回帰分析の活用事例
回帰分析は、予測や傾向の把握を目的に多くの分野で活用されている。ここでは、実際のサンプルデータを使って、ビジネスでの活用例を具体的に紹介する。
■広告費と売上
このデータをもとにエクセルで散布図を作成し、「近似曲線」を追加すると、回帰直線と回帰式が表示される。
ある企業が「月ごとの広告費」と「売上金額」の関係を調べたいと考えたとする。以下のようなデータをエクセルに入力した上で、回帰分析を行う。

近似式が次のように表示されている
y = 15.429x + 64.333
この式の意味は以下の通りである。
x(広告費)が1万円増えるごとに、売上yが15.429万円増える傾向がある
広告費が0円のときでも、基礎的に売上は64.333万円あると予測される
まとめ
回帰分析は、日常やビジネス、学術の現場で広く使われている基本的な統計手法である。エクセルを使えば、関数や分析ツールを活用して誰でも簡単に回帰分析を行うことができる。重要なのは、結果を「どう読み取り、どう活かすか」である。本記事で紹介した内容をもとに、まずは身近なデータで回帰分析を試してみるとよいだろう。
本記事の内容を以下で簡単におさらいしておこう。
- 回帰分析とは
- 変数同士の関係性を数式で表す分析手法。因果関係を見つけるのではなく、傾向を把握することが目的。
- 単回帰と重回帰:
- 単回帰:1つの説明変数と目的変数の関係(例:気温とアイスの売上)
- 重回帰:複数の説明変数を使って目的変数を予測(例:気温、湿度、日照時間と売上)
- 回帰直線の式:y = ax + b
- a=傾き、b=切片、x=説明変数、y=予測される結果
- Excelでの実行手順:
- データ入力(例:A列=気温、B列=売上)
- 散布図作成(挿入 → 散布図)
- グラフに「近似曲線」追加 → 数式表示をチェック
- [ファイル] → [オプション] → [アドイン] → [分析ツール]を有効化
- [データ] → [データ分析] → [回帰分析]を選び、X/Y範囲を設定して実行
- 関数での分析:
- =SLOPE(売上, 気温) や =INTERCEPT(売上, 気温)
- 読み解きの注意点:
- 決定係数(R²)が1に近いほど予測精度が高い
- 相関と因果は別問題、外れ値には注意
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構成/編集部