
国内電通グループの4社(電通、電通デジタル、電通総研、イグニション・ポイント)は、独自のAI戦略である「AI For Growth 2.0」を発表した。
「AI For Growth 2.0」では、独自のAIアセット(大規模調査データや社内の専門人財知見など)とAI技術を融合させた「AIモデル」の深化により、マーケティング手法に革新をもたらし、その全工程をAIエージェントがサポートするマーケティング領域の「AIネイティブ化」を目指す。
「AI For Growth 2.0」のもと、新たに1億人規模のAIペルソナを仮想的に再現する「People Model」を開発や、社内の専門人財(クリエイター、プランナーなど)の知見やアイデア、思考法などを学習させた「Creative Thinking Model(創造的思考モデル)」の機能拡充などを行なう。
※ 「AI For Growth」国内電通グループAI戦略図
「People Model」の概要
電通が独自構築している大規模調査データを、Large Language Model(大規模言語モデル、LLM)を活用してファインチューニングすることで、1億人規模の高解像度なペルソナを仮想再現するAIモデル。
従来の限定的なペルソナとは異なり、多人数・多層のペルソナ群を定義できるため、時間の制約を受けずに、学習データのない未知の質問に対するアンケート調査やマーケットシミュレーションの実施を可能にしている。
※この独自のアンケートシステムについては特許出願中。
① アンケート調査の高精度なシミュレーション
設問数に制限はなく、コンセプトやクリエイティブアイデアの高速な検証が可能。
② 自由自在な仮想インタビュー
調査対象者の確保が難しい属性についても、自由自在にインタビューすることが可能。
「Creative Thinking Model(創造的思考モデル)」におけるビジュアルアイデア生成機能の概要
2024年8月に発表したAI広告コピー生成ツール「AICO2」に続く第2弾として、東京大学AIセンターとの共同研究結果をもとに、「Creative Thinking Model(創造的思考モデル)」の機能を拡充し、社内の専門人財の発想プロセスを学習したAIが、高度なビジュアルアイデアの生成を実現した。
※専門人財のノウハウをAI化した手法として特許出願中。
今後は「統合マーケティングAIエージェント」の開発へ
国内電通グループは、上記2つの独自AIモデルの構築に加え、電通の「AIQQQ FLASH」「AIQQQ TALK」、電通デジタルの「∞AI」、両社の「AICO2」などのAIアプリケーション群とのデータ連携を図ることで、ユーザーとの対話を通じて自律的に最適な答えを導き出す「統合マーケティングAIエージェント」の開発にも取り組んでいく。このAIエージェントは、国内電通グループ内での活用にとどまらず、今後は顧客向けにも提供していく予定とのこと。
さらに、業務プロセス改革(BPR)への伴走支援や、顧客ニーズに応じたカスタマイズ型AIエージェントの開発・導入などにより、マーケティング業務の高度化・高速化・効率化・内製化の実現と、顧客のAIトランスフォーメーションを統合的に支援していく。
※ マーケティング全工程における「AIネイティブ化」イメージ図
文/峯亮佑