
カブトムシに有機廃棄物を食べさせる資源循環ビジネスが注目されている。仕掛け人は昆虫バイオスタートアップのTOMUSHI。現在、国内で67の昆虫プラントが稼働、自社で持つ2プラント以外はフランチャイズ展開での設置となっている。
廃棄物を食べるカブトムシとは?
エサになる有機廃棄物は、きのこの収穫後に残る菌床などで、微生物の力を借りてカブトムシが食いつきやすいよう改質している。
「有効活用ができずに困っている未利用資源を全国から集め、エサにできるかどうかの検証を行なっています。これまで検証したものの中には紙オムツもありました」(取締役COOの宮内聖さん)
育てているカブトムシは、有機廃棄物を食べる個体を厳選しながら累代した種。一般的なカブトムシより成長スピードが3〜4倍速く、約4か月で成虫に育つ。
成虫の生体販売のほか、排出された糞を利用した肥料、幼虫を使った飼料、幼虫から抽出できる医薬品・化粧品原料の製造・販売といったビジネスも展開する。有望視されているのは肥料、飼料、医薬品・化粧品原料。有機廃棄物を食べて処理するだけではなく素材としても活用できるカブトムシのポテンシャルは極めて高い。
【DIMEの読み】
東ティモールではカブトムシによる食品廃棄物処理が国家プロジェクトとして始まろうとしている。TOMUSHIの技術は日本だけではなく東南アジア、さらには世界へと発信されていくだろう。
個体の厳選により特殊なカブトムシが誕生
ゴミを大量に食べることに特化した個体の生産に成功。一般的なカブトムシより成長スピードが速い分、個体は少し小さいのが特徴だ。
カブトムシによって廃棄物が減り資源不足問題を解消するしくみ
取材・文/大沢裕司 編集/井田愛莉寿