「マウント消費」という言葉が存在感を強めている。人間のマウント欲求をビジネスに繋げる考え方とは?具体的な企業の事例、「マウントを取る」の言葉の意味と由来もまとめた。
目次
「マウント」という言葉を日常的に見聞きしている人は多いだろう。「あの人はすぐマウントを取る」「同僚にマウントを取られた」など、良い意味で使われるケースが少ない「マウント」だが、消費者がモノやサービスを購入する際のきっかけの一つになり得るという。
本記事では、マウント消費に注目したビジネス書『「マウント消費」の経済学』の内容も参考に、「マウント消費」の言葉の意味や「マウント消費」が持つ経済活性化のヒントを紹介する。
さらに、誰もが知っているせいでかえって定義しづらい「マウント」という言葉の意味や由来についても解説する。
「マウント消費」とは、消費者が承認欲求を満たすための購買行動
「マウント消費」とは、他者よりも優れた存在になりたいユーザーの承認欲求を満たすための消費行動を指す。
言葉の由来となったのは起業家の勝木健太氏が出版したビジネス書だ。
■ビジネス書『「マウント消費」の経済学』が広めた概念
勝木健太氏の『「マウント消費」の経済学』によれば、マウント消費とは人間が本能的に持つ「マウント」への欲求に着目し、ビジネスにつなげていく考え方とされている。
X(旧ツイッター)やFacebook、インスタグラムといったSNSの広まりと共に、自分の生活を他者と差別化したい消費者が増えており、モノやサービスを選択する際も「SNSで映えるか」が重要な選択基準の一つになっているという。
■「マウント消費」で他者よりも優位に見られたい人間の本能を満たす
「マウント消費」を意識することで、消費者が持つさまざまなマウントへの欲求を満たすことを、同書では「マウンティングエクスペリエンス(MX)」と定義している。
モノやサービスを提供する際に、消費者側にどのようなマウントへの欲求があり、自社製品でどのようにそれを満たすか、さらにSNSではどのように拡散されるかといった視点を持つことが、消費者から選択されやすい商品を作るヒントになるという。
マーケティングの世界では、2000年代以降に「モノ消費(家電や車、マイホームなどを所有することへの欲求)」から「コト消費(旅行、ライブ、推し活、実況などを体験・共有することへの欲求)」に消費者の行動が変化したとされるが、「マウント消費」は、そのさらに次の消費行動として人々のマウント欲求に注目した考え方と言えるだろう。
■「マウント消費」を重視する心理をビジネスに活用した企業の事例
消費者のマウント心理を意識して、製品・サービス開発に活用している企業の事例として、同書ではいくつかの海外・国内企業の事例を紹介している。代表的なものを見てみよう。
【海外事例(一部)】
・Apple(アップル)
・Instagram(インスタグラム)
・Tesla(テスラ)
・Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)
【国内事例(一部)】
・NewsPicks(ニュースピック)
・慶應三田会(けいおうみたかい)
・SAPIX(サピックス)
これらの企業は、いずれも製品やサービスを使用することでそのユーザーが持つさまざまなマウントへの欲求を満たすことが可能となる。
なお、マウントへの欲求とは、必ずしも「マウントを取りたい」というマウントに対して前向きなものばかりではなく、「マウントから自由になりたい」という消極的なものも含まれる。
たとえばApple製品の場合は、持っているだけで価値があるプロダクトデザインや機能性が消費者の支持を集める一方で、Apple Watchを使うことにより、ロレックスやブルガリといった高級時計のマウント競争からは自由になり、ブランドよりも機能面を重視する自分をアピールできる側面もあるという。
マウント消費の「マウント」とはどんな意味の言葉?

このように、マウント消費は、消費者のさまざまなマウントへの欲求とMXを満たすことで消費意欲を喚起するマーケティング寄りの考え方と言える。
しかし、「マウントを取る」とはそもそも何か、どうして他者に対して優位性を示すことを「マウント」と呼ぶのかわからない人もいるだろう。
■「マウント/マウンティング」「マウントを取る」の意味と由来
「マウント」は正式な表現を「マウンティング」と言い、人間関係において相手よりも優位であることを示そうとする言動や態度を指す。ニホンザルなどの霊長類が群れの中での序列をはっきりさせる目的で交尾の体勢(マウンティング)を取ることから転じて名付けられた。
自分の優位性を示すための自慢話や相手への否定などを指し、他者に対してマウンティングすることを「マウントを取る」という。
■「マウント/マウンティング」「マウントを取る」の使い方と例文
名詞として使う場合は「マウンティング」または略語の「マウント」を用いる。
行為を指す場合は、「マウンティングする」「マウントを取る」のどちらかが適切だろう。
【マウント/マウンティングを使った例文】
・サークル内でのマウンティングがひどいので顔を出したくない。
・彼女のインスタは金持ちマウントの投稿ばかりだ。
・バイト先の同期は、なにかにつけてマウントを取ろうとする。
■「マウントを取る」ことは良い?悪い?
マウント/マウンティングは、マウントを取る側と取られる側で人間関係がこじれる原因となりやすいため、一般的には問題のある態度とされている。
マウントを取る人は承認欲求が強く自分に自信がないと言われる一方で、発言のニュアンスがわかりにくいSNS上などでは、優位性を示す意図のない発言であっても「マウントを取られた」と解釈される場合がある。
マウントの解釈については、発信する側と受け手側の関係性に負うところが大きいと言えるだろう。
なお、マウント消費やMXの文脈においては、マウントを取りたい=優位性を保ちたいのは人間の本能であるため、良し悪しを論ずるのではなく、あるものとして捉え、マウント欲求との付き合い方が大切と解説されている。
■マウントを取られたらどうする?
マウントを取られた場合の対応は、具体的なマウンティングの内容や相手との関係性によって異なる。
親しい相手や上司といった関係を悪くしたくない相手の軽い自慢話であれば、否定的な内容でない限り、「そうなんですね」「なるほど」と相づちを打つのも一つの方法だろう。
一方、こちらの能力・知識・容姿・家柄・学歴・財力・趣味・性的指向などを否定するマウンティングに対しては、不快の意思を伝えたほうが良いケースが多い。誹謗中傷や名誉毀損、セクハラ、パワハラ、モラハラなどに該当するケースもあるため、他者からのマウンティングに対して強いストレスを感じている場合は、SNSのスクリーンショットを保存したり、会話を録音したりと、証拠を保存した上で弁護士などに相談してみよう。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部







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