
テレビ番組やさまざまなメディアで取り上げられる睡眠に関するトピックスは、現代人の多くが気になっている関心事でもある。最近では、睡眠に関するさまざまな商品やスマートデバイスなども登場して注目を集めている。
東京大学発のヘルスケアスタートアップのissin(イッシン)は、つけるだけで睡眠、ストレス、活動量を計測して専用アプリで詳細なデータを確認できる指輪型ウェアラブルデバイス『Smart Recovery Ring(スマートリカバリーリング)』のユーザー125名を対象に、睡眠の可視化とその影響に関する調査を実施して結果を発表した。
調査では、5割超が体感と実際の睡眠時間に差があり、3割は自分が体感しているよりも睡眠時間が短いことがわかったという。今回は、睡眠&超回復研究所の睡眠コーチである角谷リョウ所長のコメントと合わせて紹介していく。
半数以上が睡眠に関する体感と実際の睡眠データに差
『スマートリカバリーリング』で睡眠を可視化したユーザーの5割超になる54.0%が「体感と実際の睡眠データに差があった(短かった/長かった)」と回答。「思っていたよりも短かった」という回答も約3割で、「眠れているつもり」でも実際には十分な休息がとれていない“思い込み睡眠”が多くの人に見られたという。
角谷リョウ所長も「睡眠は「ぐっすり眠れた」といった主観的な実感も大切ですが、それだけでは不十分です。科学的なデータに基づいた客観的な評価を組み合わせることで、初めて本質的な改善につながります」とコメントしており、睡眠を可視化した実際のデータに基づいて睡眠習慣を見直すことも大切なことといえそうだ。
睡眠の可視化を行った約9割が「時計型デバイス」を使用!
これまでに睡眠の可視化を行った約9割が「時計型デバイス」を使っていると回答しており、主要な睡眠の可視化ツールとして認知されていることがわかった。一方で「着けて寝るのに抵抗があった(50代・男性)」や「心地悪く感じながら寝ていた(80代・女性)」といったデバイスの装着に関する煩わしさで挫折したと回答した人もいた。
角谷リョウ所長は「計測のためのデバイスがストレスの原因になってしまっては本末転倒です。継続的に使えるストレスの少ないデバイスを選ぶことが、睡眠改善の第一歩です」と時計型デバイスも自分に合ったものを探すことが大切だとコメントしている。
58.0%は「睡眠と体重管理の関係を知らなかった」と回答
じつは「睡眠管理」と「体重管理」は密接に関係していると言われており、質の良い睡眠が食欲のコントロールや代謝機能に影響してダイエットの成功を支えているという。今回の調査では過半数となる58.0%が「睡眠と体重管理の関係を知らなかった」と回答しており、一般的な認知はまだまだといえるだろう。
「健康管理」と「体重管理」の関係性を理解している層では、94.2%が睡眠改善につながる習慣を実践していると回答しており、理解の有無で行動に差が現れていた。
簡単に体重管理ができるデバイスである「スマートバスマット」との併用者は4割以上で、ふたつのデバイスを活用して効率よく健康管理を行っていることもわかった。角谷リョウ所長は、「私はもともとダイエット指導に携わってきましたが、運動や食事だけでは理想的な体づくりは完成しません。
質の良い睡眠がなければ筋肉はつきづらく、基礎代謝も十分に上がらないからです。トレーニングや食事管理の効果を最大限に引き出すためにも、まずは睡眠環境の見直しから始めることが重要です」とアドバイスしている。
多くの研究でも睡眠を記録するだけで、自然と睡眠への意識が高まって良い習慣につながることがわかっている。角谷リョウ所長も「自分の睡眠を見て確認する」という習慣が生活全体を整える“センターピン”となる行動になるという。
海外ではこうした行動を「キーストーンハビット(人生の鍵となる習慣)」と呼んでおり、実際のデータによる睡眠の可視化は、良い習慣を生むための方法としてもシンプルかつ効果的といえるだろう。
■角谷リョウ氏
プロフィール
睡眠&超回復研究所所長。日本睡眠学会、日本認知療法・認知行動療法学会会員。法人160社、16万人以上の睡眠改善実績のある日本一の睡眠コーチとして活躍。睡眠関係の著書6冊を出版し、プロスポーツチームや日本代表選手のサポート実績も多数。
■「睡眠の可視化とその影響に関する調査」概要
・実施期間:2025年5月11日~2025年5月17日
・調査対象:『スマートリカバリーリング』のユーザー125名
・対象属性:10代~70代の男女(平均年齢 46.2歳/男性78%・女性22%)
・調査形式:ウェブアンケート(選択式+自由記述)
https://issin.cc/blogs/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9
構成/KUMU