
ミドル・ハイクラス女性たちは仕事やキャリアに対し、どのような価値観を持っているのだろうか?
パソナキャリアはこのほど、25歳~59歳の年収が500万円以上の会社員・会社役員女性1,000名を対象に「ミドル・ハイクラス女性の仕事・キャリアに関する意識・実態調査2025」を実施した。また、25歳~59歳の年収が500万円以上の会社員・会社役員男性1,000名にも同様の調査を実施し、比較対象とした。
ここでは「ミドル・ハイクラス女性の仕事・キャリアに対する意識」に関する調査結果を抜粋し、紹介する。
職場での人間関係に対する満足度 「部下・後輩との関係」、「上司・先輩との関係」ともに5割前後
ミドル・ハイクラス女性(1,000名)に、現在の職場・仕事についてどのように感じているか聞いたところ、≪部下・後輩との関係≫では「非常に満足」が15.2%、「やや満足」が36.1%で、合計した『満足(計)』は51.3%となり、「非常に不満」が3.5%、「やや不満」が7.5%で、合計した『不満(計)』は11.0%、「どちらともいえない」は37.7%となった。
また、≪上司・先輩との関係≫では、『満足(計)』は48.3%、『不満(計)』は15.6%、「どちらともいえない」は36.1%となった。
≪仕事内容≫については、『満足(計)』が55.0%となり、満足と回答した人が半数を超えた。年収別にみると、ハイクラス女性では『満足(計)』が59.8%、『不満(計)』が12.8%となり、ミドルクラス女性では『満足(計)』が47.8%、『不満(計)』が15.5%となった。
「職場環境・風土」に対する満足度 ミドル・ハイクラス女性の5割
≪職場環境・風土≫については、『満足(計)』が49.3%、『不満(計)』が17.9%となった。
年収別にみると、ハイクラス女性では『満足(計)』が52.3%、『不満(計)』が18.0%となり、半数以上が満足と回答した。また、ミドルクラス女性では『満足(計)』が44.8%、『不満(計)』が17.8%となった。
自身の職場の“環境・風土”としてあてはまるものを聞いたところ、「休暇が取得しやすい」(38.3%)が最も高くなり、「就業規則が明確になっている」(26.9%)、「福利厚生が充実している」(26.0%)、「コミュニケーションが取りやすい」(25.7%)、「性別による差がない(仕事・待遇など)」(25.6%)が続いた。
職場の環境・風土に対する満足度別にみると、職場の環境・風土に対して満足と感じている満足層では「休暇が取得しやすい」(46.9%)が特に高くなり、「コミュニケーションが取りやすい」(38.9%)、「柔軟な働き方ができる」(36.5%)と続いた。職場の環境・風土に対する満足感はワークライフバランスが実現できる環境で高くなるようだ。
職場の環境・風土に対して不満と感じている不満層では「コミュニケーションが取りやすい」(9.5%)、「性別による差がない(仕事・待遇など)」(14.5%)、「柔軟な働き方ができる」(10.1%)、「意見を言いやすい」(5.0%)が満足と感じている人(順に38.9%、35.9%、36.5%、32.3%)と比べて20ポイント以上低くなった。職場の環境・風土に対して不満を感じている人では、職場に対して風通しの良さを感じている人が少ないようだ。
「人事制度」に対する満足度 ミドルクラス女性では3割
次に、≪人事制度≫に対する意識を聞いたところ、『満足(計)』が37.3%、『不満(計)』が23.2%となった。年収別にみると、『満足(計)』の割合はミドルクラス女性では29.5%と、3割未満にとどまった一方、ハイクラス女性では42.5%となった。
職場の“人事制度”について満足しているものを聞いたところ、「労働時間・休暇」(34.7%)が最も高く、続けて、「働き方」(29.0%)、「福利厚生」(27.6%)、「報酬」(24.3%)、「教育・研修」(14.7%)となった。
職場の人事制度に対する満足度別にみると、満足層では「労働時間・休暇」(40.8%)、「働き方」(42.6%)、「福利厚生」(36.5%)、「報酬」(38.9%)に回答が集中した。ワークライフバランスの実現と十分な報酬の両立が、人事制度に対する満足感を高める要因となるのではないだろうか。また、「働き方」(満足層42.6%、不満層16.8%)、「報酬」(満足層38.9%、不満層12.9%)では満足層が不満層を25ポイント以上上回った。
「性差(男女格差)の状況」に対する満足度 ハイクラス女性では5割
≪性差(男女格差)の状況≫についての意識を聞いたところ、『満足(計)』が45.8%、『不満(計)』が17.0%となった。
男性(1,000名)と比較すると、『満足(計)』、『不満(計)』の割合ともに、男性(順に36.9%、10.8%)と比べて女性(順に45.8%、17.0%)のほうが高くなった。
年収別にみると、ハイクラス女性では『満足(計)』の割合は50.8%となり、半数が性差の状況に対して満足していることがわかった。
職場で“性別による差”を感じたことがあるものを聞いたところ、1位は「昇進のスピード」(27.2%)、2位は「昇給のスピード」(21.3%)だった。仕事に対する評価において、性別による差を感じている人は少なくないようだ。次いで、「仕事の内容」(17.7%)、「年収」(17.0%)、「意見の通りやすさ」(16.5%)となった。
男性(1,000名)と比較すると、“性別による差”を感じたことがある人の割合は、男性(55.2%)と比べて女性(68.8%)のほうが10ポイント以上高くなった。また、「昇進のスピード」(女性27.2%、男性18.1%)、「昇給のスピード」(女性21.3%、男性12.2%)では男性より女性のほうが5ポイント以上高くなった。
職場の性差の状況に対する満足度別にみると、満足層では「昇進のスピード」(18.1%)、「昇給のスピード」(14.4%)、「年収」(10.9%)が全体(順に27.2%、21.3%、17.0%)と比べて5ポイント以上低くなった。また、「特になし」(44.5%)の割合が最も高く、4割を上回った。一方で、不満層についてみると、「昇進のスピード」(50.0%)が半数となった。
役職別にみると、管理職では「昇進のスピード」(30.6%)、「昇給のスピード」(27.2%)、「意見の通りやすさ」(20.8%)、「裁量の大きさ」(16.8%)において、非管理職(順に25.6%、18.4%、14.4%、10.8%)と比べて5ポイント以上高くなった。また、“性別による差”を感じたことがある人の割合においても、管理職(74.3%)が非管理職(66.1%)より5ポイント以上高くなった。管理職になるまでの過程や、実際に勤めるなかで性別による壁を実感した管理職女性は多いようだ。
「年収」に対する満足度 ミドル・ハイクラス女性の5割
≪年収≫についての意識を聞いたところ、『満足(計)』が49.6%、『不満(計)』が20.0%となった。年収別にみると、『満足(計)』の割合はハイクラス女性(55.0%)がミドルクラス女性(41.5%)と比べて10ポイント以上高くなった。
目標にしている年収はいくらか聞いたところ、中央値は900万円となった。年収別にみると、目標にしている年収の中央値は、ハイクラス女性では1,000万円、ミドルクラス女性では700万円となった。
現在の仕事・キャリアに対する総合満足度 ミドル・ハイクラス女性の5割半
≪今の仕事・キャリアについての総合満足度≫を聞いたところ、『満足(計)』が55.4%、『不満(計)』が12.3%となり、半数以上が満足と感じていることがわかった。
年収別にみると、『満足(計)』の割合はハイクラス女性では59.0%、ミドルクラス女性では50.0%となり、ハイクラス女性でより高くなった。十分な報酬を与えられることが仕事・キャリアに対する総合満足度を高めているようだ。
仕事やキャリアに関する悩みを聞いたところ、「仕事に対するモチベーション」(19.9%)が最も高くなり、「キャリアプラン」「年収」(いずれも19.5%)、「ワークライフバランス」(18.4%)、「会社からの評価」(17.1%)が続いた。
今の仕事・キャリアについての総合満足度別にみると、不満層では「仕事に対するモチベーション」(32.5%)、「年収」(30.1%)が3割を上回った。報酬が不十分だという実感が、モチベーションの低下につながっていることが考えられる。
今後のキャリアに関する希望を聞いたところ、「年収を上げたい」(35.2%)が最も高くなった。次いで、「自由度の高い働き方をしたい」(21.9%)、「長く同じ職場で働きたい」(19.3%)、「自分の興味のある仕事をしたい」(19.2%)、「職種の専門性を高めたい」(17.3%)となった。
今の仕事・キャリアについての総合満足度別にみると、不満層では「年収を上げたい」(43.1%)、「より良い条件を求めて転職したい」「複業・副業したい」(いずれも30.1%)が満足層(順に32.3%、13.2%、15.7%)と比べて10ポイント以上高くなった。不満層には、その不満の解消を現在の仕事ではなく、別の仕事に求めている人が少なくないようだ。
<調査概要>
◆調査タイトル :ミドル・ハイクラス女性の仕事・キャリアに関する意識・実態調査2025
◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする、
年収が500万円以上の25~59歳の会社員・会社役員男女
◆調査期間 :2025年3月7日~3月10日
◆調査方法 :インターネット調査
◆調査地域 :全国
◆有効回答数 :2,000サンプル(有効回答からランダムに抽出)
◆調査協力会社 :ネットエイジア株式会社
出典元:パソナキャリア調べ
構成/こじへい