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「料金プランからサービスプランに。ドコモMAXは競争軸を大きく変えるチャレンジです」NTTドコモ前田義晃社長インタビュー

2025.07.07

4月にはDAZNとセットになった新料金プラン「ドコモMAX」を発表。5月には住信SBIネット銀行の子会社化を発表するなど、大きな変革が相次ぐドコモ。就任から1年を経た代表取締役社長の前田義晃氏が、変革の先に見据えるのはどのような未来図なのか、取材した。

急ピッチで進む、5Gの基地局増設。来年には衛星、さらにHAPSも商用サービスを開始予定

――昨年の社長就任時に、まず掲げられたのが通信サービス品質の向上でした。この1年、どう取り組まれましたか?

前田社長:通信サービス品質については、就任前からいろいろとご不便をおかけしているとの声をいただいていて、大きな課題意識がありました。就任会見で5Gの基地局数を増やすという話をさせていただきましたが、24年度には前年度比で全国では20%、特にご不便をおかけしている都市中心部の人口集中地域では70%基地局を増設しました。25年度はさらに同じ対23年度比で、全国では40%、都市中心部では120%の増設を進めています。

調査会社の調査で1位を目指すという話もしましたが、何より大切なのはお客様の体感を良くしていくこと。お客様から不満の声がなるべく出ない状態を作っていくことです。そのために今の取り組みだけで十分なのかと言えば、まだ誰が見てもドコモが一番という状況に至っているわけではありません。そういう調査や基地局の数といったところを積み上げながら、できる限り早くそういう状況にできるように、引き続きしっかり対策をとっていきたいと思っています。

――ドコモはエリアカバレッジが広く、山間部や離島にも強いと言われてきましたが、auが衛星と直接通信ができるサービスを始めました。どう捉えていますか?

前田社長:通信品質もそうですが、エリアカバレッジについても、いろいろな技術の進展によって図られていくものと考えています。衛星については、確かにauさんが先行されているところはありますが、我々も来年の夏には同じレベルのサービスを提供する予定です。

さらにHAPS(High Altitude Platform Station/高高度プラットフォーム)にも取り組んでいます。今南アフリカやケニアの上空で実証実験を行っていますが、4Gでのダイレクト通信の実験にも世界で初めて成功していて、26年度の商用化を目指しています。まず法人向けからという話にはなってしまうかもしれませんが、次世代に向けて取り組みを進めていきたいと思っています。

通信事業者としては、つながらないところがないのがベストだと思いますし、あらゆるところでつながることを追い求めたい。衛星通信やHAPSはその手段です。さらに今後、6Gになって遠くまで電波が飛ばないとなったときに、どうカバーエリアを広げていくのか。そういったことも含めて、今後も研究開発を続けていく中で、様々な技術的な進展が図られていくと思います。

NTTドコモ 代表取締役社長の前田義晃氏

銀行が揃ったことで多彩な組み合わせのサービスが可能に。ブランドの統一も検討中

――住信SBIネット銀行の子会社化が発表されました。就任時から銀行が必要と仰っていましたが、どう活用していくのですか?

前田社長:まだトランザクションをやっている最中なので、具体的なことは秋以降にしっかり詰めていきますが、今はドコモだけでなく、どの携帯電話会社も経済圏というものを作りながら、事業を展開しています。その経済圏の中で、どれだけお客様にお得に便利に、お使いいただける状況を作っていけるかが、お客様から見たときの魅力になります。そこからつながって、この携帯電話会社を使い続けたいという気持ちになっていただけるのだと思います。ドコモの経済圏の中で、いかにお客様の利便性を高めていけるか、お得にお使いいただけるかという、そこを目指していく中で足りなかったのが銀行で、今回そのピースが埋まりました。

我々の金融事業は、決済を中心に大きくなってきました。クレジットカードに関しては他社さんに比べても、かなり大きいレベルになりつつあります。例えばそのカードの引き落とし銀行口座を、住信SBIネット銀行でセットしていただく。また、通信料金の支払い口座としてセットしていただく。今までは手数料が必要でしたが、同じグループ内で提供できるようになれば、手数料がかからない分を優遇するといったことも考えることができます。

あとは、dカードやd払いといった決済サービスと、いかにうまく連携をしていけるか。もちろんSBI証券さんを含む、複数の証券サービスとの連携もあると思います。ドコモ経済圏では一つのアカウントであらゆるサービスをお使いいただいているので、お客様のデータから生活スタイル、ライフステージを理解をして、お客様の使い方に基づいた融資ですとか、ライフステージに合わせた投資や保険の提案ができる。これは我々ならではの部分かなと思っています。

もう一つの強みは、住信SBIネット銀行さんの銀行としての使いやすさです。ネットで金融サービスを便利に使っていただける、これを組み込めるというのは、ご一緒させていただくことで得られる大きな価値だと思っています。それを競争力の一つにしながら、ともに取り組んでいきたいと思っています。

――既存の金融サービスとはどう連携していきますか?今後はブランドの統一なども測られていくのでしょうか?

前田社長:いろんなやり方あると思います。それぞれのIDを連携させるという形でもできるでしょうし、新しくお使いいただくお客様には、シームレスにいろんなサービスが組み込まれたアプリをご提供するみたいなやり方もあると思います。

たとえばすでに提携させていただいているマネックス証券さんとは、今後初心者向けの証券サービスを一緒に展開していく計画です。サービスを一緒に企画して、提供するということを進めているわけです。すでにご利用中のお客様、これから新しく使うお客様など、個々のお客様に合わせた形で、うまくサービスをまとめあげたいというのが私の考えです。

その際のユーザビリティおよびUXは、これからもずっと高めていかなければなりません。これまでもアプリケーションの開発やサービスの提供の仕方といったところには、いろんな方々の助言をいただきながらやってきましたが、住信SBIネット銀行さんのように、使いやすい良いサービスを作っている方々の知見をうまく取り入れていきたい。ノウハウの共有みたいなことも含めてシームレスにやっていくことで、使い勝手をうまくいい方向に整えていく、まとめていくことができると思っています。

料金プランとしての競争に限界?価値をセットしたサービスプランで積極的に選ばれたい

――新プランについて伺わせてください。「ドコモMAX」の申し込みが好調だと聞いたのですが、ポイ活も含めて、料金プランがかなり変わってきました。背景を教えてください。

前田社長:各社が切磋琢磨していくと、最終的にはサービスは均質化していきます。ギガがどれくらい使えて、料金が安いか高いか。端末を買い換えるときの価格はどうか。あとはいろんな販売チャンネルでどれぐらい、手厚くコミュニケーションできるか。そういったところでお客様が動いていく。これらはもちろん、これからも必要な部分だとは思っていますが、もっとお客様にこれがいい、これを使いたいと思って積極的にお選びいただける。そういうプランにしていきたいというのが、我々の思いです。

例えばポイ活プランは昨年度から取り組んでいますが、これはドコモの経済圏の中で、ポイントや決済、それ以外のサービスも含めて、たくさんお使いいただいている方々がもっとお得に使えますというプランです。まさにこの「お得」という部分、バリューという価値をセットすることでお選びいただく。選び続けていただく状態を作りたくて、やらせていただいたものです。

ほかにも価値をセットしたプランを、できるだけたくさんの方に選んでいただきたい。そこで、ドコモMAXではDAZNをセットしました。DAZNはご存じのように、プロ野球やJリーグはJ1からJ3の全部、最近ではBリーグに、ほかにもF1などの人気スポーツがたくさんありますが、これらが月額4200円で見られるサービスです。もちろん、中にはスポーツをお好きじゃない方もいらっしゃるとは思いますが、スポーツを好きな方が少ないかというとそんなことはありません。たとえば野球、サッカー、バスケットボールのファンを全部あわせると、4000万人とも言われています。多くの方が本当は見たいと思っているのに、実際に有料で見ている方は限定的です。ニーズがあって望んでいるお客様が潜在的にたくさんいらっしゃるなら、そのお客様たちに喜んでいただけるようなサービスを作ることができないかと考えました。

DAZNと提携して、そのサービスをほとんどプラスアルファのない形で提供できれば、スポーツファンの方々にお選びいただけるのではないか。いろんな業種業界のマーケティングありますが、基本的にお客様が商品を選ぶときには、これが好きだというものをお選びになります。我々のサービスも、安いとか高いとかだけではないところで、お選びいただきたい。安いか高いかだけだと、マーケティングにお金を投じても競争優位の状態を作るのは難しいですし、価値を乗せていくという方向にはなりにくい。そこを変えていくチャレンジをしたいというのが、今回のプランに対する戦略的な思いです。

ただ、これはお客様から共感をいただけなければ成り立ちません。できる限り多くのお客様に、ここでしか提供されていないサービスだということをご理解いただきたい。そのためにファンの多いところからやっていきたいということがあって、まさにスポーツはぴったりだったということです。ただファンがいるのはもちろん、スポーツだけではありません。今後はそういうファンの塊感というものを捉えながら、この「ドコモMAX」をさらに広げていきたい。いろいろなジャンルを取り込んでいくということを、やっていくつもりです。

――単なる料金プランではなく、好きなサービスがセットされたサービスプランに変わっていくということですね。

前田社長:変えていきたいなと思っています。事業者ごとに捉える競争軸があり、それはそれぞれのお客様とのコミュニケーションや、戦略の中で考えていくことですが、我々としてはいろいろなファンの方々のコミュニティが広がっていく中で、そこにどれくらい関われるかがすごく大事なことだと思っています。スポーツ、たとえばサッカーでいうとJリーグさんとはずっとパートナーですし、クラブチームとの連携みたいなことも、今はもう60のクラブチーム全部に対してご提案して、お話をさせていただいています。

CMが始まっていますが、地域ごとにその地域のクラブチームの選手に出演してもらったり、選手をデザインしたdポイントカードをサポーターの方々に配ったり。あとはスタジアムの通信環境をちゃんと整えていくということももちろんありますし、試合の日は地元のドコモショップでも同じユニフォームを着て盛り上げることができるかもしれない。そういうつながりを作っていくことで、ファンの方々との信頼関係が生まれていき、その先に我々のことを仲間としてお選びいただくということになればいいなと思っています。

そういう広がりのある活動につなげていくということも含めて、ベースにあるのはファンダムマーケティングという考え方です。それをスポーツだけじゃなくて、今後他のジャンルに対しても1つ1つつなげていけたらと思っています。

取材・文/太田百合子

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