変動係数を使うときの注意点
変動係数は便利な指標である一方、誤った使い方には注意が必要である。
■平均が0に近い場合は使用しないようにする
平均が0に近いデータの変動係数は、分母が0に近くなるため、変動係数も意味がなくなる。
たとえば、ある製品の欠陥率(平均0.02%)のような極端に小さいデータに変動係数を使うと、過剰にばらつきがあるように見えてしまうことがある。
外れ値の影響に注意する
変動係数の計算には平均と標準偏差が含まれており、 極端なデータに影響を受けやすい。たとえば、4つのデータが100前後で安定していても、1つだけ1000という極端な値が混ざっていると、標準偏差が不自然に大きくなり、変動係数も過大評価されてしまう。
まとめ
変動係数は、データのばらつきを平均値と比較することで、その安定性や信頼性を測るための指標である。エクセルを使えば、関数1つで簡単に求められるため、統計を学び始めたばかりの人でも十分に扱える。ビジネスから研究分野まで幅広く応用できるため、基本的な使い方をぜひマスターしておきたい。
本記事の内容を以下で簡単におさらいしておこう。
- 変動係数(CV)とは
- データのばらつきを相対的に示す指標で、標準偏差 ÷ 平均で計算する。
- Excelでの計算方法
- =AVERAGE(範囲):平均値を計算
- =STDEV.P(範囲) または =STDEV.S(範囲):標準偏差を計算
- =STDEV.P(範囲)/AVERAGE(範囲):変動係数を算出
- 読み取りの目安
- CV≦0.1:安定している
- 0.1<CV≦0.3:中程度のばらつき
- CV>0.3:不安定
- 使用例
- 売上分析:売上規模の違う店舗の安定性比較に有効
- 実験の再現性評価:ばらつきが小さければ信頼性が高い
- 注意点
- 平均が0に近い場合、CVは適切に機能しない
- 外れ値の影響を強く受けるため、データの事前確認が重要
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構成/編集部