
ADKマーケティング・ソリューションズ(以下「ADK MS」)は、作品・キャラクター(IP=Intellectual Property<知的財産>)に関する生活者の意識と行動を把握することを目的にADKエモーションズと共同で、日本・北米・インドの3市場での定量調査を実施。結果を「Global IP Power Survey 2024 Report」(以下「GIPS 2024」)と題したリポートにまとめて発表した。
国によって異なるIPの受容性
■世界に広がるIP人気
日本をはじめ世界ではIP市場が急成長しており、世界のアニメ市場規模は2024年に300億米ドルに到達したほか、2037年末までに983億米ドルに達すると推定されている(※1)。
※1 出典:Research Nester Analytics「世界のアニメ市場調査、規模、傾向のハイライト (予測2025〜2037年)
どの国でも作品・キャラクターは多くの人々に愛されており、約8割強の人(日本:83.5%・北米79.0%・インド89.3%)が〝好きなIP〟を1つ以上挙げている。その中でも、日本のIPは各国で多くの人たちに愛されていることがわかる。
■その国の文化や価値観が映すIPのとらえ方と接点、課金スタイルの違い
IPに対する感情的なつながりでは、日本は「推し活」の影響もあり「応援」、北米では「愛」、インドでは「友達」と捉える人が多い傾向が見られた。
交流スタイルにも違いがあり、日本ではオフラインで交流を行う傾向が強い一方、北米・インドではオンラインでの積極的な発信が主流。こうした違いの背景には、各国に根づく価値観や文化的背景が影響していると考えられる。
<各国の大人(15〜59歳)におけるIPとのかかわり方比較>
〝好き〟のタイプと楽しみ方
■価値観をベースに関わり方のタイプを明らかにする
作品・キャラクターへの意識と性格価値観を、クラスター分析を用いて大人・子どもそれぞれ6つのタイプに分類した。本調査ではクラスターごとの価値観・傾向を分析した結果、世の中における作品・キャラクターの広がり方の構造を下記のようにとらえている。
個別IPの〝愛され方〟分析
■IPマーケティングやタイアップ施策の考案のため個別IPの現在地を分析
IP意識/行動比較でIPの出自ごとに異なる特徴が見られることは、IPマーケティングを行なう上で個別IPの現在地を分析することの重要性を示している。
IPビジネスにおけるファングロース戦略
IPの持続的な成長のためには、様々な観点での“好き”のかたちの違いを踏まえることで「好きな人」を増やすことはもちろん、その先の行動(課金・推奨)まで設計する必要がある。
<ファングロース戦略図>
IPビジネスにおけるファングロース戦略の策定には、 IPごとに大きな違いのある「ファン構造」を捉えることが必要不可欠だ。
<IPファン構造 4分類>
ADK MSは、市場における「浸透」とファンの「熱量」の2軸から、IPを以下の4型に分類した。ファン構造を4型に分類すると型ごとに状況を可視化できる。
〝好き〟の気持ちを高め 〝行動〟させ、ファンの熱量を起点に新たなファンを獲得・育成してビジネスをグロースさせていくことが、ADK MSの考える「IPビジネスにおけるファングロース戦略」だ。
調査概要
調査手法/インターネット調査
調査対象/3‐59歳男女 ※IP関連業種従事者、トラップ設問での矛盾回答者を除外して分析
調査エリア/日本、アメリカ、インド
分析サンプル数/日本・約1万8000ss アメリカ・約2000ss インド・約900ss
聴取IP/日本 49、北米・インド 60
調査実施/2024年12月7日~13日
関連情報
https://www.adkms.jp/
https://www.adkms.jp/news/20250527-2/
構成/清水眞希