小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

人材不足を背景に転職者の6割が転職後に年収がアップ、特に上昇幅の大きい業種・職種は?

2025.05.22

会社員にとって転職による年収上昇や求められる職種の変化は、経済の先行きが見えにくい現在のビジネスマンにとって関心の高いテーマだろう。パーソルキャリアが運営する転職サービス『doda(デューダ)』は、2019年4月から2024年3月の期間に『doda』のエージェントサービスを使って転職した個人のデータをもとに、年度別で決定年収の推移や転職前後の年収変動を分析した「2024年度版  決定年収レポート」を公開した。

決定年収とは、転職者を受け入れる企業が採用決定時に個人に対して提示する年収のことで、今回は業種・職種ごとに2023年度と2024年度を比較した決定年収の上昇幅をランキング形式でまとめたものも発表された。それによると決定年収は6年間で約40万円上昇し、転職で年収アップした個人の割合は59.3%と過去6年間で最高を記録したという。

決定年収は6年間で約40万円上昇!

今回のレポートで2019年度から2024年度にかけて、平均決定年収額は39万円も上昇したという。転職前後の年収変動では、年収が「増加」した個人の割合が2019年度の51.9%から2024年度は59.3%と約10ポイントも上昇しており、これは過去6年間で最高記録だった。

2024年度に決定年収が増加した理由は、深刻な人材不足を背景に賃上げする業界の拡大と業態変革による異業種採用の増加などが影響しているという。個人側で見ると大手企業を中心にベースアップの動きが加速して市場全体の平均年収が上昇しているので、現職での年収アップがしやすい状況で転職時に年収アップを求める個人が増加している傾向も影響があったという。

企業側は、DXや事業の多角化などの業態変革を背景に異業種からの管理職経験者やエンジニアなどの専門職採用が増加しており、希少な高度な経験やスキルを持つ人への採用競争で高年収を提示する企業が増加する動きも要因になっているという。2025年度も即戦力人材への需要の高まりは続きそうなので、決定年収の上昇は今後も継続しそうだという。

業種別の上昇幅では「IT・通信」がプラス17万円でトップ!

2024年度の業種別平均決定年収額を前年度と比較して上昇幅をランキング化すると1位は「IT・通信」(前年度比+17万円)だった。続いて「旅行・宿泊・レジャー」(前年度比+15万円)、「エネルギー(電力・ガス・石油・新エネルギー)」(前年度比+14万円)という結果になった。

1位の「IT・通信」業界の平均決定年収は、2023年度の469万円から2024年度には486万円へと17万円もアップ。即戦力人材への採用ニーズの高まりと大手企業を中心とした賃上げの加速が要因だという。

DXを推進する社内SE、データサイエンティスト、セキュリティエンジニアなど専門性と希少性の高い人材の需要が増えており、さらに生成AIの導入で大規模クラウド基盤を支えるデータセンターのインフラエンジニアの採用も増加しており、高度なスキルを保有するエンジニアの採用ニーズの高まりが市場全体の年収水準を引き上げているようだ。

2位の「旅行・宿泊・レジャー」業界の平均決定年収も2023年度の406万円から2024年度に421万円へ15万円も上昇している。旅行業界は、2024年の円安で訪日外国人旅行客が急増して日本人の国内旅行消費額も観光庁「2024年旅行・観光消費動向調査」で過去最高を記録している。

そういった市場回復を追い風に旅行予約サイトのUX/UI改善や新サービス開発などを担うエンジニアの採用が活発化して平均決定年収の押し上げにつながったという。さらに「スポーツ・ヘルス関連施設」では、フィットネスジムがコスト削減を目指した省人化と店舗拡大が加速しており、店舗システム開発のエンジニア、利用者拡大を担うマーケティング職、新規出店の立地調査を行う店舗開発などの職種で即戦力人材の採用が増加しているという。

3位の「エネルギー(電力・ガス・石油・新エネルギー)」業界は、2023年度の514万円から2024年度に528万円へ平均決定年収が14万円上昇した。政府のグリーン成長戦略やESG経営・SDGsの浸透を背景に、環境への配慮が企業の競争力に直結する時代になっているが、エネルギーコストのリスク分散や社会的要請を受けて多くの企業が再生可能エネルギーへの投資を加速している。

そういった動きの中で、電力・ガス・石油企業は、再生可能エネルギーや脱炭素に関する専門人材の確保が急務になっており、太陽光発電や風力発電の新規事業をけん引するリーダーやCO2排出量の可視化・脱炭素経営計画の策定を担うエキスパートの採用ニーズが増えている。専門人材は希少で他業界とも競合している中で、外資系企業やスタートアップがジョブ型雇用で高水準の年収を提示する動きを見せており、こういったことが決定年収の上昇を後押ししているという。

職種別では「技術職(組み込みソフトウェア)」がプラス15万円でトップ!

2024年度の職種別平均決定年収額を前年度と比較して上昇幅をランキング化すると1位は「技術職(組み込みソフトウェア)」(前年度比+15万円)だった。2位は「クリエイター・クリエイティブ職」(前年度比+14万円)、3位は「企画・管理」(前年度比+13万円)だった。

1位の「技術職(組み込みソフトウェア)」の平均決定年収は、2023年度の524万円から2024年度には539万円へ15万円も上昇。2024年度は、電気自動車(EV)のバッテリーマネジメントシステム、AI搭載ドライブレコーダー、倉庫管理ロボットなど組み込み技術の進化による開発スピードの高速化が求められており、さらに防衛費の拡大を受けて航空機や潜水艦など防衛関連製品の開発・製造を強化する動きがみられた。

これらによって「技術職(組み込みソフトウェア)」の即戦力人材の重要性が増しており、自動車、製造、防衛関連の企業が採用を強化している。一方で専門人材は希少で、好待遇の現職にとどまる傾向が強いため、中途採用の難易度は極めて高い状況になっているという。

企業は給与体系の見直しや専用職位の新設に加えて、リモートワーク対応や拠点拡大など環境面の整備による採用競争力を強化しているという。2022年度から2023年度にかけても決定年収は14万円上昇しており、2年間で計29万円もアップしていることから優秀な「技術職(組み込みソフトウェア)」の採用意欲は高い状態が維持されているという。

2位の「クリエイター・クリエイティブ職」は、平均決定年収が2023年度の430万円から2024年度には444万円へ14万円ほど上昇。これは2つの要因が考えられるという。ひとつめは各工程にフリーランス人材の活用が進む一方で、正社員には上流の戦略立案やプロジェクトマネジメントなどのスキルが求められるようになったことでポータブルスキルを持つ優秀な人材の採用が増えたこと。

もう一つは生成AIによって簡易なレイアウトやデザイン作成が自動化されて、クリエイティブ職の役割が変化ことが決定年収の上昇につながったと考えられるという。デザイン領域ではコンセプト設計、企画、ディレクションなどの戦略的スキルが求められており、映像制作では3Dモデリング、アニメーション、AR/VRコンテンツ制作など高度な専門性を有するクリエイターへの需要が増加しているという。

3位の「企画・管理」は、プラス13万円(2023年度 504万円→2024年度 517万円)。決定年収アップの要因は、企業のコンプライアンス強化と法改正対応を背景に専門性の高い人材への採用ニーズが高まったことだという。

最近のSNSを起点とするコンプライアンス違反や不正問題の炎上が経営リスクになることから企業はガバナンス強化に注力しており、2024年度は給与水準の高い大手企業を中心に「総務」や「法務」の採用が活発化しているという。

「経理」に関しては、2024年度の監査統制基準の改定で監査業務の負荷が増加しており、電子帳簿保存法やインボイス制度など数年で会計関連法改正が重なって業務効率化やシステム導入のスキルが求められるようになっており、経理職の専門性と市場価値が向上して「企画・管理」の平均決定年収が上昇したという。

人材不足による優秀な人材確保のための企業努力が決定年収の上昇につながっているようだ。特にITや新規技術などに明るい技術職や新しい環境構築ができるリーダー的な人材は今後も転職市場で求められそうだ。

■「2024年度版  決定年収レポート」調査概要

調査対象:2019年4月~2024年3月の期間に転職サービス『doda』のエージェントサービスを利用し転職した個人
雇用形態:正社員

https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2024/20240612_1503/

構成/KUMU

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。