
【『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』出版記念インタビュー企画】Vol.3・日本にあってオーストラリアにはないセーラー服
3月21日に小社より発行した『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』では、女子学生の装いを中心に、1910年代から始まった洋装化の動きから、現在におけるジェンダーレス化の流れまでを紹介している。日本と同様に中学校や高等学校で制服を着ることが多いというオーストラリアには、どんな制服の文化があるのだろうか。前回に続き、2歳から18歳までオーストラリア・シドニーで過ごした声優・内田秀さんに、中学校や高等学校で着用した制服の思い出や、日本の制服に対して感じている魅力についても伺った。
声優・内田秀さん
18歳で来日して声優養成所を卒業後、2016年に育成シミュレーションゲーム『艦隊これくしょん-艦これ-』(ウォ―スパイト役ほか)、2017年にアニメ『アリスと蔵六』(クレオ役ほか)の出演を経て、2020年からは『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のゲームやアニメにてミア・テイラー役を演じている。そのほかの出演作は、アニメ『HIGHSPEED Étoile』(九頭竜明莉役ほか)、アニメ『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』(ジル・サーヴェル役)、アプリ『ヘブンバーンズレッド』 (七瀬七海役)、アプリ『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(時女静香役)など。
オーストラリアは高学年になると大人っぽく変化!
最高学年だけが作れる自分だけのラガーシャツも?
――内田さんが通われていた中学校や高等学校では、どんな制服を着ていましたか?
内田 小学校から制服があるところに通っていて、中学と高校ではそれぞれ夏服と冬服がありました。ネイビー系の色を採用することの多い〝オーストラリアらしい制服〟でしたね。〝11学年〟(日本では高校2年)からのシニアの学年になると制服が変わり、プリーツのない大人っぽいスカートをはいた時には「私、上級生になったんだ」と実感して、背筋がピシッとする感じがしました。
――スカート以外では、制服にどんな変化がありましたか?
内田 一番上の〝12学年〟(日本では高校3年)になると、自分用のラガーシャツを作ることができました。同じ学年の生徒全員が投票して、5つくらいある中からひとつに選んだデザインに、自分の名前と学校名が入るんですけど、それを着た時にも年上の学年になったことを感じました。
――それは、いい記念や思い出になりますね。今、話をしていただいたオーストラリアの制服に対し、アニメや漫画などを通じて知った日本の制服について、どんな印象を持っていましたか?
内田 オーストラリアの制服は、日本のブレザーの制服に近いデザインなんですけど、個人的な意見としては、日本の制服のほうがオシャレだなって。同じブレザーでも、基本的にネクタイを着用するオーストラリアの制服とは違って、日本の制服はかわいいリボンを付ける学校もありますし。オーストラリアでは着ることのない、セーラー服や学ランもすごく「いいなぁ~」と思っていました。
――18歳に日本へ来てから、制服姿の生徒を間近で見かけるようになったと思います。内田さんは声優のお仕事として制服を着られる機会もありますが、そういうことを通じて、改めて感じられている日本の制服の魅力について教えてください。
内田 そうですね~。日本の街中で制服姿を見かけると「ピシッとしているなぁ~」と感じて、やっぱりオシャレに見えます。オーストラリアの制服との違いは何なのか。色味なのか、生地なのか、わからないんですけどね。
――制服の着こなし方が違うとか?
内田 それはあるかもしれません。私の通っていたオーストラリアの学校にも着こなしのルールは一応あったんですけど、絶対に守らないといけないほど厳しい規則ではなく、先生も生徒も気にしていません。先生から指摘されるとしても「スカートが短いよ」と軽く声をかけられるくらい。ネクタイゆるゆるでも何も言われませんでした。そんなオーストラリアに比べて、日本の学生さんは「キッチリと制服を着こなしている」と思うことが多いです。
――同じ学校の生徒がみんなキッチリと制服を着ていると、なおのこと、そう思いますよね。
内田 確かに。オーストラリアの学校では、ブラウスとスカートは学校指定のものを着用するんですけど、靴はみんなバラバラ。カバンもまちまちで、リュックもいれば、ハンドバッグもいる。学校指定のベレー帽があっても、身につけるのが面倒で、みんな揃ってキッチリとかぶることなんてありませんでしたから。
中学・高校だからこそ着られる
日本のかわいらしい制服への憧れ
――ちなみにオーストラリアにある学校の制服写真をいくつか見てみると、サイズの大きい上着姿の生徒が多い気もしますね。
内田 日本の学校みたいにひとりひとりがキッチリと採寸して、制服を仕立てていないからかもしれません。私の学校では制服を注文する際に、S・M・Lの中から選ぶだけでしたし。しかも私の場合は知り合いからいただいた制服をそのまま着ることも多くて。そういう点でも、日本の制服姿がピシッとして見えるということなんでしょうね。
――そんな日本の制服について紹介している『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』について、ご覧になった感想があれば教えてください。
内田 「本当にいろんなデザインの制服があるんだなぁ」というのが第一印象です。スカートの丈も様々だし、同じタイプの制服でも学校によってシルエットや色味が少し違っていて、それぞれがちゃんとかわいく見えるようにデザインされている。中高生の時に「こういうのを着てみたかったなぁ」というものばかりで、自分が生徒だったらキッチリと着たくなる制服がすごく多いなって思いました!
――本で紹介しているうち、着てみたい制服はありますか?
内田 やっぱり、セーラー服! オーストラリアの学校では着ることがないので。それと、かわいいリボンを付けるブレザーの制服も着てみたいです!
私の通っていた学校はシニアの学年になると制服が大人っぽくなるという話をしましたが、本音をいえば、卒業してからでも着られるような大人っぽい服は、高校生の制服として着なくてもいいじゃん!って思うんですよ。同級生の中には、早く大人になりたくて、オフィスレディー風の制服を着られることを嬉しそうにしていました。でも私からしたら、中高生の時しか着られないかわいさのある、日本の制服みたいな装いがしたかったなぁって。この本を見ていたら、そういう気持ちを思い出しましたね。
――オーストラリアは大人っぽく、日本はかわいらしく。制服のデザインについて方向の違いがよくわかりました。『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』の感想も含めて、ありがとうございました! 内田さんが日本語を猛勉強された、オーストラリアの選択科目制の授業については、Vol.1にて紹介しています。未読の方はぜひそちらもお読みください。
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大切なパートナー「パピコ」と「むに」との旅行などをVlogで公開している、内田さんのYouTubeチャンネルはコチラ
撮影/関口佳代 スタイリング/もりやゆり ヘアメイク/更井朝海
取材・文・編集/田尻健二郎
『イラストでたどる女子高生制服100年図鑑』好評発売中!
大正時代から令和時代まで、100年あまりに及ぶ学生服の変遷をたどる書籍「女子高生制服100年図鑑」が発売中。全国42校を例に挙げながら、イラストおよび写真で紹介している。制服のイラストは、書籍・広告のほか『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』といったアニメのEDイラストなども手がけてきたイラストレーターめばちさんが、計129点を本書のために描き下ろし。めばちさん特有のふんわりとしたやさしいタッチの絵で、制服の歴史をたどる構成も話題。
学校および制服の選定には、170年の歴史を誇る老舗学生服メーカー菅公学生服に協力を仰ぎ、制服研究の第一人者として知られている森伸之氏による監修のもと、新旧105着の制服を紹介している。
■関連情報
https://www.shogakukan.co.jp/books/09311585
■公式Instagram
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