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なぜ、ハイチュウは売れ続けるのか?味もロゴも進化していた50年間の知られざる歴史

2025.06.01

誰しもが一つや二つ、忘れられないCMがあると思う。筆者の場合は「くっちゃらはぴはぴ」というセリフが印象的な、森永製菓の「HI-CHEW(ハイチュウ)」。当時、友人と真似しながら食べたっけ。

個人的な思い出はさておき。「ハイチュウ」の歴史は長く、発売されたのは今から50年前の1975年。ソフトな食感とフルーツのおいしさをあわせた大人向けのお菓子として、「ハイグレード」の「HI」から「HI-CHEW」と名付けられた。

ストロベリー味に始まり、パッケージやフレーバー、食感も進化を重ね、2001年には台湾でも発売。現在では、世界30カ国以上で愛されているという。また、2014年には日本人メジャーリーガーが「ハイチュウ」を差し入れしたところ、メジャーリーガーの間で「HI-CHEW」として一躍広まり、アメリカでの人気を加速させる一因に。いま世界でもっとも売れている国はアメリカなのだとか。

もはや日本のみならず、世界中で知られる“グローバル菓子”となった「ハイチュウ」。2024年にはロゴも一新。世界で愛されるお菓子街道を、ますます爆進中だ。

そのおいしさが、世代や国境を超えて愛される理由を聞いた。

かみ心地にこだわったジューシーな“チューイングキャンディー”

まずは、その始まりから紐解こう。

企画・開発を担当する森永製菓株式会社 菓子マーケティング部・堤 崇将さんによると、フルーツ味が中心の「ハイチュウ」が誕生したきっかけは、時代背景にあるという。

森永製菓株式会社 菓子マーケティング部・堤 崇将さん

「当時の日本は、洋食が主流になり、油を使ったスナック菓子なども登場。リッチで濃い味わいが流行っていました。その中で当社は、酸味のあるすっきりとしたお菓子にチャンスがあるのでは?と考えたんです」(以下「」内、全て森永製菓株式会社 菓子マーケティング部・堤 崇将さん)

初代「ハイチュウ」はストロベリー味で、紙箱に入っていた

そこで1913年(大正2年)に発売した「森永ミルクキャラメル」の技術を発展させたのが、“チューイングキャンディー”の「ハイチュウ」だ。ゼラチンを加えることで独特のかみ心地に仕立て、味わいにはフルーツ本来の酸味や甘味を生かした。

「おみやげハイチュウ」には、ご当地でちがう「りんご味」がある。

「これまでに一般発売したハイチュウは、233種類(2025年5月現在)です。ストロベリー味、アップル味、オレンジ味など定番のフルーツから、フレッシュミント味やアロエヨーグルト味などトレンドのフレーバー。コラーゲンや鉄分入りのもの、さらにはご当地フルーツを使った『おみやげハイチュウ』など。旬やお客様の声も取り入れつつ、『ハイチュウ』との相性を考えて、フレーバーを増やしてきました。

いま日本で一番売れているのは、1992年に発売したグレープ味です。世界でいちばん『ハイチュウ』が売れているアメリカでは、ストロベリー味が人気ですね」

日本で売り上げNo.1の「グレープ味」。1本あたり12粒入りだ

フレーバーの豊かさはもちろん、発売以来、特にこだわっているのは「かみ心地とジューシー感」だ。

「ぷちんとかみ切れることなく、もちもちと心地よく咀嚼していただく中で、口いっぱいにフルーツのようなジューシー感が広がります。このかみ心地のよさがジューシー感につながるので、発売当初からいちばんこだわっていますね。

お客様の中には、『このかみ心地が好き』と言ってくださる方も多いです。だから改良は、慎重に、大切に行ないます。近年で大きく改良したのは、2022年。よりかみ始めをソフトにして、心地よい食感をもっと長く楽しんでいただけるようになりました」

3層構造→外側と内側の二重構造の「あんこ巻き」→中と外の層を逆転、と進化を重ねた。

つねに新たな一粒のしあわせを届ける

食べるごとにコンパクトになっていくスティック型のパッケージ。

ロングセラーゆえ、老若男女問わず、一度は食べたことがある人が多いのも特徴だ。筆者のように、古参のファンも多いという。

「10代〜50代、60代と、幅広い世代にご愛顧いただいています。中でも主な消費者層は、30〜40代の女性。ご自分用はもちろん、お子さんに買う方も多いですよ」

一方で、人気に甘んじてはならない、とも。そこで近年、力を入れていることの一つが、新たな食感や味覚の開発だ。

カリッ、じゅわ、もちもち、ぷにぷになど、個性豊かなおいしさがそろう「ハイチュウ」

「『ハイチュウ』らしさは担保しつつ、中にグミやキャンディチップを入れたり、糖衣で包んだりすることで、かみ応えの違うものも登場しています。また、味わいを濃くしたもの、コラボ商品など、『ハイチュウ』ブランドのバリエーションを増やして、既存のお客様はもちろん、これまで手に取ったことがなかった方にも一粒のしあわせをお届けしています」

世界に羽ばたけ!

まさに順風満帆といえる「ハイチュウ」の歴史。あまりに出来杉くんすぎる!何か困難はなかったのだろうか?

「近年でいうと、2024年に実施したロゴマークの変更は、非常に悩みました。1997年から、“ハイチュウブルー”と呼んでいる青いカナ表記の『ハイチュウ』ロゴを約30年間使い続けてきました。長年愛していただいている日本のお客様にとっては、きっとブルーのロゴでおなじみの気さくなお菓子。それがアルファベット表記になることで、急に距離感が出てしまうのではと……」

30年以上愛された旧ロゴ。記憶にある方も多いだろう

不安はありつつも一歩を踏み出したのは、「海外需要の高まりが大きい」と続ける。

「先ほどもお話ししましたが、現在『ハイチュウ』の売り上げNo.1はアメリカです。アメリカのお客様がイギリスに行っても、イギリスのお客様が中国に行っても、中国のお客様が日本に来ても、日本のお客様が海外に行っても。いつどこでどなたが『ハイチュウ』を見かけても、自分たちの知っているお菓子だ!と、安心して手に取れる環境を作りたいと考えました」

大切にしているのは“自分ごと”にできること

2024年から新ロゴに。

約30年間、不動だったロゴマーク。アルファベット表記にカナ表記を小さく添える形でリニューアルすると、賛否両論の声が多数挙がったそうだ。

「前向きなご意見だけでなく、『寂しい』といった声もあり、SNSなどで議論される様子も拝見しました。でも、それによって『ハイチュウ』の変化が、お客様の中で“自分ごと”につながったのではないかと考えています」

この“自分ごと”こそ、ヒットするには大切だという。

「ブランドが一方通行でコミュニケーションするのではなく、お客様と一緒に作り上げていく。これにより、いっそう愛していただけるのではないかと思っています。

だから50周年企画でも、全国50か所に掲載したなにわ男子さんのポスターに、隠し文字を入れたり、縦読みでメッセージが現れるようにしたり。それを目に留めてくださったお客様それぞれが、“自分ごと”として楽しんでいただけるように工夫しました」

時代ごと、人気タレントやアーティストと組むのも「ハイチュウ」らしさ。

このキャンペーンは、聖地巡礼の様子がSNSやYouTubeで大きな話題を呼んだ。ともすると向かい風と思われる賛否の声も、受け止め方や進み方によっては追い風になるといえる例だろう。

リッチで濃い味が主流だった時代に生まれた、フルーツ味の「ハイチュウ」。その躍進は、100周年を迎える50年後まで、まだまだ止まることを知らない。

食べ終わった包み紙には、占いと背中を押してくれる一言。食べる楽しみが増えそうだ

取材協力/森永製菓

取材・文/ニイミユカ

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