
PDFの表をエクセルに変換する方法には、エクセル内蔵のPower Queryを使う方法、無料オンラインツール、有料ソフトウェアの3つがある。目的やPDFの形式、変換精度の必要性に応じて、最適な方法を選ぶことが重要だ。
目次
PDFに含まれる表をエクセルに変換したい場面は、ビジネスシーンではよくあることだ。請求書や統計資料、帳票などがPDF形式で共有されることは多いが、そのままでは編集できない。
本記事では、追加ソフトを使わないエクセル標準機能から、無料・有料の変換ツールまで、代表的な方法を詳しく解説する。
Microsoft エクセル内蔵の機能を使う方法
まず紹介するのは、エクセル単体でPDFを読み込み、表形式で変換する方法である。追加のソフトやWebサービスを使わず、安全に処理したい場合に有効である。
■Power Query機能を使った変換
エクセル 2016以降には「Power Query」というデータインポート機能が搭載されており、PDF内のテーブル構造を直接読み取ることが可能である。
手順:
1.エクセルを起動し、[データ]タブをクリック
2.[データの取得]→[ファイルから]→[PDFから]を選択
3.変換したいPDFファイルを選択して開き、インポートしたい表(Table)を選択
4.[読み込み]をクリックするとエクセルの表として表示される。
特徴:
- 追加ソフトやオンラインサービスが不要
- データの加工や変換が柔軟に行える
- 元のエクセルファイルと接続を維持できる(更新も可能)
注意点:
- テキストデータとして認識できるPDFのみ対応(スキャンPDFは不可)
- 複雑なレイアウトでは、正確に表が読み込まれないことがある
- エクセル 2016以降のバージョンが必要
無料オンラインツールで変換する方法
特別なソフトウェアを導入せず、ブラウザからすぐに変換できるのがオンラインツールの魅力である。ここでは主要な無料サービスを紹介する。
■Adobe Acrobat Online
Adobeが公式提供するオンラインPDF変換ツールで、エクセルへの変換精度が高いことで知られている。
手順:
1.Adobe Acrobat Onlineにアクセスし無料アカウントを作成
2.PDFファイルをアップロード(ドラッグ&ドロップも可能)
3.「Microsoft Excel」を選択し変換ボタンをクリック
4.変換後のエクセルファイルをダウンロード
特徴:
- アカウント登録不要で無料利用可能
- Adobe製品のため高い変換精度
- 表の書式もある程度維持される
注意点:
- ファイルサイズ制限あり
- OCR機能(画像PDFからの文字抽出)は有料プラン限定
■Smallpdf
Smallpdfは、初心者にも扱いやすいシンプルなインターフェースで人気のサービスだ。
特徴:
- 操作が直感的でわかりやすい
- Google DriveやDropboxと連携可能
- 処理が速く、変換時間が短い
注意点:
- 無料版では1日2回までの変換制限
- OCRは有料プラン(Smallpdf Pro)に限定
- 複雑なレイアウトは正確に変換されない場合がある
■iLovePDF
PDF編集・変換に幅広く対応しているサービスであり、OCR(有料)による画像PDFの変換も可能である。
特徴:
- スキャンPDF対応(OCR機能あり)
- レイアウトを選択して調整可能
- 複数PDFをまとめて一括変換可能
注意点:
- OCR機能はプレミアムプランのみ
- 無料版ではファイルサイズの上限あり
■CleverPDF
無料ながら機能が充実しており、登録も不要な点が魅力のツールである。
特徴:
- 会員登録不要で完全無料
- 表の検出方式を選択でき、精度が向上する
- プライバシー保護にも配慮(30分後に自動削除)
注意点:
- OCR機能の有無が不明瞭
- 表の構造が複雑な場合、変換精度が劣る可能性がある
専用ソフトウェアで変換する方法
より高精度で安定した変換を求める場合は、専用のPDF編集ソフトを導入するのが確実である。以下は代表的な2製品を紹介する。
■Adobe Acrobat Pro DC
PDF編集の業界標準ソフトであり、変換精度や機能面で非常に優れている。
手順:
1.Adobe Acrobat Pro DCでPDFファイルを開く
2.左側のパネルの[PDFを書き出し]ツールをクリック
3.書き出し形式として「表計算シート」→「Microsoft エクセルブック」を選択
4.[書き出し]をクリックし、保存先を指定してエクセルファイルを保存
特徴:
- 最も高精度な変換が可能
- 表のレイアウトやフォントの再現性が高い
- OCRでスキャン文書も対応可能
- 編集機能により変換前に調整できる
注意点:
- 有料(サブスクリプション形式)
- PCへのインストールが必要
■PDFelement
Adobe製品よりも低価格で、個人ユーザーにも扱いやすいPDF編集ソフトである。
特徴:
- AI搭載で変換精度が高い
- OCRが標準搭載され、スキャンPDFにも対応
- 操作画面がシンプルで使いやすい
注意点:
- 有料(体験版あり)
- Adobe製品より一部高度機能に制限あり