
物価上昇や生活費の負担増などが問題になり、トランプ関税などさまざまな要因で先行き不透明な景気状況だが、ビジネスマンは賃上げなどに関してどう感じているのか?
IT企業のNEXERは、建設・不動産専門の転職エージェントであるRSGと共同で、「賃上げ」に関する調査を実施して発表した。最近のニュースでは、賃上げについての報道も増えているが、実際に働いている人たちはそれを実感しているのか調査すると、全体の34%が自身の職場では賃上げがなくて取り残されていると感じていた。
最近の賃上げ傾向に取り残されていると感じた人は34%
最近の賃上げについてどう感じているかという質問には、34%が自分の職場では賃上げがなく取り残されていると感じていると回答。その理由については次の通り。
・給料が変わってないから。(20代・男性)
・職場では何も変わらずに今後も変わらなさそうなので不満が募っているから。(30代・女性)
・もともと給料が高いと言われていた業種だったが今はほかのところも同じ給料に。なのに昔の感覚で賃上げがなかなか行われない。(30代・男性)
・賃上げしている企業がうらやましい。主に大きい会社だけではないかと思う。(40代・女性)
・大企業しか賃上げしてないし、中間管理職は何も変わらず、仕事が出来ない若手だけが賃上げされ、納得できない。(40代・女性)
一方で33.6%が回答した「賃上げはあったが、物価上昇のほうが大きいと感じる」については次のような理由が挙がった。
・お店やスーパー、コンビニなどの商品など全体的に価格が高くなっているため。(20代・男性)
・賃金が上がったところで、買えるものが沢山増えたという訳でもないため。(20代・女性)
・給料が上がってうれしかったけど、お米などの食料品が上がって趣味に使える金額が以前と同じくらいだったから。(30代・男性)
・ほとんどの物の値段が上がっているので給料が上がってもそれに追いつけない。(30代・男性)
・賃上げは感じているが、物価が高すぎて困窮している。特に米やガソリン。(30代・女性)
3位の「賃上げが将来的に続くのか不安がある」は次のような理由が挙がった。
・毎年昇給するか心配。(30代・男性)
・賃上げが一時的なものなのではないかと不安になる。(30代・男性)
賃上げされた人は38.8%
賃上げされた人は全体の38.8%だった。賃上げされた人の上昇した金額は、「5%以上」も賃上げされたと回答した人が26.3%だった一方で、「5%未満」も73.7%という数字だった。
57.4%が賃上げに不公平感を感じている
賃上げの不公平感についての質問では、半数以上の57.4%が不公平感を感じたと回答。その理由については、次のようなものがあった。
・格差ができて生活水準の高さの違いがうまれるから。(20代・女性)
・仕事内容は変わらないのに、場所によって賃上げされているためです。(20代・女性)
・上がる人と上がらない人がいるから。(30代・男性)
・仕事ができなくても在籍年数で一番もらっている人がいるので不公平だと感じるから。(30代・女性)
・働いている会社で全然違う。国からお金を出して働いている人全員賃上げしてほしい。(30代・女性)
・みな誰もが一生懸命働いているのに賃上げしているところとしていないところがあるのは不公平に感じるので。(30代・女性)
逆に賃上げに不公平感を感じたことがないと回答した42.6%のなかには、次のような意見があった。
・アルバイトなど平等に上がっているため。(20代・男性)
・仕事をしている人に対して一律に賃金を上げていたから。(30代・男性)
・資本主義社会なので平等でないのは仕方ないと思います。(40代・女性)
約半数が職場の昇給制度に不満があった
職場の昇給制度に対する不満についての質問では、48.2%が不満が「ある」と回答した。主な理由としては、「どれだけ働いても決まった額しか貰えないため。(20代・男性)」、「評価基準が上司次第なところ。(20代・男性)」、「あやふやにして不透明なところです。(20代・男性)」、「もう長く働いているのに能力給がないこと。(30代・女性)」、「会社の売り上げが上がってるのに、なぜか給料は変わらない。(40代・女性)」など評価基準のあいまいさや能力や売り上げの評価が適正ではないと感じていることが多いようだ。
一方で昇給制度に不満がなかった人は51.8%と半数以上だった。その主な回答は次の通り。
・給料よりも人間関係やストレスがないことを優先して働いているから。(30代・女性)
・元から分かって入社しているから。(30代・女性)
・仕事内容や経験で決められていて文句はないから。(30代・男性)
・期待してもしょうがないし出世にも興味ない。(40代・男性)
今回の調査では、34%が職場で賃上げがなく取り残されていると感じており、賃上げの波に乗れずに不安を感じている人も多そうだ。景気が不透明だからこそ、現在の職場の賃上げに不満があるのなら自分に合った働き方や収入アップの可能性を模索してみるのもいいかもしれない。
「賃上げに関するアンケート調査」概要
調査手法:インターネットでのアンケート
調査期間:2025年3月24日~2025年4月2日
調査対象者:事前調査で「現在会社員として働いている」と回答した全国の男女
有効回答:500サンプル
※原則として小数点以下第2位を四捨五入し表記しているため、合計が100%にならない場合があります。
構成/KUMU