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70年ぶりの法改正でどう変わる?注目を集めるCBD市場の可能性と課題

2025.06.23

日本人と大麻の歴史

――私自身は大麻というと麻薬のイメージが強いのですが、歴史的みても日本人は大麻に関して世界で最も進んでいた国民だと聞きました。今回の法律改定で、大麻に対する認識が大きく変わるきっかけかもしれませんね。

根木さん 現在世界の中でも最も古い麻が発見されているのが日本であることが報告されています。実際に推定1万年以上も前の麻縄が発見されており、福井県立若狭歴史博物館で拝見することが可能です。農業分野でも稲作同様に麻作もずっと昔の日本の一般農村風景に描かれています。口に入れるものでも古くから漢方の教科書や様々な歴史書、新聞広告などにも広く記載された報告があり、随分歴史が古いことが示されています。七味唐辛子の中には大麻草の種が昔から今も入っていることをご存じでしょうか?

また、日本が麻をたくさん取り入れた生活をしてきたことが現代も継承されてきました。神事ではあらゆる点において何かと麻が使用されていることは皆さんもご存じでしょう。日常生活でも衣類だけにとどまらず、国技である相撲、寝装類、履物、畳、花火、お盆でも牛馬などでも使用されています。

これほどまでに昔から今現在も麻を身の回りに活用している国は稀有でしょう。もっと言うと、日本ほど、麻や大麻という文字が付く人の名前や地名などに使われていたり、麻の神様まで存在する国は世界中を探しても無いかもしれません。

日本には、麻をモチーフにした模様まで存在するのはご存じでしょうか?丁寧に麻を栽培してきた日本らしい模様が麻の葉模様です。日本では麻が等間隔に植えてこられたことで、麻が成長した頃に上空から見下ろした際には麻の葉模様のように描かれています。

――この柄、祖母の家の座布団の柄でした!なつかしい!

根本さん 麻柄を使用した校章も日本中で今も使用されていますよね。昔から日本中で老若男女問わず歌われてきている1つに、皆さんがご存じの「お母さんの歌」がありますが、1番は「母さんが夜なべをして手袋編んでくれた」ですが、2番は「母さんが夜なべをして麻糸紡ぐ」というフレーズ始まっているのをご存じですか?これはつい最近まで一般家庭の状況がそのような状況にあったことを物語っていると言えます。

麻と日本人については、まだまだお話しが尽きませんが、これほどまでに麻が歴史だけではなく、歴史や文化、生活の中にどっぷりと浸かっている国を私は知りません。

最後にもう1つ、麻はなぜ日本では大麻と呼ばれているかご存じですか?日本の先人たちは麻との身近で密接な関わりから、親しみや尊敬の気持ちから偉大なるという意味で、麻の前に大きいという漢字を付けて大麻(たいま、おおあさ)と読んできたそうです。

ここまで私たちの歴史や文化、生活につながってきたことですので、私たちの遺伝子に深く刻み込まれていると言っても過言ではありません。本来は学校でも麻との関わりや歴史と文化についてもきちんと教えて頂きたいと願っています。……あ、ついつい熱くなって話し過ぎ、失礼しました。どんどん本題からずれていってしまいますので、このあたりでやめておきますね。(笑)

CBDは大麻の成分のカンナビノイド成分の一つ

――古くから使われていた麻ですが、根木さんが勤める臨床CBDオイル研究会のCBDについて教えてください。大麻のどういった成分で、どんな効果がありますか?

根木さん まず大麻草は世界で最も古くから存在している植物の1つです。世界中で長く使用されてきた植物でもあります。天然の大麻草から抽出されるカンナビノイド成分の1つがCBD(カンナビジオール)です。大麻草には100種類以上ものカンナビノイドが存在していると報告されていますが、その中でも良く知られる成分が精神活性を持たないCBDと、精神活性成分のTHCです。

多くの研究から、CBDには様々は働きがあり、簡単に言うと体に備わっている受容体が反応し、機能を調整してくれるような働きがあると言えます。

CBDの体内での働きとして、水道水に例えるとすれば、必要な時だけ水道蛇口から水が出て、必要が無くなれば止まるといったイメージでしょうか。特に現代の生活に関わりが多い症状や疾患についての効果が数多く報告されています。中でも、てんかん、不眠、不安症などの精神的な症状、痛みなどとの相性は良さそうで、多くの報告がなされています。

ただし、冒頭でも申し上げた通り、日本では非常に厳しいTHC値が定められてきましたので、THCを除いた論文や症例などが世界ではほとんど存在していません。そのため、日本でCBDを活用するためには、自分たちでどのような働きがあるかを解明していく必要がありました。

そのために、多くの医師の協力のもとで2018年に臨床CBDオイル研究会が設立されました。設立当初は30数名の医師による参加でしたが、ものの数か月で非常に幅広い多くの症例が短期間で集まったために、代表医師の飯塚浩先生が本腰を入れて臨床CBDオイル研究会の活動に取り組まれる決意をされました。

現在は医師、歯科医、獣医師で国内の700以上の先生方に参加いただいています。最近は海外の医師からの入会希望も出てきている為、近く海外との連携が始まることになりそうです。

――日本では法律改定でCBDが安心して利用できるようになりそうですが、海外ではどのように利用されていますか?

根木さん 海外では一般的に日本ほどTHCの含有量については厳しくありません。そのことからも、先ほど申し上げたてんかんなどの症状や疾患に加え、もっと多くの研究が進んでいます。

当初はてんかんで注目が集まり、てんかん薬が開発されましたが、近年の傾向として、自閉症などのスペクトラム障害に対応するための薬の研究開発も進んできています。それ以外にも、腸や脳に関わる症状から癌にいたるまで様々な働きについて研究されています。またフェムケアや美容、アスリート、ペット、食品や飲料分野などでも活用が進んでいることからも、多様化が進んでいると言えます。

実際に当協会でも脳に関わるとされる自閉症スペクトラムや認知症などの症例が出てきていることには驚きと期待があります。そのように幅広い働きが確認されているからこそ、医療の現場から丁寧な活動が必要と考えます。

臨床CBDオイル研究会設立の背景と主な活動

――臨床CBDオイル研究会ではCBDオイルの市場についてどのように発展・推移していくと考えていますか?

根木さん 法改正がなされて間もない現時点では、日本のCBD市場は不透明感が漂っているといえます。というのも、世界より厳しいTHCの基準に加え、日本ではCBDと麻薬は同じように考えらえている節が強く、その考えを変えるのは相当な努力と忍耐が必要になります。

全国 3,393名を対象にCBDに関する⼤規模調査を実施。 その結果、CBD の認知率はわずか19.5%に

だからこそ、当会や他のCBDにまつわる協会が様々存在し、努力している訳ですが、関わる全ての企業や個人がまずは当然のことですが、きちんと法令を遵守していくことが最重要といえます。皆がそのように働きかけることで、確実に市場は広がりはじめますので、そのように業界関係者がまずは一丸となることが大切です。

CBDは本当に良い働きが期待できますので、一時の人気で終わってしまっては、多くの人にとってあまりにも残念としか言いようがありません。昔から使われてきた麻由来の天然成分だからこそ、丁寧に向き合うことができれば確実に良い流れになると確信しています。

経済規模についても、世界で様々な報告がなされていますが、上記のようになれば、元来まじめな国民ですから、日本も同様に大きく成長していくと考えています。

――今後、研究会ではCBDに対する消費者の認識や不安の実態を可視化し、消費者のCBDに対する認識ギャップを正したいと考えているそうですが、具体的な活動について教えてください。

根木さん きちんとした知識を持って皆さんに幅広く知って頂くには、丁寧な啓蒙活動が欠かせないと常々から考えています。社会や消費者の不安を払拭するためにも、私たちはまずは医師など現場で責任ある立場の人が正しい知識を持ち、その上で消費者に説明していくことは良い循環を生むと考えています。だからこそ臨床CBDオイル研究会のような会の活動も必要とされているのだと思います。

医療従事者では、学会などを通じて発表をおこない、学べる機会を増やす必要があります。それ以外にも各地域で地元の医療従事者だけではなく、真面目に学びたいと考えられておられる各団体や消費者の皆さんと共に学ぶ機会を設けています。そのような場にお越しいただくことができない方々のためにオンラインで基礎から学べるプログラムも用意しています。

医療従事者向けプログラムには臨床報告例などを含めることで現場での使用についても網羅されていますし、非医療従事者向けにも好きなタイミングで簡単に学んで頂けるオンラインブログラムをご用意しています。上記のような地道な努力を伴う活動を通じて、本来の大麻草が持つ働きを知って頂けるように尽力したいと考えています。

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