小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

最近話題の「ノーレイティング」とは何か?評価制度廃止がもたらす混乱の根源と解決策

2025.05.18

「ノーレイティング」は評価制度から等級やランク付けを撤廃し、目標達成度や行動プロセスをフィードバック中心に評価する手法です。評価ポイントが可視化されないことで社員間の競争ストレスが軽減される一方、評価基準の不透明化や昇給・異動判断の混乱が生じやすくなります。本記事では識学の理論を踏まえ、背景から混乱事例、解決策、導入成功のポイントまでを詳しく解説します。

1.ノーレイティングの概要と特徴

ノーレイティングは、従来の段階評価や等級制度を廃止し、OKRやMBOなどを用いた定性評価と定量評価の両軸で人材を評価する仕組みです。この手法では評価結果を数値化せず、上司と部下が定期的に1on1ミーティングを行い、業務プロセスや行動様式、チーム貢献度などを言語化してフィードバックします。360度評価やセルフレビューも組み合わせ、多面的な視点から個人の成長課題を抽出します。数値的なランク付けがないことで、社員は他者との序列競争から解放され、自らの目標達成やチームへの貢献に集中できるようになります。また、プロジェクトごとに適切な評価軸を設計できる柔軟性があり、固定的な等級制度では難しかった短期プロジェクトや社外パートナーの評価にも対応しやすくなります。

2.導入背景と期待されるメリット

昨今のビジネス環境ではグローバル化や事業の多角化が進み、従来型の等級制度が組織の柔軟性を阻害する課題が顕在化しています。ノーレイティングは、その固定観念から脱却し、社員個々のチャレンジ精神や自律的なキャリア開発を支援することを狙いとしています。評価結果の序列が消えることで、上司や同僚の目を気にせず意見発信ができるため、心理的安全性が向上し、チーム内での創造的な議論が活性化します。さらに、部署間の壁が取り払われることで、組織横断的な協働が自然に生まれ、全社的な目標に向かって一体感を醸成できる点も大きなメリットです。また、リモートワークやフレックスタイム制、兼業社員を含む多様な働き方にも適応しやすく、個人の事情やキャリア志向に合わせた柔軟な評価設計が可能になるため、離職率低減や優秀人材の定着にも寄与します。

3.実際に起こる混乱事例

一方で、多くの企業では、評価基準の曖昧化に端を発した混乱が見られます。数値的なランクがないことで、社員が「何をもって高評価とするのか」が不明瞭になり、部門や上司ごとに評価ハードルがまちまちになるケースがあります。その結果、同じ成果や行動でも評価が分かれ、公平性に対する不信感が高まります。また、評価結果を根拠にした昇給や人事異動の判断ができなくなることで、社員が「なぜ自分だけ昇給が少ないのか」「異動の理由が理解できない」と感じ、モチベーション低下や離職意向が増加する恐れがあります。さらに、フィードバック能力に差がある上司が存在すると、建設的な対話が行われず、社員が評価面談に対して不安やストレスを抱えるケースも報告されています。

4.識学の視点で見る混乱の本質

識学では、組織運営において「役割(=責任)」を明確化することが重要とされます。ノーレイティング導入時の混乱は、これらが不十分であることが原因です。まず、役割定義があいまいだと社員は自分に何を求められているか理解できず、目標設定や行動基準を見失います。次に、責任に基づく権限が不明確なままでは、意思決定のスピードが落ち、現場での自主的な判断が妨げられます。最後に、責任の所在が曖昧になると、問題発生時に誰が最終責任を負うのかが不透明となり、対応が後手に回ることで組織の信頼性が損なわれます。役割や権限が不明確だと、評価制度そのものの運用が機能不全に陥り、組織全体の士気低下や業績悪化を招くリスクが高まります。

5.識学に基づく解決策と成功ポイント

では、識学の理論を活用した解決策をお伝えします。まずは組織図を明確にします。自身が組織内においてどの位置にいて、誰が上司(=評価者)なのかを認識するためです。次に「役割定義」を策定します。役割定義とは、各職種・ポジションごとに必要な業務内容と求めている結果を定量的に明文化することです。

全社で共有することで評価の土台を統一します。その後、責任に応じて権限の範囲を明確にすることで、意思決定の迅速化と問題発生時の対応窓口の明確化を図ります。さらに、マネジャー向けに定期的なフィードバック(識学では週次会議にて実施)を行い、目標達成に向けたPDCAを繰り返していきます。評価制度には定量的な指標のみを表記し、イントラネット上で常時参照可能とすることで、評価基準の透明性を確保します。評価の期限を迎えた際に、定量的な目標であることから、課題であった不公平感等がなくなり、従業員が自身の不足を自責で捉えることができるようになります。また評価基準が明確になることで、適切な競争環境も生まれます。平等な基準での競争は、組織を成長させていくためには必要不可欠です。定性的な評価項目を排除することで、部下は不公平を感じることなく目の前の目標に集中して取り組むことができます。

記事のまとめ

ノーレイティングは評価数値を廃止し、社員を序列競争から解放して協働を促進する一方、評価基準の曖昧化や昇給・異動判断の不透明化といった混乱リスクを伴います。識学の理論に基づき、役割定義の整備、権限と責任の明文化、フィードバック(週次会議)の実施、PDCAによる運用改善を一貫して実施することで、スムーズな導入と持続的な運用が実現可能です。まずは自社の役割定義を見直し、具体的なルールを整備したうえで、定期的なモニタリングと改善を繰り返しましょう。

文/識学コンサルタント 増井基博

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年4月16日(水) 発売

DIME最新号は、「名探偵コナン 熱狂の舞台裏」。長野県警全面協力!劇場版最新作の舞台の新聖地とは?長野県警トリオ〟をあしらったトリプルジッパーバッグの付録付!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。