信用金庫と銀行の違いを知っていますか?どちらも金融機関であることは理解していても、仕組みや特徴については詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。 就職先を検討するときや口座を開設するとき、また、住宅ローンを借入れるときなどには、信用金庫と銀行の違いについて理解しておくことが必要になります。違いをわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
信用金庫と銀行の違い

信用金庫も銀行も、いずれも金融サービスを提供する金融機関です。しかし、サービス内容に相違はなくとも、経営理念や組織などが異なります。
主な違いについて解説します。
■根拠法と設立の目的
信用金庫は信用金庫法に基づいて設立され、地域の人々の繁栄を図る相互扶助を目的とした組織です。主に中小企業や個人を対象とし、地域社会の利益を優先した経営をおこないます。また、国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資することを目的としています。
一方、銀行は銀行法に基づく株式会社です。主に大企業を対象とし、株主の利益を追求した経営を実施します。また、国民経済の健全な発展に資することを目的としています。
■組織の仕組み
信用金庫は、会員の出資による協同組織であり、非営利法人です。また、生じた利益は会員と地域社会の発展に活用されます。
一方、銀行は株式会社組織による営利法人です。生じた利益は株主や国民経済の発展に活用されます。
■利用者に求められる資格
信用金庫は特定の地域に根付いた金融機関です。営業エリアとする地区内に住所を持つか、以下のいずれかの条件を満たす個人のみ、会員となり、信用金庫を利用できます。
- 地区内に事業所を持つ
- 地区内に存在する事業所の役員
- 地区内で勤労している
- 地区内に転居する予定がある
また、事業者として会員になる場合は、従業員300人以下もしくは資本金9億円以下であることが求められます。
一方、銀行を利用するには、特に資格は必要ありません。適切な書類を提出すれば口座を開設でき、一定の基準を満たせば融資サービスを利用できます。
■業務範囲
信用金庫では、預金には制限を課していません。しかし、融資については、原則として会員のみを対象として実施します。また、審査によっては、制限つきで会員以外にも融資を実施することがあります。
一方、銀行は預金・融資のいずれにおいても、特に制限は課していません。申し込みの条件を満たしている場合は申し込め、一定基準を満たせば融資も利用できます。
■地域における役割
信用金庫は特定の地域のみを営業エリアとし、エリア内に居住・在住する個人や小規模事業者、中小企業などを対象とした取引を実施します。営利目的の組織ではないため、開業したばかりのときや景気悪化により業績不振のときなどにも利用者に寄り添い、金融サービスによるサポートを提供します。
銀行の中でも特定の地域のみを営業エリアとする「地方銀行」は、信用金庫と同様、地域への貢献を重視した組織です。「都市銀行」と比べると、個人や小規模事業者も融資を受けやすい傾向にあるとされています。ただし、対応するATMが地域外には少ないため、行動範囲が広い方は全国を営業エリアとする都市銀行の利用を検討できるでしょう。
都市銀行は潤沢な資金をバックグラウンドとしているだけでなく、国内外の金融機関とのつながりも強固なため、信用金庫や地方銀行と比べると大口取引が多い傾向にあります。特定の地域とのつながりはありませんが、資本規模やネームバリューが大きく、安心できる点は魅力です。
就職・転職前に知っておきたい信用金庫と銀行の違い

働く場所としては、信用金庫と銀行にどのような違いがあるのでしょうか。求められる人物像や転勤の有無、給与などについて解説します。
■求められる人物像
どのような組織で働く場合も、誠実さや正確さ、几帳面さは基本的に求められます。特に人や企業などの大切なお金を預かり、運用する金融機関では、より一層の誠実さや正確さ、几帳面さは不可欠といえるでしょう。
しかし、地域に密着した信用金庫と、株主のための営利団体である銀行では、求められる人物像に若干差異があります。それぞれの組織で求められる人物像や向いている人の特徴について見ていきましょう。
信用金庫に向いている人の特徴
信用金庫に勤めるなら、何よりも地域の住民や企業から信頼を勝ち得られる人物であることが求められます。利用者に寄り添い、地域貢献に全力で取り組む姿勢は、最低限必要とされるでしょう。
また、営業エリアが限られるため、都市銀行と比べると利用者も限られます。密接にコミュニケーションをとる機会も増えると考えられることから、一人ひとりの状況を把握した対応が求められるでしょう。
地域愛を自然に表現するためにも、できればその地域と縁があることが望ましいといえます。地域で生まれ育った人や地域内の学校に通った人、親や祖父母が地域内で暮らしている人など、何らかの縁がある場合は面接時にアピールできるかもしれません。
銀行に向いている人の特徴
銀行は営利団体のため、利益を追求できる人物であることが求められます。銀行の利益増大に貢献するには、金融や経営、経済についての知識は欠かせません。知識を持っているだけでなく、積極的に学び続け、時代に合わせて知識をアップデートすることも必要です。
また、他の企業と同様、銀行でもミスや不正は許されません。銀行は特に信用を大切にしているため、裏表なく信頼できる人物であることや、責任感と正義感を強く持っていることも求められます。
ただし、銀行・信用金庫ともに、部署や営業所によっても求められる人材は異なります。企業研究を実施し、どのような人材が必要なのか分析してから採用試験に臨みましょう。
■転勤の有無
信用金庫も転勤はありますが、基本的には営業エリア内の本支店に配属されるため、単身赴任や引っ越しを伴う転勤はないと考えられます。また、地方銀行も同様です。基本的には営業エリア内の本支店に配属されるため、転居を伴う転勤はほとんどないでしょう。
一方、都市銀行では部署にもよりますが、定期的に転居を伴う転勤を命じられることが多いです。場合によっては、海外勤務になることもあります。
■給与
令和6年 賃金構造基本統計調査によれば、信用金庫などを含む協同組織金融業全体の平均給与は月37.0万円、賞与等の特別給与を含む年収は577.2万円でした。学歴分類別のボリュームゾーンである大卒に限ると、平均給与は月38.9万円、賞与等の特別給与を含む年収は609.4万円です。
一方、銀行業全体の平均給与は月44.3万円、賞与等の特別給与を含む年収は692.1万円でした。ボリュームゾーンである大卒だけに絞ると、平均給与は月47.0万円、賞与等の特別給与を含む年収は736.2万円です。
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口「令和6年賃金構造基本統計調査」
■勤続年数
同じく令和6年 賃金構造基本統計調査によれば、信用金庫などを含む協同組織金融業全体の平均勤続年数は17.0年でした。また、大卒の50~54歳の平均勤続年数は28.5年、55~59歳は31.9年、60~64歳は31.6年です。新卒入職後、転職せずに定年退職まで働き続け、場合によっては定年後も働く人も多いと推測されます。
一方、銀行業全体の平均勤続年数は14.7年です。大卒の50~54歳の平均勤続年数は27.4年、55~59歳は30.2年、60~64歳は23.7年でした。新卒入行後、転職せずに定年退職まで働き続ける人は多いものの、定年後も継続して働く人は信用金庫よりも少ないと考えられます。
口座開設・借入前に知っておきたい信用金庫と銀行の違い

信用金庫と銀行は働く場としてさまざまな差異がありますが、利用者の立場からも異なる点が多数あります。口座開設やローンにおいて、信用金庫と銀行にはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
■口座開設の手数料・資格
信用金庫・銀行のいずれにおいても、普通預金口座は無料で開設できます。口座維持費もかかりません。ただし、紙通帳を利用する場合は、発行手数料や維持費がかかることがあります。
普通預金口座には有効期間が決まっていないため、原則として一度口座を開設すれば、利用者本人が解約手続きをしない限り永続的に無料で利用可能です。ただし、預け入れや払い戻しをせずにおおむね2年以上経過し、口座残高が所定金額以下となった口座については、口座管理手数料が発生することがあります。金融機関にもよりますが、口座残高が口座管理手数料を下回ると、自動的に口座が解約されることもあるため注意が必要です。
また、信用金庫・銀行のいずれにおいても、国内に住所があれば特に条件なく口座開設が可能です。信用金庫の営業エリア外に居住している人でも、口座開設や預金は制限なしに利用できます。
■預金額の制限
信用金庫・銀行ともに、預金額に制限はありません。ただし、口座残高が一定金額以下で、なおかつ預け入れや払い戻しをせずに放置している場合は、口座が自動的に解約されることもあるため注意が必要です。口座管理手数料が利息を上回るケースもあるため、あまりにも預金額が少額の口座は解約しておきましょう。
預金額が多い場合にも注意が必要です。信用金庫・銀行ともに預金保険制度が適用されますが、当制度では金融機関の破綻時には、1金融機関において1人あたり1,000万円までの元本と破綻日までの利息しか保護されません。
また、譲渡性預金や外貨預金などは預金保険制度の対象外のため、金融機関の破綻時には元本や利息は保護されません。大切な資産を守るためにも、複数の金融機関に現金資産を分散させるようにしましょう。
■住宅ローンなどの融資の条件
預金に関しては、信用金庫・銀行を問わず誰でも利用できます。また、融資に関しても銀行は審査に通過さえすれば誰でも利用できますが、信用金庫では原則として会員のみ利用が可能です。
信用金庫の会員になるためには、以下のいずれかの条件を満たしていることが求められます。
- 個人:地区内に居住・転居・勤務する、あるいは地区内に事業所を有する
- 事業者:従業員300人以下もしくは資本金9億円以下
会員になるためには、上記の条件を満たしたうえで、信用金庫に出資することが必要です。出資額は一定額以上(原則として5,000円以上)で、後で追加出資したり会員資格を譲渡したりすることも可能です。
ただし、700万円以内の小口融資に関しては、会員以外でも所定の審査に通過すれば利用できます。不明点については、利用したい信用金庫の窓口で問い合わせてみましょう。
■ローン商品の種類
信用金庫では、個人向けローンとして次の種類を取り扱っていることがあります。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- フリーローン
- カードローン
また、法人向けとしては次の種類を取り扱っていることがあります。
- 一般融資
- 制度融資
- 代理貸付
制度融資とは、信用金庫と地方自治体、信用保証協会の協調により実施するローンです。融資実行までには時間がかかる傾向にありますが、金利が優遇されたり、返済期間を長期に設定できたりといったメリットもあります。
代理貸付とは、信用金庫が公庫などの代理となり、政府資金を長期的に貸し付ける制度です。中小企業や小規模事業者の資金円滑化を図る目的で実施されます。
一方、銀行でも信用金庫と同じく、個人向け融資として以下の種類を取り扱っていることがあります。
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- 教育ローン
- フリーローン
- カードローン
また、法人や個人事業主向けには、事業ローンを提供しています。法人名義で利用できるものと事業主個人の名義のものがあるため、申し込み前に確認しておきましょう。
信用金庫と銀行を使い分けよう

信用金庫と銀行はどちらも金融機関であり、個人と事業者を対象とした融資を実施している点や、普通預金口座を無料で開設できる点においては特別な差異はありません。しかし、700万円を超える大口融資を利用する場合には会員になることが求められたり、運営の目的や地域における役割が異なったりといった違いがある点には注意が必要です。
また、利用する立場や勤務する立場によっても、信用金庫と銀行は異なります。違いを正確に把握し、適切な金融機関を選択するようにしましょう。
構成/林 泉







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