
本記事ではプレゼンスの意味・語源、ビジネスでの使われ方や重要性、プレゼンスがあることのメリットと欠如によるデメリットを解説し、併せてビジネスパーソン向けにプレゼンスを高める具体的な方法を紹介する。
目次
ビジネスシーンで「プレゼンス」という言葉を耳にすることがあるが、その意味を正しく理解し活用できている人は意外に少ない。本記事ではプレゼンスの意味・語源、ビジネスでの使われ方や重要性、プレゼンスがあることのメリットと欠如によるデメリットを解説し、併せてビジネスパーソン向けにプレゼンスを高める具体的な方法を紹介する。
プレゼンスとは
プレゼンスとはどのような概念かをまず整理しておきたい。
■プレゼンスの意味
「プレゼンス」とは英語 presence に由来するカタカナ語で、「存在感」を意味する。信頼・魅力・品格・影響力など肯定的要素を備えた「オーラ」や「カリスマ性」に近い概念とされる。日本では明確な上下関係のないような状況で「あの人はプレゼンスがある」などの用法で立場が強くないものの、一味違う人物で表す場合に使われる。
■プレゼンスの語源
プレゼンス (presence) の語源はラテン語の「praesentia」で、「前にいること」を意味する。この語が英語の presence(存在・出席)となり、日本語のビジネス用語「プレゼンス」は主に「存在感」の意で用いられる。
ビジネスにおけるプレゼンスとは
職場でのプレゼンスがどのような価値を生むかを見ていく。具体例を交えながら重要性を解説する。
■ビジネスにおけるプレゼンスの重要性
仕事では単なるスキルや知識だけでなく、周囲からどう見られているかが成功を左右する。プレゼンスが高い人は周囲から信頼され、発言に説得力が生まれ商談や会議で有利に働く。また、存在感のあるリーダーは部下に安心感と自信を与え、組織を牽引する原動力となる。プレゼンスはいわばビジネスにおける「見えない信頼力」であり、本人の能力を最大限に活かすために欠かせない要素である。
■プレゼンスがあるメリットとないデメリット
あるメリット: プレゼンスの高い人は周囲から一目置かれ、意見が受け入れられやすい。信頼も得やすく、重要な役割を任される機会も増える。
ないデメリット: 一方でプレゼンスが欠如していると、どんなに能力や知識があっても周囲に認識されず、意見を軽んじられてしまう恐れがある。信頼を得にくいためビジネスチャンスを逃し、重要な場面で発言力を発揮できなくなる。存在感の薄いリーダーは部下に不安を与え、判断を疑問視されがちだ。
■プレゼンスの使用例
「プレゼンス」は、人や企業の存在感や影響力を表すビジネス用語として使われる。例えば「国際社会でのアフリカのプレゼンスが高まる」といえば、アフリカ諸国の国際的な影響力が増していることを意味する。また、個人に対して「会議でプレゼンスを発揮した」と表現すれば、その人が会議の場で強い存在感を示したことを指す。
ビジネスシーンでプレゼンスを高める方法
プレゼンスは後天的に高められる。本章では実践的な三つの手法を紹介する。
■プレゼンスを高める方法1:自己理解と自信を培う
まず自分自身を深く知り、揺るぎない自信を養うことがプレゼンス向上の第一歩だ。自己分析で自分の強み・弱みや価値観を把握し、軸を確立する。軸が定まると言動に一貫性が生まれ、周囲に安心感を与える。また専門分野の知識やスキルを磨いて成果を出せば自信が深まり、発言に説得力が増す。周囲からの信頼も増し、プレゼンス向上に直結する。
■プレゼンスを高める方法2:コミュニケーション力を向上させる
プレゼンスは周囲とのコミュニケーションを通じて形成される。相手に自分の考えを的確に伝え、相手の意見を真摯に受け止める姿勢が重要だ。話す際は結論を先に述べ、簡潔で明瞭な表現を心掛ける。また声のトーンや表情、姿勢など非言語の面にも気を配り、自信を持って伝えるよう意識しよう。相手の話を最後まで傾聴し、相槌や質問で関心を示す態度が信頼関係の構築につながる。優れた対人コミュニケーション能力は相手の心に残る印象を大きく高め、プレゼンス向上につながる。
■プレゼンスを高める方法3:信頼関係を築きリーダーシップを発揮する
周囲から信頼される人は高いプレゼンスを持つ。日頃から誠実な言動を心掛け、挨拶や感謝を忘れず、困っている人を助けるなど良好な人間関係を築くことが大切だ。そうした行動の積み重ねが信頼獲得につながり、結果的に存在感も増していく。また、いざという場面で率先して行動し、困難な局面でも落ち着いて判断を下すリーダーシップを示せれば、人々は自然とその人物についてくる。信頼関係を土台にリーダーシップを発揮することでプレゼンスは一層際立つ。
まとめ
プレゼンスとは単なる「存在」を超え、周囲に影響を及ぼす力を伴う存在感である。高いプレゼンスを備えることで信頼を勝ち取り、チャンスを引き寄せ、自身の能力を最大限に発揮できる。プレゼンスは先天的な資質ではなく、意識して磨くことで誰もが高められる要素だ。自分を深く理解し、周囲との信頼関係を築きながら日々存在感を発揮していくことで、ビジネスの舞台で輝くプレゼンスを手にしてほしい。
文/諏訪 光(すわ ひかる)
大手ネット系企業にて10数年に渡りプログラマーからプロダクトマネージャーまでを幅広く経験。新規事業から企業再生に至るまで様々な案件の開発に携わる。DX推進者や起業経験を経て現在は大手信託銀行でDX推進を行いながら、フリーランスの新規事業、DX、デジタルマーケティングのコンサルティングも行う。