデトックスセミナーの中で、クレイのことを参加者の方にお伝えしていました。そのうちクレイについてのフィードバックが増えてきたんです。ニキビが治ったとか、眠れるようになったとか。私も知らないような実感を教えてもらって、その度にいまパートナーにもなっていただいている現地のクレイ研究者の方に質問をしたり、情報をいただいたりしていました。
自分でも勉強を重ねながらそんな日々を繰り返しているうちに、クレイについてすごく詳しくなっていきました。そうしたらもう、誰もがこのクレイを手に入れられるように世の中に出さねばと思ってしまって。それがCLAYDの立ち上げにつながっていきました。
MICHIRU:羽田さんやみなさんが体感でクレイの力を強く感じてきたからこそ、「使ってもらったらわかる」という自信に満ちた言葉が出てくるんですね。
クレイが乳化剤に!? 化粧品のつくり方を変えていく

MICHIRU:CLAYDではクレイ100%の入浴料だけでなく、基礎化粧品なども展開していますよね。「クレイウォーター オイル(オールインワン美容液)」が登場した時には、とても驚きました。界面活性剤を使わずに、水と油の乳化を叶えていますよね。
羽田:そうなんです。クレイが乳化剤の働きをしてくれているんです。これはもう化粧品業界に声を大にして伝えたいクレイの使い方。基礎化粧品の製造に欠かせない界面活性剤ですが、クレイを活用すれば使う必要がなくなる場合もとても多いということがわかりました。CLAYDではクレイの乳化作用と吸着力を生かしたクレンジング(「クレイド クレンジング ミルク」)も展開しています。石油由来の界面活性剤を使わずに、メイクも皮脂などの汚れもすっきり落とせるんですよ。
MICHIRU:石油由来の界面活性剤は環境への影響も悩ましく、できるだけ使わないようにと多くのメーカーさんが工夫をされています。クレイでそれが可能だったとは!
羽田:クレイバスも入るだけで汚れが落ちるので、石鹸でゴシゴシ洗わず、入浴後にシャワーを浴びるだけで汚れや臭いが気にならなくなります。また洗剤に頼らなくても浴槽の汚れまで取れます。肌の潤いも守られてきれいになって、入浴後の排水は海を汚さない。こうやってクレイを使って自分が気持ち良いと感じながら、環境を守っていくというのもありだよねって。
まだ見ぬクレイの活用法を探って

MICHIRU:想像以上にクレイの力は幅広そうですね。他にはどんな活用方法がありそうですか?
羽田:温浴効果や皮膚の修復作用など。近年では日本の病院でも、皮膚を治す薬としてクレイが使い始められています。その他、エビデンスがまだなくて商品説明としては語れなくとも、さまざまな期待できる使い方や作用があるとされています。
MICHIRU:昔ながらの知恵としての使い方もいろいろと聞いています。クレイの力が解明されていくほどに、新たなクレイの活用法も出てくるのかと思うと楽しみです。
羽田:そうなんです。たとえばCLAYDのクレイは現地のネイティブアメリカンが昔からずっと使い続け、受け継いできたもの。彼らはお腹が痛いときには水にクレイを溶かして飲んだり、傷を負ったときにはパックのように塗ったりして、心身を癒してきたそうです。アメリカにはこのクレイを使った自然療法施設もあるんですよ。
マイナスにイオン帯電し、体に必須のミネラルを豊富に含んだりと、世界のクレイの中でも稀有な特性を持っているクレイです。私はこのクレイを私たち人類の救世主、太古からのプレゼントだと本気で思っています。MICHIRUさんがおっしゃる通り、活用法についてもさまざまな可能性を秘めていて、私も今も絶賛探究中です。
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羽田賀恵(はだ・かえ)
マザーアース・ソリューション株式会社代表。証券会社勤務を経て渡米した米国で、アメリカ薬草学やローフード食事法を学び、ホメオパシーディプロマを取得。天然クレイを使用した「温泉を超えた入浴剤」で「CALYD(クレイド)」を創業。クレイを用いた天然由来成分のみのボディ・スキンケア商品を百貨店など約500店舗にて展開する.
MICHIRU(みちる)
メイクアップアーティスト・ビューティーディレクター/渡仏、渡米を経て、国内外のファッション誌や広告、ファッションショーやメイクアイテムのディレクション、女優やアーティストのメイクなどを数多く手がける。また体の内側からきれいになれるインナービューティを提唱するなど幅広く活躍中。本連載ではナビゲーターを務める。
取材・構成/福田真木子
写真/五十嵐美弥