
今年度も数多くの若者が新入社員としてそれぞれの職場で新たなスタートを切った。タイパを重視し無駄を嫌い、ともすれば冷めた印象で語られることもある彼らだが、実際のところ、仕事に対してどの程度やる気があるのだろうか?
ALL DIFFERENTおよび「人と組織の未来創り」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所はこのほど、2025年入社の新入社員 3,933人を対象に「新入社員意識調査」を行い、その結果を発表した。
1.これからの仕事に対し「やる気度が高い」新人は88.1%、9年間で最高の割合に
2025年度新入社員に対し、これからの仕事に対して「やるぞ!」という気持ちはどの程度か、0%~100%で質問をした。
やる気度が0~30%と回答した層を「やる気度が低い」、40~60%と回答した層を「まあまあやる気度がある」、70~100%と回答した層を「やる気度が高い」と設定した。結果、「やる気度が高い」割合は88.1%となった(図1)。
この設問に対する回答について、2017年度から9年間の変化を見たところ、「やる気度が高い」新入社員の割合は、昨年度の82.7%から5.4ポイント増加し、過去最高の割合となった。加えて、「やる気度が低い」の割合は過去最低の1.1%となり、今年度の新入社員はやる気度が例年以上に高い結果が見られた(図2)。
2.自分が成長するために必要なもの、6割超が「仕事を通じた成功体験」と回答し過去最高の割合
自分が成長するために必要なものは何だと思うか質問した。
結果、「仕事を通じた成功体験」が66.7%で最も高い割合となった。以下、「仕事を通じた失敗体験」が59.4%、「上司や先輩からの事後のフィードバック」が55.7%と続いた(図3)。
この設問に対する回答について、2020年度から6年間の変化を見たところ、「仕事を通じた成功体験」と回答した新入社員の割合は、昨年度の67.4%より0.7ポイント低くなったものの、年々増加傾向にあることがわかった。一方、「振り返りの習慣」は減少傾向にあり、5年前の49.7%より10ポイント近く割合が低下していることが判明した(図4)。
3.スキルアップするために今後取り組んでみたいこと「仕事を通じたスキルアップ」が65.9%で1位
社会人としてスキルアップするために、今後取り組んでみたいことについて質問した。
結果、「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい」が65.9%と、突出していたことがわかった。次いで、「自分の人脈を通じてその人から学びたい」が29.7%、「ビジネス本を読んでみたい」が24.8%となった(図5)。
4.社会人1年目で身につけたいスキル「ビジネスマナー」がトップで7割超
社会人1年目で身につけたいスキルは何か質問した。結果、73.7%が「ビジネスマナー」と回答し、1位となった。以下「専門スキル(技術・営業・会計・人事等)」「論理的思考力」が、それぞれ34.0%、29.1%と続いた(図6)。
5.キャリアアップにつながる理想の上司、「間違いを指摘して正してくれる」が半数以上でトップ
自分のキャリアアップにつながる理想の上司はどんな上司か質問した。結果、「間違いを指摘して正してくれる」が56.3%で1位となった。以下、「具体的に手順を細かく教えてくれる」が43.0%、「仕事やキャリアの悩みを相談できる」が40.5%と続いた(図7)。
理想の上司を男女で比較すると、どちらも1位は「間違いを指摘して正してくれる」だが、男性のほうが8.7ポイント高いことがわかった。また、「責任と自由を持たせ、仕事を任せてくれる」と回答した男性の割合は女性より4.8ポイント高い37.1%となった。
女性の回答傾向を見ると、「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」と回答した割合が男性より10.8ポイント高い46.0%、「どんな時でもほめて伸ばしてくれる」が7.9ポイント高い22.8%となった(図8)。
まとめ
本調査では、2025年度の新入社員が考える自身の成長に関する結果をまとめた。今年度の新入社員は、「やる気度が高い」結果となった。
また、自身を成長させるために「成功体験」を求めており、年度によって割合は上下するものの、この傾向は年々増加していることも明らかになった。自身のスキルアップは「仕事を通じて図っていきたい」が1位となり、1年目で身につけたいスキルは「ビジネスマナー」でした。これにより、仕事の経験を通じ、自身を成長させていきたいという意向が推察できる。
自身のキャリアアップにつながる理想の上司は「間違いを指摘して正してくれる」がトップとなった。男女の回答割合の違いを見ると、男性は「間違いを指摘して正してくれる」の回答割合が女性より高く、女性は「自分のことをよく見てくれ、声をかけてくれる」の回答割合が男性より高くなり、男女いずれも自分の行動などをしっかりと観察し、声掛けやフィードバックをしてくれる上司を求めていることが読み取れた。
出典元:ラーニングイノベーション総合研究所「新入社員意識調査2025(3933人が考える成長に必要なもの編)」(ALL DIFFERENT株式会社)
構成/こじへい