
警視庁とNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクおよび楽天モバイルの携帯電話会社4社(以下、携帯4社)は、社会の安全安心を守るために協力して、特殊詐欺(※)の根絶に共に取り組んでいく「ストップ!詐欺」共同宣言を2025年5月23日に発出した。
※ 犯人が電話やSMSなどで親族や公共機関の職員などを名乗り、被害者を信じ込ませて金品をだまし取ることや、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる犯罪(現金などを脅し取る恐喝や、隙を見てキャッシュカードなどをすり替えて盗み取る詐欺盗(窃盗)を含む。)のこと。
写真左から/ソフトバンク 執行役員 兼 CCO 法務・コーポレートガバナンス本部 本部長 佐藤 英幸氏、NTTドコモ 代表取締役副社長 小林 啓太氏、警視庁 副総監 鎌田 徹郎、KDDI シニアディレクター コーポレート統括本部総務本部長 中里 靖夫氏、楽天モバイル 取締役執行役員 COO 谷山 順道氏
共同宣言発出の背景
近年、巧妙な手口で金品をだまし取る特殊詐欺の被害が急増しており、警視庁の統計によれば、2024年における東京都内の特殊詐欺の認知件数は3494件(前年比+576件)、被害総額は約153億1000万円(前年比+71億7,000万円)に上り、過去最悪となった。
中でも、警察官を装ったオレオレ詐欺が特に問題となっており、2023年は3件だった被害が、2024年は806件(被害額約69億6000万円)と急増しており、2025年も4月までに706件(被害額約69億9000万円)発生している。
警察官を装ったオレオレ詐欺の特徴として、固定電話への着信だけでなく、携帯電話への着信が大変多く、発信先も国際電話番号や非通知設定などの番号不明が大半を占めている。
こうした中、警視庁と携帯4社は「ストップ!詐欺」共同宣言を発出するに至った。
その理由に関して携帯4社では、「急増する特殊詐欺の被害を根絶するためには、官民で連携して詐欺の手口や携帯電話における被害防止対策を多くの人に知っていただくことが重要であると考え、このたび、警視庁と携帯4社は『ストップ!詐欺』共同宣言を発出しました」とコメントしている。
現在、携帯4社が行っている取り組みは下記のとおり。
具体的な被害防止対策
■迷惑電話、迷惑メール/SMSによる詐欺被害防止対策
迷惑電話、迷惑メール/SMS、国際電話による詐欺からユーザーを守るため、例えば、フィッシング詐欺などに使われる迷惑メール/SMSを自動検知して、受信拒否をするサービスを無償で提供するなど、様々な対策が講じられている。
また、迷惑電話が疑われる発信者番号からの着信時には警告を表示する、着信拒否設定を提供するなど、詐欺被害を未然に防ぐことができるサービスも提供されている。
■スマートフォンの機能の設定で防げる詐欺電話対策
スマートフォンの機能を利用して、詐欺電話の被害から自分を守ることが可能だ。それが非通知や未登録の番号からの着信時に消音にする設定や、通話を自動録音する機能。これらの機能は店頭やホームページなどでわかりやすく説明されている。
■犯行ツール対策としての不正契約防止対策
契約者の注意喚起に加え、契約時に契約者本人であることの確認徹底や1名義当たりで契約できる回線数の上限設定など、様々な対策が講じられている。
また、不正契約の未然防止を目的とした契約申込時の加入審査および加入後の調査のため、警察機関や事業者間で特定の顧客情報が交換されている。
■携帯各社が取り組んでいる利用者への広報啓発活動
詐欺電話対策には顧客一人ひとりが詐欺電話の手口を知り、対策を講じることが肝要だ。特殊詐欺電話などの実際の事例を基に、注意喚起やそれらを防ぐ具体的な対策を、年代別のスマホ・ケータイ教室や、動画など様々な手法を活用して拡散している。
携帯4社では今回の発表に際して、「今後も関係省庁と連携し、複雑化する特殊詐欺の手口の把握に努めるとともに、詐欺被害防止対策の重要性と具体的な対策に関する広報・啓発活動を推進することで、特殊詐欺の根絶に取り組んでいきます」と述べている。
関連情報
https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2025/05/23_00.html
構成/清水眞希