
2025年6月、クールビズ開始から20年を迎える本年より、職場における熱中症対策が義務化された。
Job総研が2023年夏に実施した調査(※1)では、テレワークを希望する人が6割いる一方で、実際には出社を選択している人が多数派であることが明らかとなり、理想と実態にギャップがあることがわかっている。
コロナ終息後に進んだ「出社回帰」の流れにより、各企業で出社率は上昇傾向にあるが、気象庁は今年、観測史上最も早い梅雨入りと、過去10年で最高レベルの猛暑となる可能性を発表しており、労働環境に対する社会的関心が高まっている。
職場での熱中症リスクも増し、企業も安全な労働(職場)環境の提供や社員の健康管理がより一層求められる中で、個人の夏のはたらき方の理想や実態はどのように変化しているのだろうか。

Job総研では544人の社会人男女を対象に、今夏のはたらき方の理想と実態、今夏出社またはテレワークを希望するそれぞれの理由、さらに職場の熱中症対策とその印象、そして夏の暑さが仕事に及ぼす影響を調査した「2025年 夏のはたらき方実態調査」を実施したので、結果をお伝えしよう。
今夏の出社予定、全体の74.6%が「出社」!夏の理想のはたらき方は「出社派」が48.0% 「テレワーク派」が52.0%
回答者全体の544人に今夏の出社予定を聞くと、「出社派」が74.6%で過半数を占め、内訳は「出社のみ」が37.9%、「出社多め」が22.2%、「どちらかといえば出社多め」が14.5%という結果に。
今夏出社予定の406人に今夏の出社は会社からの要請かを聞くと、「要請あり派」が77.6%で、「要請なし派」が22.4%であった。

回答者全体の544人に夏の理想のはたらき方を聞くと、「出社したい派」が48.0%で、内訳は「断然出社したい」が14.2%、「出社したい」が13.6%、「どちらかといえば出社したい」が20.2%という結果に。
出社を希望すると回答した261人にその理由を聞くと、「涼しい環境が整っている」が39.5%で最多となり、次いで「チームメンバーが出社する」が31.0%、「在宅だと集中しにくい」が26.8%となった。

テレワークを希望すると回答した283人にその理由を聞くと、「外が暑いから」が67.8%で最多となり、次いで「通勤による疲労軽減」が60.4%、「移動による汗対策が面倒」が55.5%。
回答者全体の544人に職場の熱中症対策状況への印象を聞くと、「不十分だと思う派」が67.5%で多数派となり、内訳は「十分ではないが対策はしている」が45.4%、「対策はしているが不十分」22.1%で、「十分な対策であると思う派」は32.5%であった。

夏の暑さは仕事のやる気に「影響」!全体の74.6%が職場の熱中症対策が「されている」、一方で67.5%が対策に「不十分さ」を実感
回答者全体の544人に職場の暑さ/熱中症対策を聞くと、「されている派」が74.6%で多数派となり、「されていない派」は25.4%という結果に。
職場で熱中症対策ありと回答した406人に具体的な対策を聞くと、「適切な空調管理がされている」が51.2%で最多となり、次いで「クールビズの推奨」が44.6%、「飲料や塩分補給用の備え」が36.9%となった。

回答者全体の544人に夏バテの予防再策の有無を聞くと、「している派」が69.5%と過半数を占め、内訳は「とてもしている」が16.9%、「している」が22.8%、「どちらかといえばしている」が29.8%。
予防ありと回答した378人に夏バテの具体的な予防策を聞くと、「こまめに水分を補給する」が46.6%で最多となり、「睡眠をしっかりとる」が45.2%、「生活リズムを整える」が34.1%で続く。

回答者全体の544人に夏の暑さは仕事のやる気に影響するかを聞くと、「影響する派」が85.7%で大多数を占め、内訳は「とても影響する」が32.0%、「影響する」が28.7%、「どちらかといえば影響する」が25.0%となった。
また、夏は仕事のやる気が下がるかを聞くと、「下がる派」が83.4%で大多数を占め、内訳は「とても下がる」が23.7%、「下がる」が23.5%、「どちらかといえば下がる」が36.2%という結果に。

回答者自由記述コメント
今夏「出社を希望する」コメントが多く集まった。
・夏になると自宅にいても暑いから毎日出社。会社は寒いくらいなので、家にいるよりマシ
・クールビズも認められているし、休める空間もあるのでオフィスに行く。いい気分転換にもなる
・ほぼテレワークなので毎年夏の電気代が心配。今年は出社で電気代を浮かせようかと考えている
・会社からの光熱費負担があればテレワークにするが、ないのでオフィスの冷房を頼りに出社する
・暑さ凌ぎのために、水や冷房が使いたい放題の出社を選ぶ。通勤だけ我慢すれば快適が待っている
まとめ
今回実施した「2025年 夏のはたらき方実態調査」では、今夏は7割が出社、うち6割がその出社は会社からの要請であり、個人の希望よりも企業方針に沿ったはたらき方となっている実態が浮き彫りに。
2023年のJob総研調査での理想のはたらき方は「テレワーク」が過半数を占めた(※1)が、今回の調査では「出社希望」と「テレワーク希望」が拮抗する結果となった。
特に、出社を希望する理由では「涼しい環境が整っている」が最多となり、職場を「快適な温度環境=避暑地」として積極的に活用する姿勢が一定数見られた。
これまでテレワークの自由度や効率性が重視されてきた一方で、今夏はむしろ“職場に行くことで生活コストを下げ、快適な環境を得る”という新たな価値判断が広がっているようだ。
また、「テレワークは光熱費がかかる」など、物価高に対する意識の高まりが行動に影響している結果から、企業が提供するオフィス環境が、単なる「はたらく場所」から「コストを抑える生活拠点」へと変化を見せているとも言える。
そんな中、7割の職場では「クールビズの推奨」など熱中症対策がされているものの、これらの状況には「不十分さ」を感じており、環境面の整備だけでなく、企業側にはもう一段進んだ対策が期待されていることも伺えた。
こうした職場の状況に対し、個人レベルでの対策も進んでおり、7割が夏バテの予防対策を始めていることも判明。「水分補給」や「睡眠・生活リズムの調整」など生活の基本の見直しに加え、「日中の外出を控える」など意識的な対策も挙げられていた。
そして、8割が夏の暑さで仕事のやる気が下がる結果となり、気候がはたらく意欲や生産性に与える影響は依然として大きいことが伺える。
企業にとっては、職場環境面での熱中症対策だけでなく、社員の意見を踏まえた“実効性ある対策”がますます求められるだろう。
また、個人側でも健康維持と生産性向上に対する意識の変化は進んでおり、企業と個人の“両輪”で夏を乗り越える姿勢が問われる調査結果となった。
調査概要
調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件:全国/男女/20~50代
調査期間:2025年6月4日~6月11日
有効回答数:544人
調査方法:インターネット調査
(※1) 2023年 夏のはたらき方実態調査 (2023年 8月14日公開)
構成/Ara