「ムーンショット」とは、もともと「月探査ロケットの打ち上げ」を表す言葉でした。現在では、政府が推進する「困難で壮大な研究プログラム」のことをムーンショット計画と呼んでいます。とはいえ、背景や内容を知らないままではなぜ取り組むのかと疑問に思うこともあるでしょう。 この記事では、言葉の意味や計画の背景、研究開発事業として掲げる10の目標を簡単に解説します。
目次
「ムーンショット」は、使用される文脈によって意味が異なります。日本のビジネスシーンで用いられる場合には、内閣府が進める「技術開発の発展・向上を推進する計画」を指す場合が多いです。
それでは、ムーンショット計画とは何か、また政府がその計画を推進する理由・背景を確認していきましょう。
ムーンショット計画とは?基礎知識をわかりやすく解説
■ムーンショット計画とは「困難で壮大な研究プログラム」のこと
そもそも「ムーンショット(Moon Shot)」とは、月面着陸のような革新的な挑戦を指す比喩表現です。ビジネスシーンで「ムーンショット計画」と表現する場合は、「(月面着陸プロジェクトのような)困難で壮大な研究プログラム」や「日本政府が推進する計画」を意味します。
なお、日本政府が推進する計画の正式名称は「ムーンショット型研究開発制度」です。
■政府がムーンショット計画を推進する理由・背景
政府が推進する理由は、日本におけるさまざまな社会課題を解決するためです。
たとえば、日本には「少子高齢化社会」「化石燃料依存の問題」「大規模な自然災害」「地球温暖化」などの課題があります。また、「海外と比べて技術革新が後手に回ってしまうこと」も課題です。
これらの課題や価値観・生活様式の変化などに対応し、豊かに暮らせる社会を目指して、ムーンショット計画を推進しています。
ムーンショット型研究開発事業

ムーンショット型研究開発事業には10の目標が掲げられています。これらの目標は、ムーンショット計画の進行にともない、随時追加されてきました。
それでは、実際にムーンショット型研究開発事業がどのような目標に向かって推進されているのかを確認しましょう。
■目標1
1つ目の目標は、「身体や脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現すること」です。少子高齢化の進展による生産年齢人口の減少という課題の解決や、さまざまな年齢・背景・価値観の人々が多様なライフスタイルを追求できる社会の実現などを目指しています。
■目標2
2つ目の目標は、「超早期に疾患の予測・予防が可能な社会の実現」です。高齢化もあり、慢性疾患などは大きな社会的問題です。慢性疾患の予防や医療技術の発展などを目標として、研究開発が進められています。
■目標3
3つ目は、「自ら学び、人と共生するロボットの実現」です。人間の生活に寄り添い成長したり未知の環境でも自律的に活動したりできるAI・ロボットなどの開発が進められています。
■目標4
4つ目の目標は、「持続可能な資源循環の実現」です。地球環境の再生と人間の生産・消費活動維持の両立に向けて、地球温暖化問題と環境汚染問題の解決を目指しています。
■目標5
5つ目は、「持続可能な食料供給システムの創出」です。まだ利用されていない微生物や昆虫などの活用によって、ムダのない完全資源循環型の食料生産システムや合理的消費モデルの構築に取り組みます。
■目標6
6つ目は、「誤り耐性を備えた汎用量子コンピュータの実現」です。さまざまな用途に応用しても精度を保証でき、かつ大規模に集積可能な量子コンピュータの開発により、経済・産業・安全保障分野の革新を図ります。
■目標7
7つ目の目標は、「主要な疾患を予防・克服し、健康への不安がない状態で100歳まで人生を楽しめるサステイナブルな医療・介護システムの実現」です。自発的に健康な生活に向けた取り組みができて疾患の予防も可能な社会や、少ない担い手でも適切で質の高い医療が提供できる社会の実現などを目指しています。
■目標8
8つ目の目標は、「極端な風水害の脅威から解放された社会の実現」です。気象制御などの技術開発で激甚化しつつある風水害による被害を大幅に軽減させ、人々が安心して暮らせるように取り組んでいます。
■目標9
9つ目は、「精神的に豊かで活力ある社会の実現」です。共感性や創造性を高める技術の開発やそれに関連する支援サービスの普及を推進します。
■目標10
10つ目は、「資源制約から解放された持続可能な社会の構築」です。フュージョンエネルギーなどの革新技術により、資源・エネルギー・環境の各問題に取り組み、脱炭素社会の実現を目指します。フュージョンエネルギーとは、軽い原子核同士の融合によるエネルギーのことです。
ムーンショットの意味や事業内容などを理解しよう

「ムーンショット計画」という名前のとおり、日本では実現が困難な目標に向かってさまざまな取り組みがなされています。ビジネスの場面でも用いられる言葉のため、意味や事業内容などを正確に理解しておきましょう。
構成/chihaya







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