
厚生労働省の令和6年版厚生労働白書によると、心身の健康に対する最大のリスクとして「ストレス」を挙げた人の割合は15.6%と、20年間で3倍に増えている。
そこでファンケルは、オーダーメイドサプリ「パーソナルワン」の販売を通じて蓄積した食習慣・生活習慣アンケートの回答と尿検査の結果から、初回購入時20歳から69歳の男女(33,246人)でストレスの有無※1と食品※2の摂取頻度、BMI、運動習慣、および睡眠時間との関係性を解析した。
※1 : オーダーメイドサプリ「パーソナルワン」初回購入時20歳から69歳の男女(33,246人)「イライラしている、怒りっぽい」と回答した人
※2 : 肉類・魚類・大豆食品・乳製品など18種
3万人分の健康ビッグデータを解析して分かったストレスと「食事・睡眠・運動」の関係性
20代から60代の男女で比較したところ、男女ともに30代において、「イライラしている、怒りっぽい」と回答した割合が最も高かった。特に30代女性においては50%と、約2人に1人が「イライラしている、怒りっぽい」状況であることが判明。
女性の鉄の充足度は、年代によって大きく異なり、特に30代前半(30~34歳)女性において、「イライラしている、怒りっぽい」と回答した人は、回答しなかった人と比較して、尿中のフェリチンから推定した体内の鉄量が有意に低かった。
20代から60代の男女ともに、「全粒穀物(玄米、発芽玄米、雑穀、全粒粉パンなど)」の摂取頻度が週1回以上の人は、週1回未満の人と比較して、「イライラしている、怒りっぽい」と回答する割合が有意に低い結果に。
20代から60代の男女ともに、「加糖飲料(ジュースや缶コーヒーなどの砂糖を含む飲料)」の摂取頻度が毎日1回以上の人は、毎日1回未満の人と比較して、「イライラしている、怒りっぽい」と回答する割合が高かった。
20代から60代の男女ともに、肥満(BMIが25.0以上)の人は、標準(BMIが18.5以上25.0未満)の人と比較して、「イライラしている、怒りっぽい」と回答する割合が有意に高いことも判明。
20代から60代の男女ともに、「週2回以上」の運動習慣(※1回30分以上の運動)のある人は、「ほとんどしていない」と回答した人と比較して、「イライラしている、怒りっぽい」と回答する割合が有意に低かった。
20代から60代の男女ともに、睡眠時間が「6時間以上」の人は、「6時間未満」の人と比較して、「イライラしている、怒りっぽい」と回答する割合が有意に低いことが分かった。
まとめ
以上の結果より、男女ともに30代において最もストレスがある(イライラしている、怒りっぽい)と実感している割合が高く、30代前半女性において、ストレスがあると回答した人は、回答しなかった人と比較して、体内の鉄の充足量が低いことが分かった。
また、肥満(BMIが25.0以上)の人は、標準(BMIが18.5以上25.0未満)の人と比較して、ストレスがあると実感している割合が高いことが明らかに。
さらに「全粒穀物」の摂取頻度が高い人、「加糖飲料」の摂取頻度が少ない人、1回30分以上の運動を「週2回以上」実施する習慣のある人、睡眠時間が「6時間以上」である人において、ストレス(イライラしている、怒りっぽい)の実感が少ない傾向にあることが判明した。
これらのことから、ストレスを軽減するためには、「食事」「睡眠」「運動」の3軸で対処していくことが重要であることが考えられる。
■食事摂取基準の策定に携わった柴田克己先生によるコメント
人はストレスを感じると、ストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールを産生しようとします。このホルモンの産生には鉄が不可欠であり、鉄が不足するとコルチゾールの産生に影響が出てストレスにうまく対応できなくなる可能性があります。
30代女性は仕事や家庭、月経や出産などにより、特に鉄が不足しがちです。パーソナルワンの蓄積データからも、30代前半(30~34歳)女性において、「イライラしている、怒りっぽい」と回答した人は、尿中のフェリチンから推定した体内の鉄の充足量が有意に低かったことが示されています。
鉄不足はストレスを感じやすくなる一因となるため、意識的な鉄分摂取が重要です。また、全粒穀物を「週1回以上」摂取している人において、ストレスがあると実感している割合が低かったということも興味深い結果です。
全粒穀物も鉄分をはじめとした微量栄養素や食物繊維を豊富に含む食材ですので、意識的に取り入れるのが良いでしょう。
ストレスに強い心身を作る上で、バランスの取れた食事、そして質の高い睡眠や適度な運動と休息は、不可欠です。日頃から意識することで、ストレスに負けない健康的な生活を送りましょう。
調査概要
解析データ:「パーソナルワン」尿検査・食習慣・生活習慣アンケートの回答
対象期間:2020年1月27日~2024年5月31日
対象者:「パーソナルワン」初回購入時20~69歳男女 計33,246人
構成/Ara