
「これから副業を始めたい」「今副業をしているが将来、独立を考えている」などの願望を持つ会社員は多いのではないだろうか。
いつしか会社の本業よりも副業のほうに魅力を感じていることもあるかもしれない。しかし、将来のビジネスの成功のためには、本業の会社にいるうちに、やっておくべきことがある。
今回は、投資家や映画プロデューサーなど多様なビジネス分野で活躍中の嶋村吉洋氏に、副業しながら独立を検討する会社員が会社でやるべきことについて話を聞いた。
副業しながら独立を検討する会社員が会社でやるべきこと3選
嶋村氏は10代で起業し、現在はプロデューサーや投資家として活躍している。仕事内容は、映画制作、株式投資、不動産投資、会社経営、コンサルタントなど多岐に渡る。
そんな嶋村氏による2024年4月に発売された著書「となりの億万長者が17時になったらやっていること 大富豪が教える『一生困らない』お金のしくみ」(PHP研究所)は、同氏の経験をもとに、一般的な会社員が社会資本、人的資本、金融資本の3つを同時に増やす「仲間づくり」を戦略的に実施する方法が書かれている。
ちなみに同著は、先日グロービズ経営大学院・flierが主催する「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」の「経済・マネー部門賞」を受賞した。ビジネスパーソン読者が最も有意義だと感じたものを選んで投票し、最も票を集めたものが表彰される賞だからこそ、有効な書であることがわかる。
【取材協力】
嶋村 吉洋氏
投資家、映画プロデューサー。兵庫県出身。10代で起業し、ソーシャルビジネスコミュニティ「ワクセル」を発足。現在は投資家として、サイバーエージェント、テレビ東京ホールディングス、オリコンなど数社の大株主となり、上場企業の株式25億円以上を保有。
https://shimamura-yoshihiro.jp/
今回、嶋村氏に、副業をしながら独立起業を考える会社員に向け、会社にいるときにやっておくべきことを指南してもらった。
1.コミュニティを作る
「副業が軌道に乗ったら、独立起業を考えている方も多いと思います。しかし、辞める前にやっておきたいことがあります。それは自分を応援してくれるコミュニティを作っておくことです。私が多様な分野で仕事ができているのも、コミュニティを作り、プロジェクトを協働して進めるやり方をとっているからです。これは、かつて知り合った山の手の億万長者の方々が同様の働き方をしているところから学びました。
幸せな億万長者になるには、つまりビジネスで成功するには、労働できる能力・スキルを持つ自分自身『人的資本』と、お金と生み出す資産である『金融資本』、そして互いに助け合い、刺激を与え合う人間関係のコミュニティ『社会資本』の3つが必要です。人が集まれば情報も集まりますし、面白いアイデアが生まれます。仲間がいれば、ビジネスは失敗しませんコミュニティを作ることは、成功するために欠かせないのです。
もしあなたがコミュニティを作るなら、会社にいるうちに作るのをおすすめします。よく会社を辞めて起業してから、新たに自分を応援してくれるコミュニティを作る人たちがいますが、順番を間違えると、資金、メンタル、人材、体力面などで非常に苦しくなってしまうからです」
2.他人のお金を最大限に使う
「会社員のうちに、他人のお金を最大限に使いましょう。まず会社員であれば、審査に通りやすいので、銀行からお金を借りやすくなります。賢い会社員の一部の方は、会社に勤めているうちに融資を最大限に受けて、不動産を購入しています。会社の信用と物件の担保力があれば、おそらく2億円くらいのお金を借りることができるでしょう。将来的な価値が認められやすく、担保力のある物件を購入しておくのです」
3.自分に限界を設けない
「私のコミュニティの一つに所属するある男性は、かつて会社員でしたが、私のコミュニティでの活動を始めた途端、作家や講演家、コンサルタント、飲食店のオーナーとさまざまな活動をするようになりました。彼はおそらく、『飲食店のオーナーになる』とまでは思い描いていなかったでしょう。環境が違えば、結果も違ってきます。会社のコミュニティと私たちのコミュニティとでは、当たり前と普通が違うのです。つまり、自分が属している環境・コミュニティ・土壌が変われば、当たり前や普通が変わり、自分の限界も変わる。このことを知っておき、自分に限界を設けないことが重要です。それは副業の仕事選びの段階でもあてはまると思います」
コミュニティ作りの第一歩は3人、価値観の合う人との出会いを待つことだが……
今後、副業を含めて、多様なビジネスで成功したい。そう考えるなら、会社にいるうちにコミュニティ作りに励んでおきたいものだ。ではそのコミュニティ作りは何から始めればいいか。嶋村氏は次のように話す。
「とにかく3人、価値観の合う人との出会いを待つことです。これまでたくさんのコミュニティを作ってきた私の感覚ですが、『一緒に、このコミュニティを世界一にしよう!』と本気で思う仲間が3人できれば、そこからどんどんコミュニティは発展していく可能性があります。しかしそのたった3人はなかなか集まりません。
そこで最初は質より量を求めましょう。できるだけ多くの人に、自分のコミュニティの価値を伝え、価値観の合う人だけを残すのです。その結果、気づいたときに質が担保された3人が誕生します。私はネットが普及する前、コミュニティメンバー募集の手製チラシをいろんなところで配っていました。今の時代、工夫しながら募集すればたちまち人が集まってくるので、もっと容易になっています。コツコツと、自分の考えや価値観を理解してくれる人を増やしていくことが先決です」
副業をしながら、会社とは異なる、新しい世界に触れる機会も増えていくだろう。そんなとき、これらをヒントにしてみるのも良いのではないだろうか。
取材・文/石原亜香利