
「意趣卓逸(いしゅたくいつ)」は、考えや趣向が優れていて、独特な魅力を持つことを表す四字熟語だ。本記事では、語源とビジネスでの使い方を解説する。
目次
「意趣卓逸(いしゅたくいつ)」は、考えや趣向が優れていて、独特な魅力を持つことを表す四字熟語だ。単なる優秀さを超えた、他とは一味違う独創性や洗練された感性を褒める際に使用される。
ビジネスシーンにおいても、格調高い表現として使用することがある。社内外で褒めたい相手がいる場合に使用することで、よい印象を与えられるだろう。
意趣卓逸(いしゅたくいつ)とは

意趣卓逸(いしゅたくいつ)とは、相手を褒めるときに使用する四字熟語だ。まずは、基本的な意味から確認しよう。
■意趣卓逸の意味
「意趣卓逸」は、考えや趣向が優れていて、普通とは違った独特な魅力があるという意味の四字熟語だ。
- 意趣 = 考えや趣向、物事に対する見方や感じ方
- 卓逸 = 優れて抜きん出ている、際立っている
単に優秀なだけでなく、「他とは一味違う独創性や洗練された感性を持っている」ことを表現する。平易に言い換えると「センスが良い」というイメージだ。
類似表現としては「独創的」「洗練された」「センスが光る」などがあり、「意趣卓逸」はより格調高い表現として、特に文書や改まった場面で使われることが多い。
■意趣卓逸と山月記
中島敦の代表作『山月記』の中で、主人公を表現する際に「意趣卓逸」という言葉が使われている。
主人公は詩人として「意趣卓逸」な才能を持つ人物として描かれており、彼は普通の人とは違う優れた感性と独創的な詩作の才能を備えていた。詩的才能の高さや、他の人には理解されにくい独特な美意識を持っていることを示す際に「意趣卓逸」と表現する。
意趣卓逸(いしゅたくいつ)とビジネス

意趣卓逸は、現代のビジネスにおいても使用する場面がある。どのような場面で使用するのか、確認していこう。
■ビジネスにおける意趣卓逸の使い方
ビジネスにおける「意趣卓逸」の使用場面として、以下が挙げられる。
- 評価・査定の場面(人材の能力や成果を格調高く表現する場面)
- 従来の枠組みを超えた革新的なアイデアや、洗練された発想を称賛する場面
- 自社や製品の独自性を、競合との違いを際立たせながら表現する場面
- 取引先やクライアントの卓越した見識やセンスを、丁寧かつ格式ある言葉で評価する場面
- 正式な文書や報告書で、対象の特別性や優位性を文学的な表現で強調したい場面
- 部下や後輩の成長や可能性を、単なる能力以上の資質として認める場面
- 商品やサービスの独特な魅力を、知的で洗練されたイメージとともに訴求する場面
「意趣卓逸」という、一般的には使用しない誉め言葉が、ビジネスコミュニケーションに深みと品格を与えてくれるだろう。
■ビジネスにおける意趣卓逸の例文
続いて、具体的な例文に落とし込んでみよう。
人材評価の場面 「〇〇課長の企画立案能力は意趣卓逸であり、従来の市場分析手法にとらわれない独自の視点から、競合他社が見落としていた潜在需要を的確に捉えた提案を数多く生み出している。」 |
商品・サービス評価の場面 「当社の新しいデジタルマーケティングソリューションは、単なる効率化ツールの域を超えた意趣卓逸なアプローチを採用しており、顧客体験の質的向上と業務効率の両立を実現する画期的なシステムとして、業界内でも高い評価を得ている。」 |
これらの例文では、「意趣卓逸」が「優秀」や「革新的」と表現するよりも、より深い洞察力や独創性を含意していることが分かる。
口頭で伝えるだけでなく、ビジネス文書において、対象となる人物の特別性を格調高く表現したい場合に効果的に使用できる。社内外で「センスの高さを感じる人」を褒めるシーンがあれば、使用してみよう。
まとめ
独特な魅力や優れた感性を評価したいときは、「意趣卓逸」という言葉を使用するとよい。人材評価や企画提案の評価、ブランディング、顧客への敬意表現などのビジネスシーンで活用できる。
深い洞察力や芸術的センスを含意する言葉であり、ビジネスコミュニケーションに深みと品格を与えてくれるだろう。特に、正式な文書や改まった場面でなじむ言葉であるため、教養として知っておくとよい。
文/柴田充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。